2008/11/25

  2008年11月25日(月)

(一)日経平均は逆三尊底を形成。

(1)日経平均は典型的な逆三尊底を形成しそうだ。
(2)景気と業績が悪化しているのに株価が上がるはずがないと主張する弱気論者は、株価が6ヶ月先を先見するという重要な経験則を知らないらしい。
(3)米国の大多数のエコノミストは来年1〜3月期まで景気が悪化すると見ているから、現在は株価が来年4〜6月期の景気回復を先見するタイミングを迎えている。
(4)私は先週、ヘッジファンドの年内の手仕舞い売りを5,000兆円と予想し、大量売りは10月がピークで、年内の大口売りは11月中旬に終わると述べた。
(5)また、10月に30億株を超えた出来高は、11月には20億株以内に縮小すると述べたが、これも予想通りである。
(6)ヘッジファンドは先週までに現金比率を目標以上に積み上げたから、今週以降は買い余力が生まれるという観測もある。個人投資家の継続買いも心強い。
(7)需給関係を重視する私としては、日経平均が上放れる条件は熟したと思う。

(二)日経平均が世界の株価反騰をリードする。

(1)ニューヨークダウは日経平均ほどきれいな底値を形成していない。10月以降は日経がニューヨークに先行して反発している。日本優位を裏付ける条件は山ほどある。
 第1に、日本の金融機関が今回の金融恐慌で被ったダメージは、欧米に比べると桁違いに小さい。
 第2に、産業構造の中核を占める自動車産業の競争力で日米間に大差が生まれた。その差は今後も拡大一途をたどるだろう。
 第3に、日本経済は21世紀最大の成長市場であるアジアの中心に位置している。
 第4に、大半の日本企業は潤沢なキャッシュを蓄積し、そのキャッシュを続々と自社株買いに投入している。自社株買いは1株の価値を高め、需給関係を好転させる。
 第5に、さらにそのキャッシュを買収に投入する企業が急増する気配がある。景気後退期には設備投資によって生産量を拡大するよりも、買収合併によって市場シェアを拡大する方が、経営効率が高い。買収合併は株価を押し上げる効果も高い。

(三)三洋電機。

(1)クリーンエネルギーの本命は電池と太陽光発電である。パナソニックは双方に特化した三洋電機の完全買収を決断した。
(2)23日付産経新聞は、売り手のゴールドマン・サックスは250円を、買い手のパナソニックは150円を主張しており、落としどころは200円か、と予測している。いずれにせよ160円の三洋電機は買いだろう。

(四)三菱UFJ銀行。

(1)大手3行と野村證券とオリックスの5社が一斉に大型増資に踏み切る。生損保が追随する可能性もある。
(2)増資を表明した5社が売り込まれたのは当然であるが、東京海上や三菱地所等の超優良株が連鎖して暴落した。
(3)私は、新株を大量に引き受ける金融機関が資金手当のために保有する優良株を先行して売却したのではないかと思う。
(4)資金手当は先週で一巡した模様で、売り込まれた優良株が一斉に急騰するのではないか。
(5)中でも割安となった三菱UFJとその公募株はねらい目だろう。

(追加)米政府のシティバンク救済策。

(1)日経は今日の朝刊で、米国政府がシティバンクを丸抱えで救済すると報じた。
(2)私は、シティバンクが保有する29兆円の資産を政府が補償した効果を重視したい。
(3)そもそも金融不安はサブプライムローンを含む証券が大暴落したために発生した。
(4)今回の米政府補償は、買い手不在で相場が暴落し、デッドストックと化していた巨額の派生証券が流動性を回復する効果を持つ、と私は思う。
(5)派生証券の相場が回復すればシティバンクが救済されるばかりか、金融不況が最悪期を脱し、政府も財政負担を免れる。
(6)この点については別の機会に詳述したい。