2007/2/26

  2007年2月26日(月)

(一)遅すぎた日銀の決断。

(1)第1に、日銀には国際感覚が欠落している。国際感覚とは、世界の金利水準と足並みをそろえることである。
(2)第2に、日銀には歴史感覚が欠落している。歴史感覚とは、好況期に金利を引き上げて、不況期に金融緩和政策が打ち出せる体制を固めることである。
(3)米国とECは過去2年間に公定歩合を一気に適正水準まで引き上げたが、日銀は日本経済が史上最長の好景気を謳歌しているにもかかわらず、実質ゼロ水準に据え置いたままである。
(4)今もし鳥インフルエンザが大流行すれば、国民は感染を恐れて外出を拒み、事務所や工場は閉鎖され、経済活動が停滞し、景気が急速に悪化する。その時、欧米の中央銀行はすかさず公定歩合を引き下げることができるが、ゼロ金利の日銀は手も足も出ない。
(5)今もし関東大震災が起これば政治、経済、金融のすべてが東京一極に集中している日本は深刻な経済危機に陥るが、日銀は日本経済を救済できない。
(6)日銀はいつ発生するかわからない経済危機に備えて、好況時に金利を適正水準に引き上げておく責任がある。日銀は80年代にバブルを増幅し、90年代にデフレを激化させた失敗を又しても繰り返す恐れがある。
(7)第3に、日銀はゼロ金利が円安を誘発したことに責任を感じていない。いま、日本国民は財産の目減りを防ぐために大挙してキャリートレードに走っている。キャリートレードとは、国民が日銀の金融政策に反旗を翻して、円を闇ルートで外貨に換える行為である。
(8)もし日銀が欧米の金融政策と足並みをそろえていれば、日本人は欧米並みに定期預金で5%の利息を受け取ることができた。すなわち国民は800兆円の預貯金に対して40兆円の利息を受け取っていたから、キャリートレードに走る必要がなかった。円安による財産の目減りも起こらなかった。
(9)マネーには国境がない。今日ではどんなに巨額のマネーでも、パソコンがあればリアルタイムで国境を越える。情報化社会ではどの通貨に変えればいちばん儲かるかという情報が氾濫しているから、誰でもキャリートレードという名の為替投機に参加できる。
(10)福井総裁が村上ファンドに投資するのも勉強の一つだが、日銀の政策委員は全員円キャリートレードに参加して、どうすれば自分の財産が守れるか、世界の金融市場で今何が起こっているかを学ぶべきだ。
(11)日銀は参議院選挙後に公定歩合引き上げのピッチを早めるだろう。そのとき円相場も上昇ピッチを早めるだろう。

(二)商品相場の暴騰が株価の高騰を誘発した。

(1)20世紀は欧米が世界中を植民地化し、植民地を収奪することによって、富と繁栄を独占した時代であった。
(2)21世紀は植民地が独立し、高騰する資源を武器にして富と繁栄を奪還する時代となる。
(3)21世紀に入ると、中国とインドが10%の超高度成長時代を迎えた。中国とインドは世界人口60億人の3分の1を占める人口超大国だから、石油、非鉄、穀物など、ありとあらゆる商品を大量に消費し、商品相場が暴騰した。
(4)その結果、資源大国であるロシアとブラジルの経済が好転した。
(5)上の新興4ヶ国をBRICsと呼ぶ。BRICsはみな人口超大国で地球人口の2分の1を占めているから、資源不足はますます深刻となった。
(6)石油相場の暴騰を受けて、中東産油国が大金持ちとなった。産油国はそのマネーを株式や不動産に投資したから、世界中で株式相場と不動産相場が高騰した。
(7)鉱物資源、貴金属資源、農産物資源を持つ国々は次々に資源を国有化し、経済的自立を果たした。
(8)石油の暴騰は非鉄、貴金属、農産物に波及し、商品市場で大膨張したマネーが金融市場に流入し、株式相場と不動産相場を押し上げたのである。
(9)なぜマネーが大膨張したかを理解しない人には、なぜ世界中で株式と不動産が史上最高値を更新し、なぜ騰勢が衰えないかが理解できない。

(三)ローテクが主役となる時代。

(1)20世紀はハイテクを制した企業が利益を上げた。
(2)しかし21世紀には鉄鋼、造船、化学、海運、機械、不動産等のローテク産業が大復活し、株価が暴騰した。
(3)人口超大国の経済成長が続く限り商品相場の高騰が続き、商品相場の高騰が続く限り、ローテク産業の優位が続く。
(4)しかしどんな大材料でも株価が織り込めば調整期を迎える。そのときハイテクの巻き返しが起こり、ローテクの中でも主役の交代が起こる。
(5)住友金属鉱山がついに永い保合を上放れて主役の一角に浮上した。相場が若いから押し目は買いだろう。

(四)大買収、大合併、寡占化の時代。

(1)東京証券取引所とニューヨーク証券取引所が提携した。株式も持ち合う。
(2)すでに東証の主役は外国証券である。
(3)マネーにも、企業にも、情報にも国境がない。すべての産業界で世界的な大合併、大買収が起こり、寡占化が進む。
(4)製薬や鉄鋼は寡占時代から独占時代に踏み出した。
(5)1位に対抗するために2〜3位の合併も起こる。買収を嫌って株式市場から退場するMBOも続出する。企業防衛のための株式持ち合いも急増する。
(6)5月には日本でも三角合併がスタートする。いつ、どの企業が買収されてもおかしくない。投資家にとっては波乱こそチャンスである。

(五)新興市場に底入れの兆し。

(1)昨年は会計基準の変更を受けて大幅減額修正が続発し、新興市場の株価が軒並みに暴落した。
(2)しかし会計基準の変更による大減益は前期限りで、来期は正常な決算に戻る。
(3)竹中大臣の時代に巨額の貸倒れ準備金を積まされた銀行株が暴落したが、昨年の3月期にはその大部分が利益となって戻ってきたから、株価が急騰した。
(4)一昨年の銀行株と同様に、今年は新興市場で株価の見直しが起こる可能性が高い。
(5)暴落幅が大きかったから、3分の1程度の戻りでも値幅は大きい。

(六)新興市場の有望銘柄。

(1)GCAは調整終了。買収合併時代の大本命である。
(2)NIF SMBCは底値鍛錬十分。買収がらみの案件が出れば人気化も。
(3)ネクストも調整完了。日本でも欧米のようにこれから中古住宅の売買が盛んになる。中古住宅情報の発信で傑出したシステムを構築した同社は大化けする素質がある。