(1)日経平均株価は先週、世界で唯一独歩安を演じた。明らかに外資系証券によるウリ仕掛けである。
(2)毎月第2金曜日はSQ(先物取引の精算日)で、その直前にはしばしば不可解な波乱が起こる。
(3)このような特異現象は、世界各地で見られる。例えば、順調な上昇基調を維持している欧米市場に比べて、上海、香港、インド、トルコなど、昨年暴騰した新興国市場の直近の反落が厳しい。
(4)新興国市場の急落と石油、銅などの商品市場の急落との間には強い相関関係が認められる。私の推定が正しければ、新興国市場と商品市場の相場の回復も又同時に進行するだろう。
(5)青天の霹靂のような局地的波乱はこれからも起こると思われるので、その背景について私見を述べておきたい。
(6)第1に、これまでもしばしば指摘したように、外資系証券は以前から新入社員の採用を「理数系」に絞り込んでいる。ゴールドマンサックスが昨年末に1人平均7,500万円のボーナスを支給して世界中のサラリーマンの羨望(せんぼう)を集めたが、東京支店の 株式本部長も京大「工学部」の出身である。
(7)第2に、外資系証券は東京証券取引所で出来高の60%を支配しているが、先物市場に至っては90%以上で、完全支配に近い。
(8)第3に、彼らは数学を駆使して時間、空間、銘柄を超えた株価のサヤを取りやヘッジを大胆に実行している。時間、空間、銘柄間とは次のごとくである。
(9)第1に、先週は金曜日のSQの前日まで先物ウリ、現物カイの裁定取引で日経平均を売り崩し、12月の急騰で安値に取り残されていた先物の売り玉を救済した。すなわち先物と現物という時間差を利用した取引例である。
(10)第2に、昨年の11月には新規上場の中国工商銀行を上海、香港市場で大量に買い、東京市場で日本の銀行株を売る国際的な裁定取引を実行し、大成功した。すなわち中国と日本という空間差を利用した取引例である。
(11)第3に、彼らは現在、新日鉄ウリ日立カイの裁定取引を仕掛けているという情報がある。すなわち銘柄間の差を利用した取引例である。