2009/2/9

  2009年2月9日(月)

(一)極端な生産、在庫調整で市況回復が近い。

チャート1:電子部品、デバイス工業の生産指数。(株式新聞から転載)

(1)チャートで、つるべ落としの生産調整をご覧頂きたい。需要の落ち込みは急であるが、生産の落ち込みははるかに急だから、需給調整は早期に終わる。
(2)今日では製品からパーツまで、在庫をコンピューターで管理しているから、需要の落ち込みを見てすべてのメーカーが一斉に大減産に入った。
(3)3月決算予想では大減産に伴う赤字ばかりか、製品、部品、仕掛品、保有株式等のすべてにわたって評価減を断行し、厳しい赤字決算を人員整理と節税の言い訳に用いている企業が多い。
(4)すでに半導体は底値から20%値上がりした。パソコン用DRAMモジュールもスポット価格は2倍に上昇した。「産業界の米」である半導体需給に注目したい。

(二)史上最大の空売りの行方。

チャート2:東京エレクトロンの日足と日証金貸借

(1)日証金の取り組みは史上最大の空売りを飲み込んで、貸借関係が大幅な売り越しとなった。しかも空売りは増勢一途である。
(2)チャートの東京エレクトロンは半導体関連の大型株である。日証金の取り組みは空売り203万株に対して買い残は4,000株に過ぎないから、貸借倍率は0.00倍と表示されている。
(3)6日付日経は今3期決算を99%減益と大きく報じたが、株価は寄りつきから買い気配で始まり、終値も240円高であった。貸借倍率を見れば一目瞭然で、株価が大幅減益を折り込んでいたのである。
(4)チャートの貸借倍率は極端であるが、大半の銘柄が大幅な株不足で、大量の逆日歩が常態化している。
(5)悪材料は周知の事実だから、好材料が飛び出すと株価は鋭く反応する。直近のクラブ9で私は、英バークレイズ銀行が3日間で2.5倍に、独フォルクスワーゲンが2日間で3.5倍に暴騰した事件を伝えた。両銘柄ともヘッジファンドが巨大な借り株を用いて売り込んでいたから、好材料が出ると一気の踏み上げとなった。
(6)米国では、銀行株が軒並みに巨大な借り株を用いて売り崩されている。ところが先週、ゴールドマンサックス、モルガンスタンレー、バンクオブアメリカが相次いで政府の資本注入を返済する意向を表明した。今週にはオバマ政権の新たな金融政策が成立するだろう。米国の銀行株の行方に注目したい。

(三)株価反騰の条件が成熟。

(1)日本を代表する優良企業が今3月期に一斉に巨額の赤字を計上する。しかし追いつめられての赤字ではなく、攻めの赤字である点に注目されたい。
(2)日本の優良企業は巨大な内部留保を積み上げている。土地や株式の含み益も多い。純資産倍率1倍割れという財務内容がザラにあるのは日本だけである。欧米でそんな企業があれば、とっくにハゲタカの餌食になっている。
(3)企業は一斉にリストラを断行し、在庫や保有株式の評価損を片端から償却するが、大半の企業はどんなに大きな赤字を計上しても節税効果こそあれ、赤字を来期に繰り越す心配はない。ちなみにゴーン社長が日産に乗り込んだ時、巨額の赤字を計上したが翌期には大幅黒字になった。潤沢な内部留保があったからである。
(4)東芝や日立のように赤字決算予想の発表後に株価が下がったケースもあるが、大半の銘柄は発表直後に株価が上昇している。株式市場は業績悪化をほぼ折り込んだと見るべきだろう。
(5)海運、半導体、電炉等で市況底入れの指標が点滅している。在庫調整が進んだ業種から株価は反騰に転じるだろう。
(6)米国の中古住宅の在庫減少が鮮明となった。私は住宅市場回復の順序を、1. 住宅ローンの新規申込件数が増える、2. 中古住宅の在庫が減る、3. 住宅価格が底入れする、4. 新規の住宅建設が増える、と予想したが、回復は 2. に進んだ。
(7)日本のマンション販売も同じ経過をたどっている。値引き販売によって流通在庫が縮小に転じた。大手不動産会社は売れ残りのマンションの簿価を大幅に引き下げるために今期は減益となるが、来期には在庫を一掃して業績悪化に歯止めをかける。
(8)エコノミストとマスコミが「空前の金融不況」を大合唱するから、世界中の中央銀行が「空前のジャブジャブ金融」を推進し、世界中の政府が「空前の財政投融資」を積み上げている。金融不況のスケールは史上空前であるが、政府と中央銀行が投入した資金量も史上空前である。
(9)マネーの需給関係を読めば、資金不足が資金過剰に逆転するのは時間の問題である。中期的に見れば「不景気の株高」から「不景気のインフレ」に発展する可能性が高いと私は思う。

(四)MAGねっと。

(1)6日の決算発表で、今3月期予想を前回と同じ「純利益50億円、1株当たり利益218円」に据え置いた。
(2)予想PERはたったの2倍で、株価は超割安である。5月の決算発表で予想通りの利益を計上すれば、株価の居所が変わるだろう。