2007/11/5

  2007年11月5日(月)
  JTによる加ト吉買収の条件整う。
  続々・それでも株価は上がる。
  突破口は小型材料株、新興市場株。

(一)JTが加ト吉買収か。

(1)加ト吉が連結決算の経常利益予想を50%減額した。売上高も38%減の2,154億円に減額した。
(2)監査法人が変わり、旧経営陣が支配していた子会社4社を連結決算から外して持ち分法に変更するなど、決算手法と決算内容は抜本的に修正された。
(3)民営化される前のJTは日本専売公社と呼ばれ、大蔵省が直轄していた。今回の決算修正でJTは最も保守的な決算手法を適用したと推定される。
(4)しかし実態価値を全面的に洗い直すことによって、JTが加ト吉を買収するための障害はすべて排除されたと私は感じた。現在に至るまでの経過は次の通りである。
(5)JTは、英ガラハー買収によって売上高6.4兆円、営業利益4,000億円の世界的な巨大優良タバコ会社に躍進した。しかしタバコ産業そのものが斜陽化しており、JTは新たな成長分野を薬品と食品に求めていた。
(6)食品分野で加ト吉に着目し、5%を出資した。世界的な巨大企業のJTが食品担当役員のトップ2名を格下の加ト吉に派遣したのだから、当初から買収を視野に入れていたと思われる。
(7)加ト吉サイドでも創業社長の加藤氏が老齢化し、JTに経営権を禅譲する合意があったと推定される。
(8)たまたま加ト吉は不透明な循環取引が発覚し、ミートホープ事件に巻き込まれるなど、不祥事が続発、加藤氏と旧経営陣が退任して、JT出身の2名が残った。
(9)新社長に就任した金森氏は元専売公社の殿様商法とは無縁の実力者で、一歩も引かず、快刀乱麻を断つがごとく鮮やかに窮地を乗り越えた。その泥まみれの奮闘と力量に私は強い感銘を受けた。
(10)かくして加ト吉は事実上、JTの丸抱え企業となった。私にはJTが即座にTOBに踏み切らない理由がわからなかったが、今回の決算修正で疑問は氷解した。
(11)市場買い付けか第3社割り当てかはともかく、JTによるTOB表明は時間の問題だろう。投資家はJTの決断を大歓迎するだろう。
(12)JTは世界屈指のタバコ会社である。JTの後ろ盾を得た加ト吉は海外で冷凍食品を拡販し、国内でJA(農協)の販売網を取得するだろう。
(13)決算悪で売られたところは買いの好機だと私は思う。

(二)続々・それでも株価は上がる。

(1)先週末に欧米の株価は波乱を演じたが、私の強気は変わらない。
(2)先週のチャート<NYダウ日足>を参照されたい。B点(8月16日、12,517ドル)で1番底をつけた後、C点(10月11日、14,198ドル) で史上最高値を更新したのだから、D点(10月22日、13,566ドル)は2番底である。かりに一時的にD点を下回る場面があっても、大底形成の大勢に変化はないだろう。
(3)現在は、サブプライム不安とサブプライム不安を克服するための金融政策が格闘しているが、克服への道筋は見えたと私は思う。
(4)障害は次の2点だろう。第1に、サブプライム問題は個人の投機的な住宅投資と金融機関の投機的な債券投資に発しており、政府が投機筋の救済に過大な財政資金を投入するわけにいかない。第2に、急速で過剰な資金投入はインフレを誘発する。
(5)その結果、問題解決のための時間は長引くが、株価は着地点を先見している。NYダウの新値更新は遠くないだろう。

(三)中小型材料株、新興市場株が牽引。

(1)日経平均に逆行する銘柄群が台頭してきた。
(2)第1に、大暴落を演じて個人投資家に打撃を与えた新興市場株の底入れ、反騰が鮮明となってきた。
(3)第2に、先週の一部市場の急落局面でも、中小型材料株の中から逆行高する銘柄群が現れた。
(4)ひと握りの大型株だけで日経平均を支える状況こそ異常で、新興の利益成長株が正当に評価される相場環境こそ正常である。現に、アジア市場の大活況をリードしているのは新興成長企業である。
(5)郵貯と年金が新たにそれぞれ1,000億円規模の小型株ファンドをスタートさせたという。
(6)クラブ9は新興市場、中小型材料株重視の旗印を掲げ続けてきたが、ようやく困難な時期を脱したと思う。成長株投資にはリスクが伴うが、リスクがあればこそ利益も大きい。以下にコメントを加えておきたい。

(四)GCA(2126)。

(1)先週末の世界的な急落局面でも逆行高を演じた。
(2)TOBを助言、斡旋する会社が自らモデルとなって最先端のTOBを演じた。
(3)日本のTOB時代は今から本番を迎える。新たな実績に期待したい。

(五)富山化学(4518)。

(1)世界の製薬大手は共通して「2010年問題」を抱えている。主力薬品が2010年から相次いで特許期限切れを迎えるからである。
(2)そんな時に富山化学は2010年に向けて複数の新薬開発が進行している。詳細は富山化学のホームページを参照されたい。
(3)アステラス製薬を窓口に、10月に国内で発売した抗生物質ジェニナック(ガレノキサシン)の販売が順調の模様である。
(4)強弱観が入り乱れて取り組みが接近しており、株価は波乱含みである。新たな材料の表面化に期待したい。

(六)野村マイクロ・サイエンス(6254)。

(1)新たにクラブ9の参考銘柄に加えたい。
(2)野村證券主幹事で10月5日に上場したばかり。野村證券直系の優良企業である。
(3)野村證券のレポートで、1株当たり利益予想は今期128円、来期142円。事業素質、販売先、新規事業、成長力が充実している。詳細は野村證券のレポートを参照されたい。
(4)株価は高寄りした後、大幅に下落している。予想株価収益率20倍以下は新興市場のニューフェースの中でも不思議なほど割安である。

(七)ネクスト(2120)。

(1)前期に続いて今期も利益倍増の予想である。
(2)リクルート出身社長の経営力が緻密で、当社の不動産情報をインターネットで検索すれば傑出した内容と手法が一目瞭然である。
(3)不動産は1,000兆円の超巨大市場だけに、高度成長企業が輩出しやすい。
(4)先週末の株価急落にも逆行高した。チャートは新値更新を目指している。