2008/12/1

  2008年12月1日(月)

(一)尻に火がついた弱気論。

(1)エコノミストとマスコミは依然として弱気一色である。日経の記者はもちろん日経CNBCテレビのコメンテーターに至っては強気論を時代錯誤と決めつけている。
(2)しかし現実には弱気派の尻に火がついている。日経平均も、個別銘柄も日に日に底入れが鮮明となり、空売りが下値に取り残されている。
(3)私は、弱気論が激化した10月以降に買いの主力に浮上した個人投資家がプロの弱気論に勝つと思う。以下に株式市場の格言を紹介して参考に供したい。
(4)「弱気論者は理路整然と相場を間違う」。(弱気論者が弱気論を理路整然と説明するようになれば、弱気相場は終わっている。)
(5)「知ったらしまい。」(どんなに厳しい弱気論でも、みんなが知ってしまえば株価は下がらない。)
(6)「不景気の株高」。(不景気になればなるほど政府は財政投融資を積極化し、中央銀行は金融を緩和するから、需給関係が好転して「不景気の株高」となる。)
(7)「人の行く、裏に道あり、花の山。」(多数意見に追随しても儲からない。)

(二)クラブ9の相場観2カ条。

 第1条。相場の世界では少数意見が勝つ。
 第2条。相場とは少数意見が多数意見に変わる過程である。

(1)クラブ9の2カ条は私の発案ではない。20年前に野村證券のY氏から教わり、感動して私の相場観の基本とした。Y氏は野村證券ではあまり評価されなかった。さもありなん。金太郎アメの組織では少数意見は異端として排除される。
(2)ガリレオ・ガリレイも、ジャンヌ・ダルクも、教会の異端裁判の生け贄(にえ)となった。多くのノーベル賞学者も、元は異端者である。
(3)しかし私の経験では、株式市場では異端にこそ活路がある。

(三)三洋電機の買収株価を大胆予想する。

(1)私は1980年代に上場会社の買収合併を3件成立させた実績がある。当時は買収合併に興味を持つ人はまれであった。
(2)私は直近の半年間にも、富山化学、加ト吉、エネサーブの買収を予見した。
(3)これらの実体験から、パナソニックによる三洋電機の買収株価を大胆に予想しておきたい。
(4)マスコミはパナソニックが120円を主張したと報じているが、パナソニックが提示したのは理論株価であって、買収株価ではない。パナソニック自身は120円で決まるとも決めようとも思っていないだろう。
(5)買収株価は株式市場の実勢株価を前提として決める。三洋電機の株主は株式市場でいつでも自由に売れるのだから、時価より安い株価を提示しても応じる人がいない。
(6)買収株価は通常、過去3ヶ月、又は過去6ヶ月、例外的に直近1週間の平均株価を基準に30%前後のプレミアムを上乗せして決める。三洋電機の平均株価は、9〜11月176円、6〜11月212円、直近1週間150円強である。これに30%を上乗せすれば200円以上となる。
(7)ただし、三洋電機は1株70円で優先株を発行しており、これを全部普通株に換算すると発行株式数が4倍に激増する。80%を占める優先株を普通株と同じ条件で買収するのは負担が大き過ぎるから、パナソニックは優先株を保有する3社に参考データとして理論株価120円を提示したのだろう。
(8)住友銀行グループの三井住友銀行と大和証券が保有する優先株だけを買収する方法もあるが、パナソニックは100%の完全買収を表明している。私は優先株の潜在的売り圧力を割り引いた上で、200円前後と予想する。

(四)NHKが「インフルエンザ徹底対策」を大特集。

(1)NHKが「インフルエンザ徹底対策」を、12月1日から4日まで、20時30分から放映する。テーマは次の通りである。
 12月1日。侮れない症状。
 12月2日。ワクチンで万全予防。
 12月3日。ウイルスを制する治療薬。
 12月4日。新型インフルエンザの大流行に備える。
(2)これまで特効薬と見られたタミフルは利かないことがわかっている。現状で確実な防止方法はマスク以外にない。中でもダイワボウの新製品の評価が高いので、次項で取り上げたい。

(五)ダイワボウは仕手株復活第1号。

(1)ダイワボウは業績の大幅上方修正と鳥インフルエンザ防止マスクの新製品開発を材料にじり高をたどっていたが、取り組み接近で人気化した。NHKの放送内容によっては一波乱も予想される。
(2)信用取引の株不足は増大一途で、逆日歩が点滅し、出来高は連日1,000万株を超えている。クラブ9の予想どおり、仕手相場の復活第1号に発展する様相を呈している。
(3)売り方と買い方が信用取引でガップリ四つに組む日本の伝統的な仕手相場は、外国人投資家の借り株を用いた実弾売りを浴びて仕手筋が全面的に敗退した。
(4)しかし麻生首相が借り株を停止した直後から、借り株の買い戻しで株価が底入れする銘柄が続出している。私は日本固有の仕手相場が復活すると直感し、強弱感が対立しているダイワボウが第1号になると予想した。
(5)借り株規制は世界的な潮流である。米国でも10月に禁止した後、現在は復活しているが、再度禁止を検討している。
(6)金融庁は0.25%を超える借り株を開示する制度を開始した。完全消滅は時間の問題となった。
(7)今後はダイワボウに続く仕手銘柄が続出するだろう。借り株による売り崩しに悩まされていた新興市場の人気も復活するだろう。

(六)富山化学(富士フイルム)T-705 に注目。

(1)富山化学は積極的に新薬開発の情報を開示していたが、富山化学を買収した富士フイルムは全く消極的である。
(2)中でも富山化学の新型鳥インフルエンザ特効薬 T-705 は、3年前に動物実験による驚異的な有効性を日米双方の感染症学会で発表し、注目を集めた。
(3)昨年にはフェーズ1に成功し、2010年発売に備えて富山第2工場内に新工場を建設する意向を表明していた。
(4)今年は年初から日米双方でフェーズ2に入っており、富山大学の白木教授は日本の感染症学会で臨床の成果に触れている。
(5)世界の人類が新型鳥インフルエンザの脅威にさらされている折から、富山化学の上場を廃止した富士フイルムは直近の情報を開示する責任がある。
(6)NHK「インフルエンザ徹底対策」3日目の「ウイルスを制する治療薬」で関連情報が開示されるかもしれない。