2006/11/6

  2006年11月6日(月)

(一)波乱の原因。

(1)先週の波乱はほぼクラブ9の予想通りであった。
(2)第1に、円高に傾いた。
(3)第2に、その結果、輸出関連株が下落した。
(4)第3に、輸出関連株は日経ダウを構成する主力株だから、日経ダウが下がった。
(5)第4に、金が高騰した。
(6)第5に、ヘッジファンドが、先物から売り崩しに出た。
(7)以上は相互に関連した一つの相場の流れである。

(二)波乱の行方。

(1)10日(金)のSQをもって、波乱はひとまず終息に向かうだろう。
(2)しかし、なお次のような波乱を予想する。
(3)第1に、円安から円高へ、変化が進行する。その場合は輸出株売り、内需株買いが続く。
(4)第2に、非鉄、貴金属に始まった商品相場の新たな上昇が、他の商品に波及する。その場合は市況関連株に再騰の可能性がある。
(5)第3に、国際的な買収・合併・再編が飛び出す。
(6)第4に、大型株が低迷すれば中小型、新興市場、仕手株に活路が開ける。

(三)GCA(2126)とM&A(2127)。

(1)1ヶ月前に、マザーズ市場にM&A(買収・合併)専業の2銘柄が上場した。上場時はマザーズが陰の極に暴落していたから安寄りしたので、10月16日付で投資のチャンスだと指摘したが、直後に急騰した。
(2)日本のM&AはGDP対比でまだ欧米の3分の1以下に過ぎない。来年6月の新商法施工を控えて激増が予想される。すでに欧米から企業買収のための資金が続々と流入している。
(3)2銘柄は先週末に急反落した。私は押し目買いの好機と思う。
(4)M&Aは国内の会計事務所を糾合して買収・合併を斡旋しているから、情報量と件数が豊富だと思われる。
(5)これに対してGCAは買収・斡旋のプロを集めた集団だから、大型の案件が飛び出す可能性が高い。
(6)どの企業が買収・合併の対象になるかを予想するのは困難であるが、大型で国際的な買収・合併ではGCAが関与する可能性が高い。その理由を次項で詳説したい。

(四)GCA。

(1)代表取締役は神戸大学渡辺教授と一橋大学佐山教授の2名である。渡辺教授は日米で公認会計士のライセンスを持ち、三共・第一製薬、ミドリ・吉富等多数の大型案件を成立させた実績を持つ。佐山教授は阪神阪急併合時のテレビ出演でおなじみである。両氏の見識と実績は大学教授の枠を超えて傑出している。
(2)さらに3名の取締役パートナーを筆頭に実務を担当する30名余りのスタッフを擁しており、その顔ぶれは「よくぞこれほどまで」と感嘆するほど、日本のM&Aビジネスのプロを網羅している。上場を機にそのスタッフを100名に増員したいとしているから、独走態勢を築く可能性が強い。
(3)GCAはいずれの金融グループ、企業グループにも偏しない、中立性を重視した株主構成に特徴がある。中立性はM&Aのアドバイザーを務める上で重要な立場と役割を占める。
(4)そのGCAが先週末に急落した。5,400株の日興證券宛第3社割り当て増資が開示されて悪材料視されたのだろう。公募価格は売り出し価格と同じ191,200円で時価の半値以下であったから、その有利発行が株主権を損ない、需給関係を圧迫する悪材料になるという誤解を受けたと思われる。
(5)しかし新規上場企業はみな上場時の冷やし玉等のためにあらかじめ幹事証券に新株発行の追加枠(オーバーアロットメントと呼ぶ)を預けている。今回は上場時に筆頭株主の渡辺氏から5,400株を借りて冷やし玉に用いており、これをオーバーアロットメントによって返済した。つまり5,400株は新たな増資ではなく、渡辺氏に借りた株式の返済である。
(6)本項の記述はすべてGCAが上場時に提出した「株式売出届け出目論見書」に具体的に、詳しく記載されている。勝手な推論を避けるために、プロに目論見書の読み方を教わった。
(7)ついでにGCAの需給関係を述べておきたい。総発行株式数は18万株で、市場に出た浮動株は今回の5,400株を含めて42,000株程度と推定される。最近は上場前に保有していたベンチャーキャピタルや金融機関が上場直後に一斉に利食いに走り、相場を崩す要因となっているが、GCAには初めからその種の株主が存在しない。売却されなかった13.8万株は大半が経営者と従業員の持ち株で、次項で見るようにきわめて安定性が高い。
(8)GCAは上場時に配当性向30%を公約している。新興企業ではめずらしく利益の3分の1は株主の権利であることを明快にした。その経営方針は経営者と従業員が株主で、投資家と同じ立場で利益配分を要求していることを示している。
(9)GCAの傑出した企業内容が正確に理解されるにつれて、4.2万株の浮動株は安定株主に吸い上げられるだろう。それゆえ株価が反落した今こそ、長期投資の投資家にとってチャンスとなるだろう。
(10)GCAは上場によって調達した資金を主として海外のM&A関連企業とのネットワーク構築に投入する。この点でも、国際的な人脈と視野の広さがうかがわれる。
(11)人材と実績と事業環境のすべてに魅力があり、来年の出世株の本命に推したい。