2007/7/23

  2007年7月23日(月)
  商品相場で見る世界の景気と株価。
  大買収時代が日本にも迫っている。

(一)高騰する商品相場。

シカゴ商品、金、銅、ニッケルの月足

(1)チャートは過去15年間のシカゴ商品指数と金、銅、ニッケルの月足である。
(2)このうち、金、銅、ニッケルは住友金属鉱山の主力三商品である。同社は自山鉱から鉱石を採掘し、精錬加工しているから、3商品が高騰すればするほど期間利益と保有鉱山の含み益が増える。
(3)最上段はシカゴ商品指数である。シカゴ商品指数は石油、非鉄、貴金属、穀物、繊維等、ほぼすべての国際商品を含んでいる。
(4)商品指数に鉄鋼は含まれていないが、鉄鋼とその原料の鉄鉱石、石炭も同様の高騰を示している。

(二)21世紀は商品相場主導の時代。

(1)チャートを見れば一目瞭然、商品相場は21世紀に入って暴騰を開始し、石油を筆頭にほぼすべての商品が史上最高値を更新した。
(2)商品相場の全面的な暴騰は次の順序で展開した。
(3)第1に、2大人口超大国である中国とインドが年率10%の超高度成長を開始し、すべてのモノの需給関係が逆転した。
(4)第2に、資源大国のロシアとブラジルが商品相場の高騰に恵まれて、高度成長期に入った。これらの4ヶ国は皆人口大国で、地球人口60億人の半分を占めているから、国際商品の需給関係はますます逼迫した。
(5)20世紀と21世紀では、経済的な繁栄を主導する国家に、大きな変化が起こった。
(6)すなわち、20世紀は、欧米先進国が世界中を植民地化し、安価な原材料を用いて工業製品を生産し、世界の富を独占した時代である。日本は植民地化を免れて、欧米に追随した。
(7)しかし21世紀は、人口超大国と資源保有国が台頭し、先進国が独占していた富を奪還する時代となった。
(8)商品相場は錬金術の壺のように新たな資金を生み出し、その資金が株式市場に流入して、世界の株価は次々に史上最高値を更新した。日本の日経平均だけが出遅れている。
(9)かくして今日では、投資家は景気や株価の先行指標である商品相場から目が離せない時代となった。

(三)ユダヤ資本が支配する世界の金融市場。

(1)オイルマネーを初め、商品相場の暴騰が生み出した資金が、株式市場や債券市場に流入し、金融市場の資金量は飛躍的に増加した。
(2)アメリカ、イギリス、ドイツ、スイス、フランス等、欧米の主要な国家で、金融機関の利益は飛躍的に増大し、国家の中枢を占める巨大産業に成長した。
(3)日本は、自動車や家電等の製造業で世界1に躍進したが、金融機関に関する限り、国際競争力は低下の一途をたどっている。
(4)現実を直視すれば、日本の金融機関はユダヤ資本との競争に敗退したのである。敗退の経過は次の如くである。
(5)欧米では、歴史的にキリスト教徒とイスラム教徒は戒律によって金利を取る行為を禁止されていたから、金貸しはユダヤ教徒の専業であった。異教徒のユダヤ人は各地で迫害を受け、流浪の民となって欧米各地に離散した。
(6)しかし世界経済の拡大につれて、高利貸しは大手金融機関に発展した。欧米の金融機関は国際的なシンジケートを形成し、合併を重ねて、巨大な多国籍企業に発展した。ユダヤ資本とユダヤ人は今や世界の金融市場を支配し、国家を超える世界帝国を形成した。
(7)これに対して国際的なシンジケートからはじき出された日本の金融機関は国際競争力を失い、世界的に見ればローカルな金融機関に凋落した。
(8)この重要な事実に気がついていないのは、欧米の宗教を知らない日本人だけではないだろうか。

(四)政府、日銀の責任。

(1)日本の金融機関が凋落した責任の一端は、国際感覚を持たない政府と日銀にある。
(2)例えば日本の公的年金は世界最大の250兆円を運用する超巨大ファンドであるにもかかわらず、運用は極端に保守的で、大半を年率2%の 日本国債に投資し、株式をわずかしか買わない。もし公的年金が年率10%の運用成果を上げれば年間25兆円の利益を蓄積するから、政府の財政負担は消滅し、不払い問題は吹っ飛んでしまうだろう。
(3)そこで私は公的年金の運用をアメリカのゴールドマン・サックスに全面的に委託してはどうかと提案したい。ゴールドマンは資金運用に関する限り世界最高の頭脳と実績を誇っている。アメリカ政府もルービンとポールソンの2人の傑出した財務大臣をゴールドマン・サックスからスカウトして経済政策を 任せているのだから、日本政府が年金の運用を委託したからといって少しも恥じることはない。
(4)日銀もまた公定歩合0.5%の穴蔵に閉じこもっている間に、欧米の中央銀行は5%へ引き上げた。アメリカの中央銀行はサブプライム問題が悪化すれば公定歩合を下げると明言しているが、実質ゼロ金利の日銀は日本経済が不況に陥っても金融緩和の手が打てない。
(5)そればかりか、日銀が優柔不断だから世界中で円だけが暴落した。日銀が公定歩合の大幅引き上げに踏み出しさえすれば、円は急騰し、強い円が世界のマネーを吸い寄せるだろう。
(6)日銀は8月には公定歩合を引き上げると思うが、問題はその後である。日銀が連続的引き上げを示唆すれば、円安は終止符を打つだろう。

(五)買収と恐喝。

(1)村上ファンドの村上氏が有罪判決を受けたから日本の企業買収は減少するとマスコミが報じているが、明らかに誤報である。
(2)村上ファンドやスティールパートナーズはグリーンメーラー(恐喝者)であって、企業買収とは無縁である。
(3)ドル紙幣は皆グリーンだから、企業を札ビラで恐喝する行為をグリーンメーラー(札束による恐喝者)という。
(4)村上氏は阪神電鉄の株を52%まで買い上がったから、買収がすでに成立していたにもかかわらず、阪神電鉄に無理難題をふっかけて全株を買い取らせた。
(5)村上ファンドの出資者は短期の売買益を狙った短期資金で、買収を目的とする長期資金ではなかったからである。
(6)日銀の福井総裁はグリーンメーラーの村上ファンドに出資して、株式市場に対する無知を露呈した。
(7)スティールパートナーズもグリーンメーラーだから、どの株式も20%程度しか買わない。ブルドックソースに対するTOBは買い戻しを誘うための駆け引きに過ぎなかった。
(8)株式市場にとってグリーンメーラーはアワのような存在であるが、本格的な買収資金が着々と日本の外堀を埋めている。

(六)寡占から独占へ、大買収時代が来る

(1)日本の株式市場には本格的な大買収時代が迫っている。
(2)第1に、買収合併によってこれまでに多くの産業で寡占化が進んだが、鉄鋼、非鉄、薬品等ではもっと大型の合併による世界市場の独占化が進行している。
(3)第2に、世界の株式市場には余剰資金があふれている。
(4)第3に、中国政府とロシア政府は蓄積した外貨を戦略的な企業買収に用いる構えを見せている。
(5)第4に、日本の全上場株式の30%がすでに外国資本の手に落ちた。個別に見れば50%を超える銘柄はざらである。外国人株主はTOBがかかれば、よほどの理由がない限り高い株価を提示した方に株を売る。日本でも大型買収が成立する環境が成熟している。
(6)第5に、村上ファンドやスティールパートナーズの恐喝を買収と混同すると、世界的な企業買収の大勢を見損なう。
(7)GCAの株価が低迷しているが、次の材料待ち、材料次第だろう。