2007/4/16

  2007年4月16日(月)
  相場観と相場手法について。

(一)勝ち目乏しいデイトレーダー。

(1)モーニングサテライトでは、毎朝株式や為替のプロがアナウンサーの質問に答えて今日の株式相場や為替相場の見通しを述べる。
(2) 証券会社では、トレーダーが1日限りの資金枠を与えられて勝負を挑んでいる。
(3)大証券の株式部では、課長は週末まで、部長は月末まで、やや長期の資金枠を与えられている。
(4)中小証券には歩合制のトレーダーがいて、会社の資金を日計りで運用し、利益の一定部分を給料として受け取る。
(5)パソコン取引の手数料が実質ゼロになったために、個人投資家の中から多数のデイトレーダーが出現したのは当然だろう。
(6)彼らは毎日の利益が収入の基本だから、投資の射程距離が超短期で、モーニングサテライトは、彼らのニーズに応えて当日の相場観を提供しているのだろう。
(7)しかし私は、このようなトレーディングはユダヤ資本のカモにされる恐れがあると思う。ユダヤ資本が巨大な資本と多数の数学者とコンピュータを動員して科学的な トレーディングシステムを構築したからである。
(8)そのシステムは日進月歩である。彼らは世界中の株式市場、商品市場、不動産市場、それらの先物、オプションを含む多様な市場を一望に収めて、時間と空間を超えたヘッジとトレーディングを行う。
(9)彼らはチームを組んで、システムが最適に稼働するタイミングを待つ。オプションの決済日の直前や相場が加熱した時と枯れた時、等を狙い、ウリからでもカイからで も大胆に、大規模に仕掛けて、市場の動揺を誘う。資金は自己資金も、ヘッジファンドの資金もある。
(10)ユダヤ資本と日本の大証券の勝負はすでに決着した。今日では外国証券が東証の現物市場の60%を支配し、先物市場で日本勢は手も足も出ない。ユダヤ資本が世界の 証券市場から稼ぎ出す売買益は1兆円単位である。
(11)アメリカではデイトレーダーが活躍する時代が終わった。今日では大半の個人投資家が投資信託を通して資金を運用している。
(12)日本の大証券は肉体労働から頭脳労働への転換を急がないと、国際的市場はおろか、東京市場の存在感さえなくなってしまう。

(二)風格と風圧を示した温家宝首相。

(1)中国には3000年を超える最古の文化と文明の歴史がある。
(2)しかし7世紀の唐から20世紀の清までの1300年間は、北方騎馬民族の征服王朝が農耕民族の中国を支配した。
(3)中でも堺屋太一氏が日経で連載中のジンギスカンとその末裔はアジア、中近東、東ヨーロッパにまたがる空前絶後の巨大帝国「元」を樹立した。
(4)しかしいずれの征服王朝も中国人の官僚に頼らなければ巨大帝国を維持することができず、たちまちのうちに中国の文明と文化に同化し、埋没し、 消滅して行った。その点を私は驚異と思う。
(5)現在中国大陸を支配している中国共産党も又、批判の多い一党独裁の官僚支配を用いなければ、人口13億人の超巨大国家を維持することは困難だろう。
(6)中国は昨年、世界第2位の貿易大国に躍進したが、数量ベースで見ればすでに世界第1位の経済大国である。アメリカにとっても日本にとっても貿易収支は 中国がダントツである。その重量感と存在感は早晩アメリカを凌ぐだろう。
(7)そんな時に温家宝首相が来日し、関係改善を呼びかけた。多くの日本人がほっと安堵したのではないだろうか。温首相の風格と風圧は中国の存在感を十二分に示した。
(8)今では一党独裁の共産党政権が破綻するという観測は後退している。破綻するどころか、インド、ロシア、ブラジルに続いてアジア、中南米、アフリカの低 開発国が追随し、中国が世界の政治経済を牽引する時代が始まった。

(三)閑話休題。私の相場観と銘柄感。

(1)私の相場観はデイトレーダーの対極にあり、射程距離が長い。
(2)私は先読みに努力しているが、歴史を遡れば遡るほど大局観の誤差を減らすことができるのではないかと思っている。
(3)例えば中国人の思想と哲学は春秋戦国時代にほぼ完成して現在に及んでいる。周恩来にも温家宝にも歴史からにじみ出た大人の風格がある。大人の風 格は中国の政治家、文人が求められる条件で、日本でも平安貴族の理想像であった。超巨大国家を治めるには、せこい才能よりも悠揚迫らざる人格の方が座りがよいのだろう。
(4)その超巨大国家が高度成長時代を迎えたのだから、現在はハイテクよりもロウテクが再評価される局面である。現実の利益成長力でも、ロウテクはハイテクを凌いでいる。
(5)私の注目銘柄は少なくて、射程が長い。かわり映えしないが、現在も富山化学、GCA、住友金属鉱山の3銘柄を最右翼に上げたい。
(6)富山化学は一昨年に着目したが、夏頃までにようやく材料の成否が具体化しそうになってきた。新薬を開発するまでには10年の歳月が必要で、投資家にとっては 開発に成功するかどうかと共に、開発が具体化するまで辛抱できるかどうかが成否を分ける。第1に、昨年フェーズ1を終えたアルツハイマー治療薬とリュウマチ治療薬のライセンス導出が具体化する。第2に、鳥インフルエンザ特効薬のフェーズ1が終了し、その情報開示とライセンス導出が注目される。第3に、ガレノキサシンのヨーロッパと 日本における製造認可がおりて、下期にはバルクの出荷が始まる。どれも富山化学の業態を一変させる可能性を秘めた大型材料である。
(7)ブルームバーグの集計によれば、GCAは今年1〜3月のM&Aでダントツの2兆6,000億円を記録した。年率換算で10兆円を超える巨額となる。人材、ノウハウ、実績でM&Aの大本命という評価が裏付けされたと思う。
(8)住友金属鉱山は原子力発電で臨界事故を起こして以来、7年に及ぶ長期の注目銘柄である。先週、新社長が日経のインタビューで、業績については控えめながら、買収については強い懸念を表明していた。私は安定工作が本格化すると感じた。