2008/11/4

  2008年11月4日(火)

(一)政策が暴落に追いついて来た。

(1)株価が暴落するスピードが猛烈に速い。
(2)政治が暴落を食い止めようとするが、なかなか追いつけない。
(3)しかし一連の金融政策がようやく暴落する株価を射程に捕らえたように見える。

(二)弱気論者は理路整然と相場を間違う。

(1)「弱気論者は理路整然と相場を間違う」という格言がある。
(2)「知ったらしまい」という格言もある。
(3)弱気論は周知の情報となり、株価を大きく圧迫する材料とはなりにくい。

(三)強気の条件が台頭。

(1)マスコミは一方的に景気と業績の悪化を追求しているが、景気と業績を改善する条件も台頭している。
(2)第1に、暴騰していたすべての商品相場が大暴落した。暴騰幅以上に暴落した商品も多い。
(3)第2に、各国の政府は協調して巨額の財政資金を投入し続けている。
(4)第3に、米欧日の中央銀行は協調してジャブジャブに金融を緩和している。
(5)第4に、決算で業績悪化を発表しても、株価が上がる銘柄が多い。
(6)企業自身は株価が安過ぎるとみて、続々と自社株買いに踏み切っている。自社株買いは有力な株価下支え要因となる。

(四)株価を決める最大の要因は需給関係。

(1)アダムスミスを始祖とする近代経済学は「価格は需要と供給の接点で決まる」という不滅の経済理論を確立した。
(2)私は、株価を決める最大の要因は景気や業績よりも需給関係だと確信している。
(3)弱気論者は、景気や業績を重視して需給関係を軽視する傾向が強い。
(4)「不景気の株高」という格言は、不景気でも金融を緩和すれば株価は上がるという経験則から生まれた。
(5)10月後半には、個人投資家が一転して買いの主役に浮上した。公的年金(信託銀行)も押し目を買った。新しい買い手がヘッジファンドの大量売りに買い向かっている。

(五)窮地に追い込まれたヘッジファンド。

(1)ヘッジファンドの凋落が鮮明となった。年内に700以上のヘッジファンドが消滅し、資金量が半分以下に激減するという予測もある。
(2)ヘッジファンドは機関投資家から集めた資金を数倍に膨らませて運用し、世界の株式市場の主役を演じていた。
(3)しかしヘッジファンドに無制限に資金を貸し付けていた米国の投資銀行がみな商業銀行に転換し、資金を引き揚げた。さらに金融機関の解約が集中したために廃業に追い込まれるファンドが続出している。
(4)ヘッジファンドは「買い6、売り4」の売り買い両建てで資金を運用する。カラウリは「借り株」によって調達するから、姿が見えない実弾売りでしばしば株価を急落させた。麻生首相は先週、借り株を禁止した。
(5)ヘッジファンドの決算月は11月と12月に集中しており、解約は45日前に締め切るから、遅くとも11月15日にまでにヘッジファンドの大量売りは終わる。

(六)日独で敗退したヘッジファンド。

(1)先週、ドイツと日本でヘッジファンドが手痛い敗北を喫した。
(2)ドイツではフォルクスワーゲンの株価が1日で5倍に暴騰し、売り向かっていたヘッジファンドが数千億円の赤字を出した。フォルクスワーゲンの筆頭株主であるポルシェが市場外で大量の株式を取得したことが判明し、ヘッジファンドが踏み上げを迫られたからである。
(3)参考までに、ポルシェ財閥の創始者であるポルシェ博士はフォルクスワーゲンを創業し、その後にポルシェを創業して、ポルシェがフォルクスワーゲンの筆頭大株主となっていた。
(4)ヘッジファンドは日本でも窮地に追い込まれている。彼らは先安と見て60%の買い玉を先に手仕舞ったために先々週までは株価が大暴落したが、先週は個人と公的年金が買い向かい、株価が反騰に転じた。ヘッジファンドはあわてて40%の借り株を買い戻そうとしたが、株価が急反騰し、カラウリが残った。

(七)11月相場に期待。

(1)私の需給分析が間違いでなければ、ヘッジファンドの買い戻しで今週も株価が上昇し、そのまま中間反騰か、場合によっては本格反騰につながる可能性がある。
(2)隆盛を誇っていたヘッジファンドといえども、需給関係の変化を読み間違えれば窮地に陥る。
(3)今隆盛を誇っている弱気論者もまた需給関係を軽視しているから、相場観を誤る可能性がある。