2007/12/25

  2007年12月25日(火)
  2008年新春相場を予想。
    総悲観の裏目が出て株価は急騰へ。
    最悪期を過ぎたサブプライム問題。
    最有望銘柄は富山化学。

【I】株価は総悲観の裏目が出て急騰する。
(一)史上空前の過剰流動性。

(1)第1に、FRBを初め、主要国の中央銀行が放出した100兆円以上の過剰流動性が金融市場に残る。
(2)第2に、今年は石油相場の暴騰と増産によってオイルマネーの資金量が200兆円も激増した。増勢は来年も続く。
(3)第3に、政府系ファンドの資金量は100兆円を大幅に超えた。間もなくサウジアラビアも100兆円以上のファンドを立ち上げるという。日本でも110兆円の外貨準備の一部を米国国債一辺倒から投資ファンドに振り向けよという議論が高まっている。
(4)2週間前までは政府系資金の政治的投資に対する警戒論が盛んであったが、過去2週間に大手金融機関に対する大規模な資本注入が表面化すると、サブプライム救済の白馬の騎士と賞賛された。
(5)かくして500兆円に及ぶ過剰流動性が投資機会を求めて金融市場に渦巻いており、今年の商品、不動産から、来年は大挙して株式に向かうだろう。

(二)株価を決める最大の要因は需給関係。

(1)弱気論者はサブプライム問題に足を引っ張られて景気や業績が悪化すると主張している。
(2)しかし私は、「価格は需要と供給の接点で決まる」という経済学の大原則を信奉している。
(3)現に今年の後半はサブプライム不安が拡大一途をたどったが、ニューヨークダウはその後も史上最高値を更新し、現在も高値圏を維持している。これが「不景気の株高」といわれる現象で、景気が悪化しても金融を緩和すれば株価は上がるのである。
(4)エコノミストは過去の金融破綻を引き合いに出して、修復までには数年が必要だと主張しているが、私は短期間に終息すると思う。根拠は前項で見た500兆円に達する史上空前の過剰流動性の存在である。
(5)今年、商品相場を軒並みに大暴騰させた過剰流動性の次の行方は株式市場以外に考えにくい。
(6)景気、業績、株価に関するすべての弱気論はサブプライム問題の深刻化を前提としており、評価損が拡大から縮小に転じれば、弱気論は根拠を失う。
(7)今日では世界経済を牽引する主役は米国から中国、インド、ロシア等の新興国に変わった。中でも日本の貿易相手国は圧倒的にアジア中心となった。新興国家群と日本は巨大な貿易黒字を積みあげて新たな投資機会を狙っている。米国の顔色に一喜一憂するエコノミストの論評は時代錯誤である。
(8)私は、サブプライム問題は峠を過ぎたと思う。その理由は【II】で述べたい。
(9)かくして新春には総悲観の裏目が出て、ニューヨークダウが史上最高値を更新すると私は思う。

(三)日本株復活の年。

(1)内外の機関投資家は今年、アジア市場で日本売り、新興国買いを進めた。欧米市場でも、日本株売り、欧米株買いが進行した。
(2)その結果、世界の株式投信のポートフォリオで日本株の構成比が急低下し、独歩安を演じた。
(3)しかし外国人投資家は今、一斉に割安が鮮明な日本株を見直している。オイルマネーも東京オフィスの開設を急いでいる。
(4)来年にはポートフォリオの修復で外国人買いが急増し、日本株の相対的な割安が修正されるだろう。

(四)最有望銘柄は富山化学。

(1)世界の株式市場にとって、来年最大のリスクは新型鳥インフルエンザH5N1がトリ−ヒトから、ヒト−ヒトに変異する場合である。
(2)WHO(世界保険機構)は、そうなれば一気にパンデミック(世界的大流行)に発展し、1億5,000万人の死者が出ると予想している。日本の厚生省も日本人の死者を66万人以上と予想している。
(3)発病から6日以内に60%が死亡するという脅威のために北京オリンピックは開催不能となり、世界の株価は急落するだろう。
(4)その時、T-705が注目を集め、富山化学は唯一のヘッジ銘柄となる。
(5)パンデミックがなくても、T-705を含む開発中の大型3新薬がそろってフェーズ2に入る。下値不安が乏しい上に材料山積みで人気化する素質がある。
(6)富山化学の詳細は12月17日付けクラブ9を参照されたい。

【II】ピークを過ぎたサブプライム評価損。
(一)評価損は縮小に転じる。

(1)8月に、評価損は推定10兆円に急増し、世界の株価は1段下げを演じた。
(2)11月に、評価損は推定20兆円に激増し、世界の株価は2段下げを演じた。
(3)評価損は来年には30兆円に拡大するという予測が有力であるが、私は10兆円に激減する可能性の方が高いと思う。
(4)その理由は以下の通りである。

(二)評価損急増のメカニズム。

(1)サブプライムローンを含んだ資産担保証券の下落が、10〜11月にはサブプライムを含まない資産担保証券に波及して、金融機関の評価損が激増した。
(2)シティバンク自身の発表によれば、傘下企業が保有する資産担保証券は半分がAAA格債、残りの半分もAA格債である。AAA格債は並の国債よりも格付けが高く、満期まで持てば満額で償還される可能性が高い。それでも11月には30%も大暴落した。
(3)サブプライムローンを含んだB格債は60%、C格債に至っては80%も大暴落した。
(4)世界1のシティバンクといえども評価損が自己資本を食いつぶせば倒産に追い込まれる。
(5)野村證券のように早めに保有債券を売却して損失を確定した金融機関もあるが、遅れて処分売りに出た金融機関が暴落の引き金を引いた。
(6)需給関係の悪化を見て取ったゴールドマン・サックス等が空売りで追い打ちをかけたために、暴落がAAA格債にまで及んだのである。

(三)白馬の騎士はオイルマネーと政府系ファンド。

(1)しかし捨てる神あれば拾う神ありである。第1に、好機到来と見たオイルマネーがHSBCやシティバンクの株式を大量に取得した。オイルマネーは今年、石油相場の大暴騰で200兆円の利益を蓄積したから、有望な投資案件を探していた。一流金融機関の株価暴落は絶好の投資目標となった。
(2)第2に、政府系ファンドの資金量も100兆円を大幅に突破し、有望な投資先を求めていた。シンガポールに次いで中国の政府資金が好機到来と見てUBS、ベア・スターンズ、メリル・リンチ等の株式を大量に取得した。
(3)資本注入の条件である年率10%以上の金利負担が大きすぎるという批判もあるが、30〜80%も大暴落した相場が回復すれば評価損は評価益に変わり、窮地を脱出するめどが立つ。
(4)第3に、米国を中心に欧州、英国、カナダ、スイスの中央銀行が協調して低利の資金を無制限に供給し、資金を必要とする金融機関にピンポイントで融資するシステムを構築した。システムが不完全だという批判もあるが、改善が進んでいる。
(5)第4に、米国政府はサブプライムローンの破綻者の直接救済に乗り出した。米国内には政府の財政出動に反対する意見もあるが、グリーンスパン前FRB議長は早期かつ大規模な介入を支持している。
(6)オイルマネー、政府系ファンドの民間資金に政府、中央銀行のてこ入れ策が加わって、サブプライム不安はすでに最悪期を脱したと私は思う。

(四)官民協調で評価損は縮小へ。

(1)来年には政府の財政出動、中央銀行の資金注入、オイルマネーと政府系ファンドの積極投資が噛み合って、効果を増幅する。
(2)自己資本の充実と借入金の調達が順調に進めば金融機関は資産担保証券をたたき売る必要がなくなる。
(3)空売りで儲けた投機筋は買い戻しを急がなくてはならない。
(4)評価損の縮小傾向を先見して、株価が反騰に転じる。
(5)株価の上昇を受けて不良債権が縮小するというプラスの循環が軌道に乗る。