2006/10/2

  2006年10月2日(月)

(一)NYダウ史上最高値更新のインパクト。

(1)9月27日に、日経ダウは突如390円高を演じ、相場の流れが一変した。
(2)マスコミは安倍新内閣の顔ぶれを評価したなどと解説したが、安倍内閣の誕生とその政策はすでに周知の事実であったから、後講釈に過ぎない。
(3)NYダウの史上最高値更新が目前に迫ったために、日本株を売り崩しに出ていた外国人筋があわてて買い戻しに転じたと考えるべきだろう。
(4)その前日まで、外国証券は主力人気銘柄に超弱気のリポートを連発する一方、大量の借り株を用いて、傍若無人に売り崩していた。その外国証券が一斉に買い戻しに転じたのだから、NYダウの史上最高値更新をよほどの大事件と見たのだろう。

(二)NYダウこそ世界ダントツの大型株。

(1)ニューヨーク市場は世界ダントツの株式市場である。
(2)ニューヨークダウは世界ダントツの巨大銘柄である。ダウという銘柄はないが、ダウを利用した様々な先物取引が仕組まれて、世界中の証券、銀行、投信、年金による思惑とヘッジが集積している。
(3)特にNYダウの史上最高値更新は歴史的な事件だから、ヘッジのための売買が集中している。その塊を突破するには大きなエネルギーが必要である。
(4)株式、債券、商品を問わず、先物市場では大さっぱに見て資金量の20倍の相場が張れる。1億円の資金で20億円の相場が張れるから、米国のヘッジファンドや大手証券は日経ダウ先物を売り崩し、或いは買いあおって現物株との間でさや取りを行うことができるのである。
(5)個人投資家でも、例えば10月決済の日経ダウ16,000円のコールオプションを26日に110円で買った場合、4日後の29日には250円で利食いできた。その代わりにもし決済期日に16,000円に達していなければゼロになる。オプション取引はゼロサムの博打の世界である。
(6)直近でも米国のヘッジファンド・アマランスが天然ガスの先物取引で資金量1兆円のうち7,000億円の損失を計上した。短期間に資産の70%を失うという投資は資金量の20倍の相場が張れる先物取引でなければ発生しない。
(7)先週、NYダウは2日連続で史上最高値を更新したが、大引けでは押し返された。史上最高値の更新は強気派と弱気派が雌雄を決する天王山だから、攻防は簡単には決着しない。
(8)だからこそNYダウが大引けで史上最高値を更新したとき、ダウ採用30銘柄の平均株価は未踏の成層圏に突入するから、そのインパクトはきわめて大きい。

(三)NYダウの先行市場。

(1)早くから私が指摘したように、NYダウの史上最高値更新に先行して、先ず中国の香港が、次いでインドのムンバイが史上最高値を更新した。
(2)香港は中国の、ムンバイはインドの経済成長力を占う先行指標である。
(3)中国の経済成長はオリンピックを境にピークアウトするという石原慎太郎やエコノミストの論評を私は信用しない。株式相場は無数の投資家が財産を賭けて先見性を競う真剣勝負であるのに対して、評論家やマスコミは口先ばかりでリスクを負わない。間違っても責任を取らない。それゆえ私は株式相場の先見性を最も重視するのである。
(4)中国とインドは2ヶ国で世界人口の40%を占める人口超大国であり、現在の2ケタ成長が続けば世界経済は拡大均衡を維持し、商品市場の需給関係は逼迫傾向をたどる。
(5)日本にとっても、中国は今やアメリカを抜いて最大の貿易相手国となった。中国経済の盛衰は日本経済に一蓮托生の影響を与える。
(6)それゆえ私は香港市場、ムンバイ市場、シカゴ商品の3市場をNYダウの先行指標として重視しているのである。

(四)商品相場と住友金属鉱山。

(1)シカゴ商品は調整期に入った。
(2)しかしその間にも小麦とトウモロコシが高値を更新している。
(3)特にトウモロコシの季節はずれの高値更新は、ガソリンの代替燃料としての需要が定着したことを示している。つまり商品相場の間には石油とトウモロコシのように何らかの相関関係がある。
(4)大阪チタンが大相場を演じた。チタンの高騰で利益の増額修正が必至と見られている。世界的な水不足が国際的な大問題に浮上したことが背景にある。海水淡水化装置には海水で腐食しないチタンが不可欠の素材だからである。
(5)反落していた金が反騰に転じた。ニッケルは高値で持ち合っており、銅も調整終了と見える。
(6)銅とニッケルと金の保有鉱山で4兆円の含み益を蓄積した住友金属鉱山と商品相場の相関関係に注目しておきたい。

(五)スパークスとNIF-SMBC。

(1)暴落に次ぐ暴落を演じた新興市場にもようやく底入れの気配が濃厚となった。2銘柄を上げておきたい。
(2)スパークスは一部市場昇格の条件をすべて満たしている。東証は今年の3月決算を基準に10月にも一部市場上場を認可する可能性がある。
(3)スパークスはムンバイ、香港に進出するなど、積極運用で業績も好調である。
(4)上場株で唯一の投信専業であるスパークスが一部昇格を果たせば、機関投資家が一斉にポートフォリオに組み入れるから、急騰もあり得る。
(5) NIF-SMBCは新規上場の主幹事で独走態勢を築いたが、公開株人気の低迷で増益期待がやや後退した。
(6)しかし大和証券と三井住友銀行の2社で86%を保有しており、浮動株が極端に少ない。新興市場が底入れすれば、株価反騰のスピードも速いだろう。