2006/10/10

  2006年10月10日(火)

(一)北朝鮮の核実験のインパクト。

(1)3連休の最終日(9日、月曜日)に、北朝鮮が核実験を行った。
(2)9日には韓国株が急落し、アジア市場も軟調であった。
(3)連休明けの10日に東京市場は暴落するという情報が流れた。
(4)そこで予定していた原稿を取り消してそのインパクトを考えてみたい。
(5)以下は「10日午前7時現在」の緊急大胆コメントである。

(二)予兆。

(1)6日(金)、東京市場の引け後に、週末にも核実験か、との情報が流れ、アメリカの金融市場で顕著な反応が現れた。
(2)第1に長期金利が大幅に上昇した。第2に、金が上昇した。第3に、円が急落した。第4に、円はユーロに対しても下落した。
(3)しかしNYダウは小幅安で、株を売って国債や金を買うという「質への逃避」は起こらなかった。
(4)このうち、日本の株価にインパクトを与える要因は、円安の進行である。円が弱いと思えば、外国人は日本株を売る。
(5)北朝鮮の核実験で最も影響を受ける国は韓国と日本である。
(6)9日に韓国の株価は2%以上下落、中国も1%以上下落した。
(7)そのために週明けの東京市場は、日経ダウ300円安か、という観測が流れた。

(三)週明け。

(1)9日のニューヨーク株式市場は、ダウ、ナスダック、SP500が小幅ながらそろって上昇した。
(2)長期国債は横ばいで、この日も株を売って国債に逃避する「質への逃避」は起こらなかった。
(3)ヨーロッパも総じて小幅高であった。
(4)金は上昇した。
(5)商品相場は総じて堅調であった。
(6)円ドル、円ユーロの為替はわずかながら円が下落したが、ほぼ横ばいであった。戦争リスクで金は上昇したが、特にドルにヘッジする動きは起こらなかった。
(7)日本の株価に影響を与えるのは為替である。もし、円がドルとユーロに対して更に安値を更新すると見れば、外国人投資家は日本株を売るだろう。
(8)米欧の株価は北朝鮮の核実験を黙殺した。

(四)私見。

(1)もし円がドルとユーロに対して大幅に続落すると見れば、オイルマネーを含む外国人投資家は日本株を売るだろう。
(2)しかしユーロについては、先週利上げがあったにもかかわらず、円に対して高値を更新しなかった。核実験に対しても小幅の影響に止まった。ユーロは円に対して天井圏に達した可能性がある。
(3)ドル高もこの程度で収まれば、高値を確かめる結果となる可能性がある。
(4)欧米の株式市場の反応を見る限り、北朝鮮核実験は北朝鮮の孤立を深編めるだけの結果となっている。
(5)安倍首相の電撃的中国、韓国訪問は大きな効果を生んだ。すなわち、両国が北朝鮮政策を融和から批判へ、大転換するための大義名分を与えた。
(6)10日の東京市場は寄りつき段階では悪影響を免れないだろうが、限定的で短期間に終わるのではないか。