2006/11/13

  2006年11月13日(月)

(一)円高、金利高で株価も景気も好転する。

(1)ロシアは急増する外貨準備をドル一辺倒からユーロとポンドに移し、新たに円を加えると宣言した。私は中東産油国と中国がロシアに追随する可能性があると指摘した。そうなれば、円が底入れし、株価が上がる。
(2)先週、私の予想は早くも現実となった。世界最大の貿易黒字国である中国が外貨準備を多様化すると表明した。中国は先ずユーロを買うだろう。しかし次いで金を買う可能性もある。
(3)今年はユーロが第2の通貨としての地位を固めて急騰したが、中国元もここへ来て上昇幅が3%に達した。円が元に追随して値上がりする可能性は高い。
(4)円が安い理由はただ一点。日銀が自民党の圧力に屈してゼロ金利政策を維持しているからである。その結果、日本人さえも円を売って金利の高いドルやユーロに乗り換えている。
(5)しかし日銀総裁は、ついに年内にもゼロ金利から脱出する腹を固めた。
(6)日本人の預貯金は700兆円もあるから、利息が1%上がれば7兆円、3%上がれば21兆円も収入が増える。
(7)消費は必ず伸びる。景気が好転する。産油国は日本の株を買う。
(8)現にアメリカやヨーロッパは金利を大幅に上げたが、株価が高い。消費が強い。景気もよい。日本でも80年代のバブル時代に金利は高騰したが、住宅や絵画やゴルフ会員権が暴騰して日本人は金持ちになり、消費も景気も沸騰した。
(9)それゆえ私は公定歩合の引き上げと円高転換を重視し、期待し、歓迎する。

(二)株式相場。

(1)円高は株高である。
(2)円高でも輸出企業は直ちに減益にはならない。常識として、相当長期間、少なくとも来年3月までは為替ヘッジを完了しているからである。
(3)円高になれば輸出産業が困るというマスコミ報道は嘘である。1960年から30年間に円は1ドル360円から80円まで、4.5倍に大暴騰したが、ソニー、松下、トヨタ、ホンダ、キャノン等、日本の輸出産業は円高をはね返して大成長し、日本人は金持ちになった。マスコミが壊滅すると大騒ぎした新潟県燕市の洋食器メーカーでさえ、現在も頑張っている。円と同様にマルクも暴騰したが、ドイツの洋食器や刃物は現在も圧倒的に強い。
(4)しかし短期的には輸出株売り、内需株買いとなるだろう。
(5)新興市場にも底入れの気配が見える。新興市場は買い手不在で暴落したが、日本の株式市場は常に大商いで天井を形成し、薄商いで底値を形成する。
(6)相場の陰の極では仕手株も登場しやすい。
(7)今週はSQが終わり、東京市場の独歩安も終わるだろう。これからは欧米との連動性を回復するだろう。

(三)商品相場に再騰の可能性。

(1)商品相場は再騰の可能性が高いと私は思う。
(2)ゴールドマンサックスは世界の経済成長に占めるBRICsの寄与度が1995年の11.4%から、2005年には31.0%に激増したと発表している。
(3)つまり今、世界経済を引っ張っているのは中国、インド、ロシア、ブラジルの4ヶ国である。その4ヶ国は地球上の人口60億人のうち、実に半分の30億人を占めている。
(4)30億人の生活が豊かになればなるほど、消費が激増してすべてのモノの相場が高騰する。
(5)一方、商品相場は今では投資信託を初め無数のオプションに加工されて、金融商品に変身した。商品相場を支配しているのはもはや業界関係者ではなく、金融市場のアウトサイダーである。
(6)すでに不動産投信が登場し国々で、不動産相場が暴騰した。今度は商品が高騰すると私は思う。
(7)日本の野村證券、大和証券、日興證券があわてて商品市場に参入すると表明した。銀行も商品投信を売るために追随するだろう。
(8)商品相場は株式相場よりもはるかに相場が若い。商品相場は市況関連株に影響を与えるだろう。

(四)金本位制の復活も。

(1)私は金本位制の復活もあり得ると思う。
(2)ロシア、中東産油国、中国が第3の準備通貨として金を選択する可能性がある。
(3)人類が通貨を発見する以前には、金が究極の通貨であった。
(4)各国が通貨を発行した後も、久しく金を信用の裏付けとする金本位制度が続いた。
(5)アメリカはニクソン大統領の時代まで金準備を維持していた。
(6)ヨーロッパ各国はEC統合に際して財政赤字を削減するために金を売却した。ロシアも経済的困難を克服するために金を売却した。
(7)アメリカは現在も世界で唯一金保有量を維持している。金相場が暴騰すれば、アメリカは金本位制度を復活する可能性がある。
(8)21世紀はマネーよりもモノの価値が相対的に高まる。モノの価値を代表する金の指標性復活は歴史的な必然だと私は思う。
(9)金は史上最高値の800ドルを抜いて1,000ドル大台を目指すだろう。住友金属鉱山の指標性は不変である。

(五)新型インフルエンザ・「迫る危機に無防備」。

(1)11月11日付毎日新聞は表題の記事で「発生の徴候強まる」「強毒型なら死者3億人(WHO・世界保険機構予想)」「進まぬ行政の対応」「困難なワクチン開発」などと報じている。
(2)日本の厚生労働省は人口の4分の1が発症し、最大で200万人が入院、64万人が死亡と予想しているが、毎日新聞はそれでも甘いと指摘している。
(3)日米で臨床テスト入りが予想される富山化学のT-705は折に触れて注目を集めるだろう。