2008/12/26

  2008年12月26日(月)

(一)デフレからインフレへ。

(1)エコノミストは100年に一度の金融不況だという。
(2)しかしだからこそ、政治家は財政投融資を拡大し、中央銀行はゼロ金利政策を断行する。
(3)米国のバーナンキFRB議長はゼロ金利の目的を「デフレを阻止し、インフレをもたらすためだ」と明快に宣言している。
(4)インフレは株価と地価の上昇から始まる。

(二)米国の住宅価格は底入れが近い。

(1)米国の住宅ローンの金利が過去最低を更新した。
(2)国有化されたフレディマックとファニーメイの住宅ローン金利は8%から4%台に急落したという報道もある。FRBが、両社が保有する住宅ローン債権を買い上げると表明したからである。
(3)これを受けてフレディマックの住宅ローン申込件数が48%も急増した。
(4)これらはみな住宅市況底入れの有力な指標である。

(三)米国の自動車販売も回復が近い。

(1)GMの金融子会社であるGマックは資金難のためにGMの顧客の8%にしか自動車ローンを提供できなかった。これこそGMの販売が半減した最大の背景である。
(2)FRBは24日、Gマックを銀行と認める決定を下した。これによってGマックはFRBから直接低利の融資を受けることができる、
(3)アメリカ人にとって自動車は日常生活に不可欠のゲタであり、消耗品である。自動車の買い換えをいつまでも我慢することはできない。
(4)GMもさることながら、Gマックの救済は自動車不況克服の重要な一歩である。

(四)生産調整・在庫整理が急進展。

(1)自動車産業を初めとする製造業の人員整理が社会問題となった。
(2)今日ではコンビニエンスストアから、半導体、製造業まで、コンピュータが在庫管理をリアルタイムで行っているから、生産調整は業界一斉で、猛烈に早い。
(3)生産調整が猛烈に早いから、在庫整理も猛烈に早い。
(4)自動車産業の需要回復は意外に早く、在庫整理も意外に早いだろう。産業界全体の景気と企業業績は来年後半に底入れが鮮明になると私は思う。株価は半年先を先見するから、不景気の株高はすでに始まっている。

(五)麻生首相の政策を軽視するな。

(1)麻生首相は来年3月までに20兆円を投入して銀行と企業が持ち合っている株式を買い取る法案を準備した。日本の株式の時価総額が280兆円に激減しているから、20兆円の需給改善は株式市場に必ず強烈なインパクトを与えるだろう。
(2)麻生首相は就任直後の首脳会議で「財政資金を銀行の不良債権の買い上げに投入するよりも、銀行に資本注入した方が効果的だ」と欧米首脳を説得し、米ポールソン財務長官は、不良債権の買い上げのために計上していた70兆円の財政資金を急遽銀行の資本注入に振り替えた。私は国際会議でこれほど強い影響力を行使した日本の首相をこれまでに見たことがない。
(3)エコノミストやマスコミの中には、資本注入を財政赤字と誤解させる論評が横行しているが、重大な間違いである。資本注入は政府による株式投資である。日本の経験ではその後の株価の回復で財政に巨額の利益をもたらした。
(4)麻生首相はまた、就任直後にヘッジファンドの借り株を禁止した。その効果は即座に現れた。不可解な暴落や不自然な株価形成が消滅した。巨大な空売りが表面化し、逆日歩銘柄が急増した。需給関係が透明になり、株式市場に活力が生まれた。
(5)麻生首相の政治力を軽視して空売りが激増しているが、弱気筋はすでに窮地に追い込まれていることに気が付いていない。

(六)来年は業績が尻上がりに好転。

(1)コンビニが始めたコンピュータによる在庫管理の経営手法は、今日では製造業の常識となった。
(2)10月、11月に米国で進行した自動車の販売不振を日本の自動車メーカーはリアルタイムで補足し、完成車から生産工程の部品に至るまで、一斉に生産調整に踏み切った。
(3)決算の減額修正、工場の操業停止、人員整理が噴出し、「派遣社員の首切り」は社会問題となった。これは情報化社会の進展に伴って生まれた新しい現象である。
(4)生産調整は大幅で急速であるが、それゆえ在庫整理は急速に進む。米国の自動車販売が底入れすれば、自動車メーカーの業績回復に直結する。
(5)私は、製造業の業績は今3月期が最悪で、来期は尻上がりに好転すると思う。

(七)史上空前の空売りが堆積。

(1)証券界は悪材料の追跡に追われて好材料の出現を無視している。
(2)石油を初め、商品相場が軒並みに暴落した。石油は3ヶ月で147ドルから35ドルへ、4分の1に大暴落した。ガソリンやパンやラーメンの値上げが続出したことが嘘のようである。
(3)円高が輸入コストをさらに押し下げた。
(4)自動車メーカーは赤字ばかりを発表して1兆円に及ぶ原材料の値下がり益と円高利益に口をつぐんでいる。これは鉄鋼メーカー等との間で進めている値下げ交渉を有利に進めるための戦略である。
(5)弱気一色のマスコミ報道にあおられて株式市場には弱気心理が充満しているが、株価は日に日に悪材料に対する抵抗力を強めている。
(6)さもありなん。12月19日現在の3市場の全信用取引は買い1兆465億円に対して、売りが9,500億円に達した。
(7)日証金ベースでは大半の銘柄が株不足である。空売りが買いの10倍を超える銘柄がごろごろし、大幅な逆日歩銘柄が続出している。
(8)史上空前の取り組み接近は株価を下支えする。私は株式市場の大事件に発展すると思う。

(八)三洋電機を推す。

(1)来年の年頭にはアメリカのオバマ新大統領のクリーンエネルギー開発構想がマスコミの紙面を飾るだろう。
(2)電気自動車の開発と太陽光発電が両輪で、原子力発電がこれに続く。
(3)三洋電機はリチウムイオン電池で世界第3位、太陽光発電で世界第7位。しかもこれを主力業務としている。
(4)パナソニックが次世代事業の夢を三洋電機に託したのは当然だろう。
(5)2月に131円でTOBを実施するが、一般投資家は131円以上でいつでも売れるから、TOBには応募しないだろう。
(6)パナソニックは3社から優先株を取得し、70%の大株主となって三洋電機を子会社とする。
(7)株式市場ではGSユアサを初め、リチウムイオン電池、太陽光発電、原子力発電関連銘柄が再騰に転じた。
(8)三洋電機はパナソニックが子会社とした後に早くも1,000億円の設備投資を行うと発表している。 
(9)株価はTOB価格に引き寄せられているが、時価130円台は最小のリスクで投資するためのチャンスだと私は思う。