2008/9/8

  2008年9月8日(月)
  押し目買い、突っ込み買いの好機

(一)チャート1、ニューヨーク石油とニューヨークダウ。

(1)石油相場が急落した。
(2)石油投機は穀物、鉄鋼、非鉄等、すべての商品市況の高騰を誘発し、世界中で激しい物価インフレを引き起こした。石油の高騰こそ、諸悪の根元であった。
(3)物価インフレは市民生活を直撃し、景気を悪化させる。政府は物価抑制のために政策金利を引き上げなくてはならない。金利を上げれば悪化した景気がさらに悪化し、下落した株価がさらに下落する。
(4)しかし諸悪の根元である石油がついに目先、天井を打った。各国政府は政策金利を引き下げて、景気をてこ入れすることができる。金融を緩和すれば株価は上がる。
(5)ところが現実には、石油の急落が世界中の株価の急落を誘発した。
(6)果たして株価の急落は新たな暴落の始まりだろうか。それとも急落は一時的で、買いの好機だろうか。
(7)私はニューヨークダウは上昇すると思う。その理由を次項で示したい。

(二)チャート2、シティグループとトール・ブラザーズ。

(1)過去1年間の世界的株価暴落は、サブプライムローンの破たんに始まる金融不況が原因であった。しかし金融株の指標である世界1のシティグループは先週の暴落局面でも頑強で、ほぼ下値を固めた。週末には多くの金融株が逆行高した。
(2)サブプライムローンの破たんを受けて住宅価格が下がり、住宅需要が減少した。しかし住宅産業の指標である全米1のトール・ブラザーズは、4日に赤字決算を発表したにもかかわらず、株価は高値圏を維持した。株式市場は過去の赤字決算よりも未来の受注好転を評価したのである。さらに主要都市の3分の1で住宅価格が上昇し、中古住宅の在庫が減少するなど、住宅市場好転の指標も点滅し始めた。
(3)そこへ週末に大材料が出た。ファニーメイとフレディマックの住宅公社2社の国営化が決まり、不完全ながら両社の株価も保全される。株価は支援策を予見して2週間前から反騰に転じていた。
(4)同時に、配当保証のモノライン2社、MBIAとアムバックの株価も急騰していた。
(5)金融不安で暴落をリードしていた銘柄群が反騰を開始していたのである。株価の先見性を信頼すれば、金融不況、住宅不況は最悪期を脱出した。
(6)私は2銘柄のチャートを再三掲載し、金融と住宅の反騰が始まったと指摘したが、弱気の先入観に捕らわれた人の目には見えなかった。
(7)住宅公社の国営化は金融不安に終止符を打つだろう。

(三)株価反騰の指標が続出。

(1)理論的には石油、商品の急落は株式の買いである。
(2)しかし現実には先週、商品相場に連れ安して、株式が全面安を演じた。
(3)全面安となった原因は次の如くだろう。
 第1に、景気、業績、雇用等の統計数値はまだ好転していない。
 第2に、欧米の投信は10月決算で、毎年9月は配当原資の準備等で株価が下がる。
 第3に、先週はヘッジファンドが破たんし、石油や資源株の処分売りが集中した。
 第4に、これに動揺した機関投資家、個人投資家が一斉に換金売りに走った。
(4)その結果、味噌も糞も一緒くたに売られて全面安となった。
(5)しかし全面安の中で、先行して暴落していた金融、住宅が頑健であった。住宅公社の国営化という好材料も出た。
(6)19日はトリプルウイッチング(3人の魔女)と呼ばれるメジャーSQである。その週に3人の魔女が現れてしばしばいたずらをするが、いたずらには急落もあれば急騰もある。株式相場は重要な転換点を迎えた、と私は思う。
(7)反騰をリードするのはニューヨークダウだろう。アメリカは官民とも不況に対処するスピードが段違いに速い。大統領選挙を2ヶ月後に控えて、株価対策、景気対策に決着がつく。4,000億円を投入したサブプライムローンの救済や、3,000億円を投入した住宅公社の国有化はその一貫である。
(8)衆議院選挙を控えた日本も金融を量的に緩和すれば「不景気の株高」となる。私は押し目買い、突っ込み買いの好機だと思う。

(四)材料株・中外鉱。

(1)5日に、今3月期の黒字転換を発表して株価が急伸した。
(2)同社は伊豆の金鉱山の再開発を検討している。8月に1本目のテストボーリングを終了し、現在は広島大学等で鉱石を分析している。結果が判明するのは10月以降だという。
(3)再開発の決定はテストボーリングを3本実施し、データを分析した後になる。成り行き次第で仕手人気に発展する可能性がある。
(4)ちなみに金鉱山の品位は住友金属鉱山の菱刈が1トン当たり100グラム以上で世界ダントツである。南アやオーストラリアの品位は1トン当たり6〜7グラム程度に悪化し、有望な鉱山開発の舞台はアラスカに移っている。住友金属鉱山もすでにアラスカが主力となりつつある。

(五)材料株・ダイワボウ。

(1)マスクの新製品を開発した。
(2)新製品はほぼ完璧に新型鳥インフルエンザの感染を防ぐという。