2006/10/30

  2006年10月30日(月)
  上昇相場に変調の兆し。
  野村證券とユダヤ資本。
  富山化学。

(一)ヘッジファンドが撹乱要因に。

(1)決算対策で10月に現金比率を高めていたヘッジファンドが11月には市場に回帰するから、通常ならば11月相場は高い。
(2)しかし先週末に東京市場で先物にヘッジファンドと見られる大量の売りが出た。
(3)ヘッジファンドが決算対策で現金比率を高めていた間に世界中の株価が暴騰したから、高値を追うよりも、売りから入ることを選んだ可能性がある。
(4)もし多くのヘッジファンドが追随すれば下落要因となる。
(5)楽観論の虚をついて揺さぶりをかけたとすれば、短期的な波乱で終わる。
(6)かりに上昇相場が不変であるとしても、人気業種と人気銘柄に変化が見える頃である。私は為替相場の変化に注目したい。

(二)円高のインパクト。

(1)このところ私は「1ドル120円、1ユーロ150円」が円の底値となるのではないかと予想し、先週は円高に転換する徴候を具体的に述べた。
(2)週末の円ドル相場を見て、私は円安から円高に転じたと感じた。
(3)もし円高が進めば、株式市場に変化が起こる。第1に、輸出株売り、内需株買いとなる 。第2に、輸出株はトヨタやキャノン等の大型株が多いから日経ダウは下がる。第3に、内需株人気が住宅、地銀など出遅れ株に広がる。第4に、悪材料出尽くしで中小型株が買われる可能性もある。
(4)一旦円高に転換すれば、円高が円高を誘発する。第1に、輸出企業はドル売りを急ぐ。第2に、キャリートレードが解消して、外貨から円に回帰する。
(5)円がユーロに対しても上昇すれば、オイルマネーは欧米から日本に向かう。円買いは日本株買いにつながる。
(6)ドル安はNY市場にも影響を与える。第1に、ドル売りと金買いは連動する。金が大幅に上がれば商品相場を刺激する。第2に、アメリカの長期国債が売られて長期金利が上昇する。第3に、外国人買いが減ってNYダウが下がる。

(三)商品市場に参入する野村證券。

(1)野村證券が商品市場に参入する。大和、日興も追随するという。世界の金融市場の変化から見れば、遅きに失した感がある。
(2)不動産投信がアメリカで普及して15年、日本でも5年になる。6年前に出版した「不動産が値上がりする」(主婦と生活社)で私が予想したとおり、今日では不動産投信が不動産相場を支配し、不動産は利回りで買う金融商品に変身した。
(3)今年に入ってNY市場で商品投信が急成長し、多くのヘッジファンドが商品を運用対象に組み入れた。
(4)欧米では保守的な年金でさえ商品投信を買うようになったから、日本でも商品投信を持たなければ投資家のニーズに対応できなくなった。商品市場へは大手銀行も進出するだろう。
(5)イギリスやアメリカの銀行・証券は商品取引に発してその他の金融業務に展開したから、不動産や商品の証券化で先行したのは当然かも知れない。
(6)ヘッジファンドを創始したジョージ・ソロスは当初から株式、債券、為替、金を一望に比較して、先物を活用し、売りと買いのヘッジ取引を同時に実行した。
(7)問題は日本の銀行・証券に商品を運用するノウハウと経験と人材が欠落しており、その弱点をどう補うかである。

(四)野村證券に苦言。

(1)大和銀行が窮地に陥ったとき、私は野村證券が大和銀行を買収して創業時代の野村銀行に回帰するチャンスだと力説した。もし野村證券の経営者に構想力があれば富士火災、東洋信託を加えて銀行・信託・証券・保険を横断するメガバンクに変身することができた。
(2)野村證券が遅疑逡巡する間に三大銀行が先に証券を傘下に入れて金融ブロックを構築したから、野村證券の法人活動に往年の迫力がない。
(3)大和銀行の新頭取は長年の取引先企業と野村證券の株式を根こそぎ、ドン底でたたき売った。その愚行が致命傷となって大和銀行は地方銀行に転落するという私の予言は現実となった。年金運用でトップシェアを誇っていた大和銀行の信託部門も影が薄い。責任は大和銀行買収のリスクに挑戦しなかった野村證券の経営者にあると私は思う。
(4)その後も野村證券の変化への対応は遅い。第1に、グループ内に野村不動産を擁しながら、不動産投信を率先して組成するチャンスを逃がした。
(5)第2に、ネット取引で最後発となった上に、ネット証券を買収して遅れた時間を挽回する手段を選ばなかった。
(6)第3に、今回も商品市場に参入するからには商品会社を買収するべきだろう。商品は先物中心で担保5%の世界だからリスクが大きい。株式よりもはるかに素早い決断力とノウハウが必要である。

(五)野村證券はユダヤ資本に学べ。

(1)ユダヤ資本は現実に欧米の金融市場と金融機関を全面的に支配している。日本でも竹中大臣が金融行政を担当したわずか3年間に、ユダヤ資本は証券市場、不動産市場の支配権を確立した。
(2)第1に、日本の株式市場の売買シェアと相場形成の主導権を完全に支配した。第2に、日本企業の大株主ベスト10を外国資本が占拠した。第3に、その結果、株式交換による買収が可能となる来年には日本企業は簡単に外国資本に買収される。第4に、不動産市場でも巨大な資金を投入し、日本勢を圧倒している。商業用不動産ばかりか、ゴルフ場の大半がユダヤ資本の手に落ちた。ホテル、温泉旅館、スキー場も同様である。
(3)ユダヤ人の世界的な金融支配は民族の苦難の歴史によって培われた。ユダヤ人は3500年も昔に祖国が滅びたが、ユダヤ教(旧約聖書)を捨てず、世界各地を流浪した。迫害に耐え、迫害に追われたユダヤ人にとって金貨とダイヤモンドは身につけて逃れることができる唯一の財産であった。
(4)その金貨・ダイヤモンド崇拝が今日の銀行・証券・商品業務に発展した。
(5)ユダヤ人は迫害に追われて世界各地に分散したゆえに、その組織と情報網が国際的で、その思想は国家と国境を超えている。
(6)野村證券が内外の金融市場で対決する相手はユダヤ資本である。ユダヤ資本は合併と買収を重ねて世界中にネットワークを構築した。野村證券もまた業務の多角化を急ぐために買収・合併が不可欠の経営手段である。野村證券は買収合併の仲介斡旋を中核事業に育てようとしているにもかかわらず、なぜ野村證券自身の経営にそのノウハウを生かさないのだろう。
(7)野村證券の奮起を促したい。

(六)富山化学。

(1)10月26日に開催された日本感染症学会・日本化学療法学会の合同学会で、ユタ州立大学と富山化学から新型鳥インフルエンザ治療薬T-705の試験結果が報告された。
(2)三菱UFJ証券の坂倉氏は学会に出席して、その内容を27日付でレポートにまとめている。
(3)ユタ州立大学のシドウエル博士は3月にアメリカの学会で動物実験の結果を発表して富山化学の株価に大きなインパクトを与えたが、今回はさらに精緻で、10分の1の投与量で同じ効果があった等、強い有効性と安全性を示唆した。
(4)またシドウエル博士はアメリカの国家機関である「FDA、NIHとも705の開発に全面的に協力しており、日米で臨床試験の準備を進めている」と述べた。
(5)富山化学は詳細な実験結果の報告と共に「薬理試験、毒性試験等のデータを厚生労働省と米国FDAに開示して臨床試験開始の指導を受けている」と述べた。
(6)ぜひ、一読を勧めたい。