2006/9/19

  2006年9月19日(火)

(一)NYダウ史上最高値更新のインパクト。

(1)ニューヨークダウは史上最高値まであと162ドルに迫った。今年二度目の挑戦で高値更新の可能性はきわめて高い。その衝撃はアメリカのみならず、世界の株式市場に波及するだろう。
(2)第1に、ニューヨーク市場は世界ダントツの巨大市場である。東京市場が世界第2位で、3位以下を大きく引き離している。ニューヨークダウが人類未到の成層圏に突入すれば、東京を初め世界の株価もまた新たな水準を模索するだろう。
(3)第2に、アメリカの株式市場では個人投資家の市場シェアが大幅に低下し、投信、年金、外国人等の機関投資家が圧倒的な支配力を持つようになった。その傾向は日本でも同じで、ニューヨークダウも日経ダウもプロフェッショナルの仕手戦に振り回されて乱高下をくりかえし、アマチュアにとってはきわめて難解となった。しかし株価は実体経済を映す鏡である。アメリカの株価は、結局は拡大成長を続けるアメリカの実態経済に収斂する。
(4)第3に、21世紀に入って世界人口の半分を占めるBRICs4ヶ国が年率8〜10%の超高度成長期を迎えたために、モノの需給関係が逼迫し、商品相場が暴騰した。金融市場の資金が商品ファンドを形成して商品市場に乱入し、商品市場で増幅した資金が金融市場に回帰する。今や不動産投信に次いで商品投信が金融市場を構成する新しい金融商品となった。巨大化した金融資産は株価水準に革命をもたらさずにはおかない。
(5)第4に、昔も今もダウという銘柄は存在しないが、今や先物市場の発達によって巨大資金がダウ先物に積み上がった。今日ではダウこそ名実ともに圧倒的、絶対的な指標株となった。その結果、最高値近辺ではプロフェッショナルによるヘッジやスペキュレーションやノックアウトが集中しているから、最高値更新は弱気論者に全面的敗退を迫る歴史的な事件となる。
(6)第5に、ニューヨークダウの先物取引には世界中の機関投資家と金融機関が参加しているから、最高値更新のインパクトはリアルタイムで世界中の株式市場に波及する。
(7)アメリカの金融ノウハウは不動産や商品を次々に大型の金融商品に変えた。これまでは株式と債券で構成していた金融市場の資金量が飛躍的に大膨張したから、ニューヨークダウの史上最高値更新は歴史的な必然だと私は思う。
(8)遅まきながら、日本でも不動産投信が発達し、商品投信も組成されつつある。株式、債券に加えて不動産、商品を加えた4本柱で、金融市場全体の資金量が膨張しているから、日本の株価が高値を目指すのは当然である。すなわち私が強気を通す最大の根拠である。
(9)私たちは間もなくニューヨークダウの史上最高値更新という歴史的なイベントに立ち会うだろう。コンピュータの発達によって、今日では株価形成の手法がきわめて複雑、難解となったが、利食い千両をこなして新たな上昇波動を目指すだろう。

(二)調整期に入った商品相場。

(1)銅、ニッケル、金、シカゴ商品指数を同じ時間軸で一つのチャートにまとめた。長期のトレンドを見るために月足を用いている。
(2)シカゴ商品指数は調整期を迎えた。私は調整が短期間に終わると思う。理由は次の如くである。
(3)第1に、商品相場をリードしてきた石油相場の反落によって、投機資金の一部は打撃を受けた。清算を迫られたファンドもある。
(4)第2に、短期投資のヘッジファンドの中には商品から撤退する動きもあるが、長期投資の年金は資金を商品に据え置いている。
(5)第3に、ヘッジファンドの一部は資金を商品先物からニューヨークダウ先物に振り向けている。
(6)第4に、株式であれ商品であれ、先物取引は担保5%の投機市場だから、勝敗が決した後の清算は短期間に進む。反落は急であるが、底入れも早い。
(7)第5に、中期的に見れば、世界人口60億人のうち30億人を占めるBRICsの高度経済成長が持続できるかどうかによって、商品の需給関係が決まる。世界経済は縮小均衡よりも拡大均衡を目指す可能性の方が高いだろう。
(8)第6に、21世紀に入って世界の金融市場の資金量が急増した。株式、債券、不動産、商品の間の垣根が消えたから、増加した資金の一部が商品市場に向かう傾向は衰えないだろう。

(三)住友金属鉱山(別子)の含み益。

(1)別子の主力商品は銅とニッケルで、金がこれに続く。
(2)別子は今年3月末の保有鉱山の含み益を4兆円と開示した。すなわち1年間に自社が保有する鉱山からわずか40分の1の鉱石を採掘するだけで、1,000億円の含み益が表面化する。
(3)含み益4兆円の基準となった3月末の3商品の相場の位置をチャートのX印で示した。金は3月末の水準まで反落したが、主力の銅とニッケルは3月末よりも大幅に高い。上期の超大幅増額修正から推定して、通期の決算では1,000億円程度の自山鉱の利益が精錬加工の利益に上積みされる可能性が高い。
(4)先週、別子自身が発表した今期の予想1株利益は170円、株価収益率は9倍、時価総額は8,700億円で、理論的にも現在の株価は過小評価である。
(5)別子は日本唯一の資源株で、石油の暴騰で大もうけした産油国と同様に巨大な含み益を地下に埋蔵している。
(6)1株当たり今期利益は170円であるが、埋蔵資源の含み益は1株当たり7,000円の巨額に達する。
(7)来年6月の商法改正後は、外国企業が別子の買収価値を見逃さないだろう。