2007/3/19

  2007年3月19日(月)

(一)大幅に減額修正した富山化学。

(1)富山化学は平成19年3月期の決算予想を、経常利益2億円の黒字から68億円の大幅な赤字に修正した。
(2)主たる理由はアルツハイマー治療薬とリュウマチ治療薬のライセンス導出契約が来期にずれ込むためである。
(3)富山化学は19日(月)午後1時に上記の決算修正の説明会を開く予定だという。特にアルツハイマー治療薬は超大型だけに導出金額が大きく、導入側も独自の確認作業を行っているためと思われる。
(4)ライセンスの導出契約はマイルストン方式である。合計金額を決めた上で、フェーズ1、フェーズ2、フェーズ3、製造認可申請、認可取得、等の時点で分割して決済する。
(5)問題は来期の決算であるが、材料は豊富である。
(6)第1に、アルツハイマー治療薬と、リュウマチ治療薬は昨年末にフェーズ1を終了しており、上期中にライセンス導出契約がまとまるだろう。
(7)第2に、9〜11月に日本の厚生労働省から抗生物質ガレノキサシンの製造認可が下りる予定である。その際アステラス製薬から50億円のライセンス料が入る。
(8)第3に、ガレノキサシンの米国と欧州におけるライセンス供与先はシェリングプラウ社である。昨年米国における製造認可を取り下げたために、30億円のライセンス料収入が遅延したが、欧州では6〜7月に認可が下りる予定である。これに伴うライセンス料はないが、日本と欧州における大型抗生物質の売り上げが本格化する09年3月期には、富山化学に安定収入の基盤ができる。アメリカでも再度認可を申請するだろう。
(9)第4に、鳥インフルエンザ治療薬のフェーズ1は日本では5月に、米国では7月に終了予定で、その後にライセンスの導出交渉に入るだろう。日本の厚生労働省、米国のFDAとも、製品化を急いでいる。
(10)富山化学は新薬の研究開発を主力業務としているから、ライセンスの導出が決算を左右する。夢は大きいがリスクも高く、株価の乱高下は避けられないが、複数の大型新薬の商品化が同時に着実に進行していると私は思う。

(二)ライブドア事件の虚実。

(1)ホリエモン裁判は、私には魔女裁判に見える。判決内容があまりにも感情的で肝心の証拠が乏しい。
(2)第1に、ライブドアは日興證券のように架空利益をでっち上げていない。論点は子会社の投資組合の利益をなぜ営業外利益でなく営業利益に計上したか、という問題に絞られたが、投資組合の利益を営業外利益に計上せよという統一ルールはライブドア裁判が始まった後にあわてて決められた。
(3)現に、架空利益を計上した日興證券は利益をさかのぼって減額修正したが、ライブドアは利益を修正していない。修正する必要がないからである。日興證券は粉飾決算を自白して謝ったから免責されたが、堀江社長は無罪を主張したから、反省が足りないと実刑判決を受けたのである。
(4)第2に、検察は宮内取締役の証言だけを唯一の証拠としている。
(5)第3に、裁判長は堀江社長には社会的責任感がないと非難し、説教している。感情的で、非論理的で、予断に頼っている。
(6)第4に、もしホリエモンの社会的責任を問う裁判であれば、ホリエモンを英雄に祭り上げたマスコミには責任がないのか。
(7)第5に、昨年の衆議院選挙でホリエモンを自民党候補に担ぎ上げた小泉首相、ホリエモンと肩を組んでわが息子と持ち上げた武部前幹事長、経営革新の若き旗手と賞賛した竹中大臣には責任がないのか。
(8)マスコミと自民党こそホリエモンに太鼓判を押して投資家を誤らせた犯人ではないか。そのマスコミはいま平気でホリエモン非難を大合唱し、阿倍首相はいまホリエモンを推薦したが公認しなかったと逃げている。公認しなくても推薦し、フル活用した責任は重大である。
(9)裁判長は社会的正義を実刑判決の根拠とした。教会の権威を守るために救国の英雄ジャンヌダルクを火あぶりにした中世ヨーロッパの魔女裁判をほうふつとさせる。冷徹な投資の論理については次項で述べる。

(三)投資家はユダヤ資本に学べ。

(1)東証は財務分析のプロだから、検察や裁判官のような感情論ではなく、日興證券の上場を維持し、ライブドアを上場廃止にした理論的根拠を明らかにする責任がある。
(2)私は事件発生時に無借金で700億円の現金を保有するライブドアがつぶれるはずがないと述べた。事実、ライブドアは事件後も700億円の現金を維持しており、事件後に売却した子会社は皆黒字で、親会社にも子会社にも赤字を隠していた痕跡がない。つまり利益を粉飾した事実はなかったのである。
(3)にもかかわらず東証が上場を廃止したために、個人投資家はライブドアを100円でたたき売ったが、その売り玉をユダヤ資本が片端から買い向かった。ライブドアの実態価値から見て、再上場すれば数倍の株価がつくだろう。
(4)西武鉄道でも、上場廃止で個人投資家は700円の株を200円台まで投げ売りし、これをユダヤ資本が買い占めた。その後ゴールドマンサックスから1,500円でTOBの声がかかった。
(5)日興證券も、東証が特設ポストに入れたために上場廃止を恐れた個人投資家が1,000円まで投げ売りしたところを、ユダヤ資本が買い向かった。シティバンクのTOBでユダヤ資本は早くも50%の利益を確保した。
(6)東証は上場廃止の大義名分に「投資家保護」を掲げているが、現実には「投資家保護」の名において個人投資家の財産を破壊している。破壊された株式をユダヤ資本が一手に買い向かい、大もうけする構図も毎回変わらない。
(7)東証は「投資家保護」の看板を降ろし、「投資家保護」のために上場廃止の条件を明らかにするべきである。
(8)今やユダヤ資本は世界の株式市場を制覇した。日本でもユダヤ資本は現物市場の60%、先物市場の90%以上を支配し、先物主導で現物市場を自在に操っている。
(9)投資家は好き嫌いの感情を超えて現実を直視し、ユダヤ資本の冷徹な論理と実践に学ぶべきではないだろうか。