2007/10/15

  2007年10月15日(月)
  東京市場は出遅れ修正へ。
  需給関係重視の相場観。
  注目銘柄のフォロー。

(一)需給関係重視の相場観。

(1)世界中の株式市場が史上最高値を更新している。中でもアジアの騰勢は際だって強い。しかし世界で唯一、東京市場だけが低迷している。
(2)不動産相場も世界中で高騰している。今日では不動産投信を含む証券化技術の発達によって不動産も金融商品となり、株式や商品との連動性を強めている。
(3)石油を筆頭に商品相場が次々に高値を更新し、オイルマネーは増勢一途である。
(4)サブプライム破綻の拡大を防ぐために、米国、欧州、英国の中央銀行が大規模な過剰流動性を放出した。
(5)需給関係の変化に注目すれば、オイルマネーの増大とジャブジャブ金融が株価の高騰を誘発し、株価の高騰が地価の高騰を誘発した。株式相場と商品相場と不動産相場が連鎖して上昇する資産インフレの構造は、ジャブジャブ金融によって補強された。
(6)日本は生産技術においても設備投資においても躍進するアジアのリーダーである。その日本の株価が世界で唯一低迷している状況は異常である。
(7)需給関係に基づいて日本株不振の原因を述べれば、異常をもたらした最大の背景はアジア株ファンドによる大規模な日本株売りであった。すなわち世界的な暴落局面では流動性の低いアジア市場で大量の売り玉がこなせないから、唯一流動性の高い東京市場の先物に売りヘッジが集中した。
(8)証拠はある。第1に、世界的暴落の最終日に世界の中で、特にアジアの中で東京市場だけが暴落を演じた。第2に、その直後から底値売りを免れたアジア株が全面高し、底値を大量に売った東京市場が低迷している。第3に、その結果として、巨大な先物市場の売り玉や新興市場の借り株が取り残された。
(9)アジア株ファンドのファンドマネジャーは世界的な株価の急反騰を読み損なって日本株のドン底をたたき売ったから、早晩ドテン買いに転じざるを得ない。
(10)海外のアジア株ファンドがアジア株売り日本株買いに転じれば、需給関係が好転する日本株は修正高に転じる。
(11)出遅れたとはいえ、東京市場も先物主導の買い戻しで反騰に転じ、循環買いが軌道に乗ってきた。中でも借り株の買い戻しで、大暴落していた新興市場が急反発した。
(12)証券界は日本株割安の理由探しに熱心であるが、需給関係を重視する私は割安を修正する局面に入ったと思う。

(二)「不景気の株高」。

(1)1990年にバブルが崩壊するまで、日本の株式市場では「不景気の株高」という格言が常識であった。
(2)不景気になれば日銀は金融を緩和する。金融を緩和すれば株式の需給関係が好転する。需給関係が好転すれば不景気でも株価は上がる。
(3)価格が「需要と供給の接点で決まる」ことは経済学の不滅の大原則である。株価も例外ではない。
(4)しかし驚くべきことに、サブプライム問題をめぐる議論の中で、エコノミスト、日経、証券界の優等生たちは誰も需給関係が好転した事実に注目しない。彼らの論理は常に下がれば弱気、上がれば強気の理由を探す後講釈に過ぎない。将来を予測する相場観と後講釈の結果論とは全く別物である。
(5)私は1ヶ月以上も前から需給関係の好転に注目してニューヨークダウの史上最高値更新が近いと主張してきた。
(6)第1に、サブプライム破綻を防ぐために米国、欧州、英国、日本の中央銀行がジャブジャブに過剰流動性を放出している。
(7)第2に、石油相場が高騰してオイルマネーが増加していた。
(8)急増するマネーを見て私は株価の反騰は必至だと主張したが、エコノミストや日経は需給関係の変化を無視していた。
(9)優等生は需給理論を幼稚な理論だと思っているらしいが、私は需給理論こそ最強の実践論だと確信している。私はしばしば相場観を間違うが、 需給関係に注目を怠らないから相場の大きな転換点を見逃さない。7月には円安から円高への転換が近いと連続して警告を発した。
(10)私がしばしば引用するグリーンスパン前FRB議長やウォーレンバフェットは実戦を勝ち抜いて名声を確立しただけに、今回も相場の転換点を見逃さなかった。投資家はエコノミストや日経の意見よりも、相場の達人の言動に注目した方が得だ。

(三)銘柄観。

(1)住友金属鉱山は急騰する金を筆頭に、銅が高値に迫り、ニッケルが急反騰している。私は増益決算よりも自山鉱の含み益が激増している点に注目したい。 三井金属と日鉱が銅鉱石の暴騰にたまりかねて、ようやく銅鉱山の買収に乗り出したが、住友金属鉱山はすでに相次ぐ買収によって巨大な含み資産を構築している。その含み資産は早晩外国資本の買収目標となるだろう。
(2)東芝プラントは原子力関連の最有力銘柄である。先週アメリカのゴア元副大統領がノーベル平和賞を受賞した。地球温暖化防止は株式市場の最大のテーマであることが再確認された。上放れ必至だろう。
(3)加ト吉は収益力、財務内容から理論株価の割安が歴然としている。冷凍食品の有望性に着目して5%の株式を取得し、経営陣を支配したJTが本格的買収に踏み切るのは時間の問題だろう。世界企業に飛躍したJTは加ト吉の海外展開の強力な後ろ盾となるだろう。
(4)富山化学が上放れた。開発中の大型新薬が相次いでフェーズ1 をクリアした。今後の情報開示に注目したい。
(5)ネクストは前期、今期の利益が連続して倍増見込みである。最高値更新が十分期待できる。
(6)GCA、スパークス、NIF-SMBC等も底入れが鮮明となった。
(7)公開直後の野村マイクロ(6254)に注目したい。高寄りした後の整理が一巡した。ここから急騰が期待できる。