2008/12/22

  2008年12月22日(月)
  三洋電機は有望成長株。
  三菱UFJフィナンシャル・グループの研究。
  アドバンテストの研究。 

(一)三洋電機は最有望の成長株。

(1)三井住友銀行、大和証券、GS(ゴールドマンサックス)3社は131円でパナソニックによる三洋電機のTOBに応じることで合意した。
(2)パナソニックは三洋電機の完全買収、上場廃止、合併という当初の目標を修正し、3社が保有する優先株70%をTOBで取得し、子会社とする。
(3)GSは1,000億円の売却益確保を優先した。大和証券は1,000億円、三井住友銀行は400億円の売却益を得る。
(4)三洋電機はリチウムイオン電池で世界シェア3位、太陽光発電で同7位である。パナソニックはトヨタと提携して開発中のリチウムイオン電池を次世代事業の中核に据えており、買収後の三洋電機に早くも1,000億円の設備投資を行うと表明している。
(5)リチウムイオン電池の開発競争は世界的に白熱化している。
  1. GSユアサとホンダは新会社の設立で合意し、ユアサ株が再騰に転じた。
  2. 三菱自動車と提携している古河電池株も再騰に転じた。
  3. オバマ次期大統領はクリーンエネルギーの開発を新政権の最重要課題としている。
  4. 米ビッグ3は電気自動車の開発を企業存続の条件としている。
(6)来年は、リチウムイオン電池と太陽光発電を主力事業とする三洋電機の人気化が必至だろう。パナソニックは安値での完全買収が無理と見て、70%取得による子会社化を急いだのだろう。
(7)パナソニックは資金の社外流出を避けるために、改めてパナソニック株との交換による三洋電機の完全買収を目指すのではないか。
(8)パナソニックは三洋電機の資産内容を買収価格の根拠としているが、真の狙いは別にある。「リチウムイオン電池と太陽光発電を次世代の中核事業に育てるための時間」を買収したのである。
(9)私の推定が正しければ、三洋電機は来年の出世株になる。

(二)三菱UFJフィナンシャル・グループの研究。

チャート1・三菱UFJフィナンシャル・グループの日足と日証金の貸借。

(1)先々週に公募増資の払い込み価格を417円と決めた。先週は週初から新株が売却できたから、大量の現物売りを浴びて日証金の売り残が急減した。
(2)しかし株価は下がるどころか、全上場銘柄中ダントツの大商いを伴って急騰し、増資新株を取得した投資家は1週間で30%以上の利益を得た。
(3)公募価格の値決め前に不自然な大量売りで株価が暴落していたから、私は増資後に株価が反騰すると見て、先週の仕手株候補に加えた。予測は的中したが、私はもう一つの大材料を見落としていた。
(4)三菱グループは新型投信「ダイヤセレクト(三菱グループの企業を組み込んで運用する)」を25日に設定する。三菱UFJ銀行はその中核銘柄となるから増資新株の打ち返しを短期間に吸い上げることができたのである。
(5)第二次世界大戦の敗戦で日本の財閥は徹底的に解体されたが、三井、三菱、住友の3大財閥は不死鳥のようによみがえった。中でも三菱グループは結束力が強く、経営は保守的であるが、不況抵抗力が強い。
(6)グループ企業はみな公的年金ではなく企業年金に加入しているから、それらの年金が新型投信を買い続ければ、株式市場が低迷しても運用成果を挙げることができる。
(7)年末には多くの金融機関が資本増強に踏み切ったが、株価の下落を招く公募増資を断行したのは三菱UFJ銀行だけである。公募株の打ち返しを新型投信で吸い上げる自信があったからだろう。
(8)新柄投信の効果は大きい。グループの金融機関は自信を持って販売できる。グループ企業はいつでも増資ができる。外国資本による乗っ取りを防ぐこともできる。
(9)三菱グループの成功に刺激されて、三井住友グループが新型投信で追随するのではないか。

(三)アドバンテストの研究。

チャート2・アドバンテストの日足と日証金の貸借。

(1)前回に取り上げた仕手株候補6銘柄は先週、そろって堅調であった。今回はアドバンテストを追加したい。
(2)不況業種の中でも、半導体は特に減産が急である。半導体の生産設備を手がけるアドバンテストは暴落した。
(3)しかし半導体は需給調整も早い。先週、半導体の需給関係を示すBBレシオが1倍(中立)を回復した。
(4)DRAMの価格回復を期待して、大暴落していたエルピーダメモリが先週末、久々に急騰した。
(5)株価は11月を底値に300円幅で上昇したが、株価に逆行して空売りが急増した。半導体関連株は圧倒的な弱気論にさらされているからである。
(6)今期は6年ぶりの赤字転落となるが、無借金の財務体質はびくともしない。リスクが払拭されたわけではないから仕手株に発展する可能性がある。
(7)同業の東京エレクトロンもアドバンテストと似ている。