2007/4/23

  2007年4月23日(月)

(一)JTは加ト吉買収に踏み込むか。

(1)21日付日経は加ト吉の創業社長加藤氏が循環取引疑惑の責任をとって退任し、金森副社長が後任社長に就任すると小さく報じた。
(2)加藤社長は冷凍食品で世界最大の生産、販売網を構築した傑物である。即席ラーメンで世界を制覇した日清食品の故安藤氏と並んで、加藤氏も創業、オーナー社長としてうどん、米等の冷凍食品で世界制覇の基盤を築いた。
(3)JTは加ト吉の事業の有望性に着目して5%の資本を出資し、金森氏を副社長に送り込んでいたから、これまでに加ト吉を傘下に収めるのではないかという憶測が何度か浮上した。
(4)たばこで巨大な収益力を構築したJTは脱たばこの出口としてバイオ、農業、食品への進出を模索しているから、冷凍食品事業は格好の目標となりうる。
(5)加藤社長も後事を託したい気持ちがあって、JTから資本と人材を積極的に受け入れた。
(6)循環取引による損失が発生したと報じられた翌日に株価はストップ安を演じたが、値下がりは1日限りで、その後はじりじりと値を戻していた。JTが後ろ盾に控えていたからこそ、だろう。
(7)加ト吉の株価は、事業素質と今期予想1株利益45円から見れば割安であるが、循環取引に連鎖して発生する赤字額は現在公認会計士らが調査中で、内容如何で下落の余地がある。
(8)しかしJTが買収まで踏み込めば状況は一変する。加ト吉の現在の筆頭株主は加藤氏 6.7%、第2位はJT 5%である。JTは社長を送り込んだからには後へ引かないだろう。もし筆頭株主になれば、JTの資金規模が巨大なだけに、新しい展開力が期待できる。

(二)連休明け後の相場。

(1)ニューヨークダウの史上最高値連続更新を初め、世界中の株価が数年来の高値を更新している。5月安の弱気論におびえている株式市場は日本だけである。
(2)連休の間に世界の株価が暴落に転じる要因は乏しいから、連休明け後には日本の割安が一段と鮮明になる可能性がある。
(3)中でも中小型株が低迷し、特に新興市場は暴落の渦中にたたき込まれている。
(4)弱気に駆られた投資家は、機関投資家と個人投資家とを問わず、連休前に売却してしまうだろう。
(5)今週は連休を控えており、4月受け渡しの最終日となる24日が心理的なセリングクライマックスとなる。
(6)しかし連休明け後は極端に売り玉が減る。連休中に海外市場が堅調を維持しておれば大幅高もあり得る。

(三)連休明け後の銘柄。

(1)連休明け後に、人気銘柄が変化する可能性がある。
(2)投信は大型の利回り株に資金を集中しているが、偏りすぎた銘柄選択に問題があると私は思う。電力、JR等は公益事業だから、利益が増えれば料金を下げて消費者に利益を還元する責任があり、増配は期待できない。しかし株価はすでに利回りの限界まで買い進んでいるから、大天井を形成する可能性がある。
(3)一方、会計基準の変更を受けて新興企業に減額修正の不安が広がり、株価は大暴落を演じたが、連休明け後には決算発表が進み、味噌と糞の選別が始まる。
(4)個別に成長株、材料株を物色する動きも始まるだろう。
(5)前回の3銘柄の他、東芝プラント、鈴木金属、T-ZONE、ネクスト、NIF等の反発力にも注目したい。
(6)買収される企業はインサイダーにしかわからない。加ト吉が買収される可能性は私の推測に過ぎないが、リスクが取れる投資家には突っ込みを買う価値がある。