2008/3/31

  2008年3月31日(月)

(一)株価が悪材料を織り込んだ。

(1)株式市場には「人の行く、裏に道あり、花の山」という格言がある。「知ったらしまい」という格言もある。
(2)どんなに大きな悪材料、好材料も、みんなが知ってしまえば株価は織り込み済みとなる。株価は未知の材料に対して反応する。株価がどこまで悪材料を織り込んだか。それが問題である。
(3)例えば、外資系証券が3月決算でサブプライム関連の評価損が拡大すると見て銀行株を格下げした。本決算で減益となっても予想の範囲であれば、株価は悪材料出つくしで上がる可能性がある。
(4)例えば、相場の地合もエコノミストやマスコミの論調が弱気一色となれば、株価が悪材料を織り込んで、反騰の条件を形成する。
(5)例えば、東京市場の出来高や市場性はニューヨークに次いで高い。中国は時価総額で日本を上回るが、政府の保有株が90%を占めているから、市場性は新興市場並みに低い。それゆえ下落局面では東京市場がアジア市場のヘッジ売りの場となったのである。その結果、東京の先物市場と借り株市場で外国人投資家の大量のカラ売りが堆積したから、一旦反騰局面に転じると、買い戻しとヘッジ買いで東京市場が割高となる。エコノミストとマスコミは日本株の割安を日本経済の弱さに求めているが、筋違いの分析が多い。
(6)例えば、欧米の株式市場はサブプライム関連の損失、景況と業績の悪化、住宅の値下がりと在庫増、失業率の上昇、インフレの進行等々、山のような悪材料を次々に問題視したが、株価もまた暴落課程で悪材料を織り込んでいる。
(7)現在は悪材料を過剰に織り込み過ぎた局面だと私は思う。マスコミは悪材料探しに熱心のあまり、着実に成熟しつつある好材料を見落としている。

(二)着実に成熟する好材料。

(1)5月にアメリカ政府が税金のキャッシュバックを断行する。夏場の景気押し上げの要因となる。
(2)アメリカ政府はサブプライムローンの救済案を次々に具体化した。問題の発生源そのものにメスが入り、修復作業が本格化する。
(3)FRBの流動性供給がついにピンポイントで投資銀行に届いた。ベアー・スターンズが救済され、投資銀行の資金繰りが好転している。その結果として投資銀行が組成した証券の投げ売りが止まれば、金融機関が抱え込んだ評価損の拡大が止まり、縮小へ大転換する可能性が生まれる。
(4)FRBはさらに、大規模な証券の直接買い取りに踏み切る準備を進めている。
(5)米政府とFRBの金融市場対策が軌道に乗れば、信用不安が沈静化し、世界の株式相場に底入れの可能性が生まれる。
(6)一方、世界の金融市場には史上空前の投資資金が積み上がっている。今年の政府系資金と新規のオイルマネーは500兆円を超えると予想されるが、その巨大な新規資金をさばきうる市場は株式市場以外に存在しない。
(7)以上のどれ一つを見ても私は大材料だと思うが、弱気論に汚染されたエコノミストとマスコミは過去の悪材料の分析に熱心で、未来の好材料に目を向けようとしない。

(三)サブプライム関連は底値圏。

(1)チャートは3月6日付日経から転載したが、日経はマークイットグループ社のデータから作成している。
(2)日経はチャートからサブプライム関連証券の損失がさらに拡大すると解説しているが、私は同じチャートを見て、すでに下げ余地のない底値圏に達したと思う。
(3)チャートを見れば、最高格付けのトリプルA(AAA)でさえも半値に、ダブルA(AA)以下は80%も大暴落している。
(4)債券市場では日本の国債やトヨタがようやくダブルAの格付け取得している程度で格付けの厳格さこそ信用の絶対的な裏付けである。ところがサブプライム関連は日本の国債並みのダブルA格債が倒産同然の価格まで売り込まれた。
(5)しかし現実にサブプライム関連証券が破綻したという話は聞いたことがない。さもありなん。全米の住宅ローンのうちサブプライムローンは10%未満で、サブプライム関連といってもサブプライムローンは10%程度しか含んでいない。その他は健全な住宅ローン等だから、期日まで持てば額面又は額面近くで償還される。
(6)にもかかわらずサブプライム関連証券が大暴落したのは、保有している金融機関の資金繰りが悪化したからである。
(7)しかし前項の通り政府とFRBの救済策が出そろってきた。正常な住宅ローンをFRBが買い上げるという情報もある。そうなれば額面1ドルのダブルA格債を20セントでたたき売る馬鹿はなくなる。
(8)JPモルガンチェスがベアー・スターンズの買収株価を2ドルから10ドルに引き上げたが、1週間前に60ドルで買った大株主の怒りは収まらない。訴訟必至の情報もある。保有証券が倒産の噂で暴落したが、倒産を免れると急反騰したからである。
(9)ベアー・スターンズが体験した「天国から地獄へ、地獄から天国へ」のドラマが、今からあちこちで再現される可能性がある。

(四)業種と銘柄。

(1)強気の前提に立てば好悪材料が逆転するから、これまで最も売り込まれた銀行、不動産にチャンスが回って来る。
(2)富山化学に全力を投入した私としては、富山化学を買収した富士フイルムに新薬開発の夢を託したい。富山化学と正反対に有り余る現金を積みあげており、開発資金に不安がない。
(3)既報銘柄の中では、太陽光発電の穴株、エネサーブの2段上げに期待。