2008/10/14

  2008年10月14日(火)

(一)株価暴落に追いついた金融財政政策。

(1)G7では、必要な政策をすべて実行する方針で合意した。
(2)G7直後の週末に、ヨーロッパでは、抜本的な行動計画を一気に具体化した。第1に、国家が主力銀行に資本投入を断行。第2に、個人預金を無制限に保護。第3に、銀行間の融資を政府が保証。
(3)アメリカもヨーロッパに追随する姿勢を鮮明にしている。アメリカは75兆円の財政資金を調達するために短期国債を発行する必要がある。そのために実行が遅れたが、追随は時間の問題である。
(4)株価暴落のスピードがあまりにも急なために政府と中央銀行の対応が後手に回ったが、先週末の2日間で一気に時間差を縮めた。
(5)この間に石油相場は半値近くに大暴落した。金を除くすべての商品相場が急落したから、中央銀行の政策目標はインフレ抑制からデフレ抑制へ、明快に絞り込まれた。
(6)追加利下げが射程に入ってきた。次回の利下げには日本も追随するだろう。
(7)麻生首相は企業に自社株買いを促した。株価が軒並みに純資産倍率を大幅に割り込んでおり、財界もまた自社株買いを断行する責任と必要に迫られている。
(8)今週から攻守が逆転する。弱気論者よ、おごるなかれ。

(二)陰の極を示すテクニカル指標が続出。

(1)純資産倍率を初め、すべての理論株価が大底を下方に突き抜けた。テクニカル指標から、異常で異例の弱気局面である。
(2)日本の弱気論者の最終目標は日経平均7,600円に集中している。米国の弱気論者の最終目標値も、7,000ドル台に集中している。
(3)日米の株価はいかなる弱気論をもってしても説明できないほどの弱気水準へ、一気に落ち込んだ。ここからは強力な抵抗帯に直面するだろう。
(4)反騰の幅とスピードもまた、予想外に強力だろう。
(5)エコノミストもマスコミは弱気論一色で、想像できる限りの過激な弱気論が氾濫している。
(6)機関投資家も個人投資家も換金売りに殺到した。その結果、先週は連日30億株前後の大商いを演じた。暴落局面における大商いはセリングクライマックス(陰の極)の典型である。

(三)弱気論者よ、おごることなかれ。

(1)大底を示すテクニカル指標と、一挙に具体化した金融財政政策の両面から、株価は今週、反騰に転じると私は思う。
(2)異常な悲観人気の裏目が出て意外高に発展する可能性がある。
(3)麻生首相に促されるまでもなく、決算の減額修正と前後して自社株買いを表明する企業が続出するだろう。減額修正は織り込み済みであるが、大規模な自社株買いには意外性がある。

(四)富士フイルム。

(1)富士フイルムの株価は純資産の半値に暴落した。いま富士フイルムの資産を担保にした買収(LBO)に成功すれば、タダで買収した上に1兆円の現金が転がり込んでくる。現在の暴落が如何に異常であるかを示している。
(2)経営者の目で見ても、自社株買いは他のいかなる投資よりも効率が高いだろう。
(3)富士フイルムと同様に売られすぎた優良企業は、経営者がよほど凡庸でない限り、買収防衛策を兼ねて自社株買いに踏み切るだろう。

(五)ダイワボウ。

(1)ダイワボウは100円台に急落したが、材料もある。衛生、環境、高機能性繊維の開発に本腰を入れている。
(2)今年は例年よりも2ヶ月早く世界各地で鳥インフルエンザが発生している。パンデミック(世界的大流行)に発展するリスクは5段階のうちレベル4に達している。
(3)3年前にはマスクの開発で800円台に急騰した。新たな業態転換の目標から、新型マスク開発も期待できる。
(4)カラウリが増加しており、仕手人気に発展する可能性がある。

追記。大相場に発展へ。

(1)昨日、私は勇を鼓して以上の強気論を述べた。しかし13日の株価で底入れ、大逆転が鮮明となった。今後の展開について私見を追加しておきたい。
(2)先週までは弱気論が先行し、大膨張した。米欧日が協調して金融政策、財政政策を総動員したが、大暴落を阻止することができなかった。
(3)しかし7ヶ国会議が終わった直後の11、12日にヨーロッパの主要国は、決定的な抜本策をまとめた。政治がついに先行した弱気論を追補したのである。昨日の海外市場は尻上がりに高騰した。
(4)さてこれからどうなるかと言えば、水面下に空前の巨大な過剰流動性が残った点に注目したい。第1に、政府は惜しみなく銀行に資本を注入した。第2に、銀行自身も増資を強行した。第3に、企業はみな貸し渋りに備えて資金の囲い込みに走った。第4に、ヘッジファンドを含む投資信託は解約急増に備えて十二分の現金を蓄積している。第5に、中央銀行は連日にわたり、無制限に流動性を供給した。第6に、それでも銀行間に資金が回らないので、政府は銀行間の貸借を保証した。かくして水面下で堆積した空前の過剰流動性が、これから表面化する。
(5)株価が反騰に転じても、政府と中央銀行は金融不安の終息を確認するまで、ジャブジャブの資金を回収しないだろう。
(6)それゆえ巨大な過剰流動性が次第に表面化し、ついには株価を急騰させるだろう。
(7)しかし大暴落で勢いづいた弱気論者は財政政策、金融政策をなめきっているから、株価の反騰を一時的と見て、戻り売りを継続するだろう。
(8)強気論者も、厳しい打撃を受けたために、資金力余力が乏しい。
(9)かくして株式相場は二進一退を繰り返しながら、予想を超える大相場に発展するだろう。