(1)世界中の株式市場が史上最高値を更新している。中でもアジアの騰勢は際だって強い。しかし世界で唯一、東京市場だけが低迷している。
(2)不動産相場も世界中で高騰している。今日では不動産投信を含む証券化技術の発達によって不動産も金融商品となり、株式や商品との連動性を強めている。
(3)石油を筆頭に商品相場が次々に高値を更新し、オイルマネーは増勢一途である。
(4)サブプライム破綻の拡大を防ぐために、米国、欧州、英国の中央銀行が大規模な過剰流動性を放出した。
(5)需給関係の変化に注目すれば、オイルマネーの増大とジャブジャブ金融が株価の高騰を誘発し、株価の高騰が地価の高騰を誘発した。株式相場と商品相場と不動産相場が連鎖して上昇する資産インフレの構造は、ジャブジャブ金融によって補強された。
(6)日本は生産技術においても設備投資においても躍進するアジアのリーダーである。その日本の株価が世界で唯一低迷している状況は異常である。
(7)需給関係に基づいて日本株不振の原因を述べれば、異常をもたらした最大の背景はアジア株ファンドによる大規模な日本株売りであった。すなわち世界的な暴落局面では流動性の低いアジア市場で大量の売り玉がこなせないから、唯一流動性の高い東京市場の先物に売りヘッジが集中した。
(8)証拠はある。第1に、世界的暴落の最終日に世界の中で、特にアジアの中で東京市場だけが暴落を演じた。第2に、その直後から底値売りを免れたアジア株が全面高し、底値を大量に売った東京市場が低迷している。第3に、その結果として、巨大な先物市場の売り玉や新興市場の借り株が取り残された。
(9)アジア株ファンドのファンドマネジャーは世界的な株価の急反騰を読み損なって日本株のドン底をたたき売ったから、早晩ドテン買いに転じざるを得ない。
(10)海外のアジア株ファンドがアジア株売り日本株買いに転じれば、需給関係が好転する日本株は修正高に転じる。
(11)出遅れたとはいえ、東京市場も先物主導の買い戻しで反騰に転じ、循環買いが軌道に乗ってきた。中でも借り株の買い戻しで、大暴落していた新興市場が急反発した。
(12)証券界は日本株割安の理由探しに熱心であるが、需給関係を重視する私は割安を修正する局面に入ったと思う。