2006/9/11

  2006年9月11日(月)

(一)中小型、新興市場の出番。

FTSE TECHMARK 100

(1)チャートを参照されたい。イギリスの新興企業の動向を示す FTSE TECHMARK 100 は7月下旬に底入れし、急反騰に転じている。
(2)世界的に、8月以降はハイテクを含む新興市場が急騰を演じている。
(3)新興企業が多いインドのムンバイ指数は急反騰し、ほぼ全値戻りを達成した。
(4)アメリカでもニューヨークダウよりナスダック指数の騰勢が強い。
(5)現在まで、日本では日経ダウの急反騰に対して中小型株、新興市場株の戻りが鈍いが、急上昇のタイミングを迎えた。
(6)先週末には日本の中小型株ファンドに欧州系の大口の資金が流入したという情報がある。
(7)中小型、新興市場を主導する個人投資家は今回の反騰局面で蚊帳の外におかれていたが、信用取引の残高は6兆円から4兆円へ、2兆円も激減した。後ろ向きの整理、調整はほぼ完了した。

(二)情報の虚実を読む。

(1)中小型株には、外国人が大量の借り株を用いて売り崩した形跡がある。9月中間期末接近で、一部に借り株の買い戻しも予想される。
(2)貸借銘柄は取り組みと逆日歩に注目したい。相場の転換期には取り組みの厚い銘柄が仕手相場に発展しやすい。
(3)例えばエネサーブは本業が行き詰まり、株価が5,000円から670円へ大暴落した。しかしこのほど170億円を投入して業態そのものの大転換を断行した。無借金の優れた財務内容があればこそ自力の業態転換が可能となった。しかし空売りが残り、逆日歩が継続している。一波乱は免れないだろう。
(4)マルハは大量の転換社債の転換売りが継続しているにもかかわらず、株不足状態が続いている。日本航空も大量公募をこなして大取り組みが解消しない。
(5)マルハと日本航空には機関投資家の実弾買いが継続しており、大相場に発展する可能性がある。
(6)上場廃止となったライブドアの財務内容にもふれておきたい。堀江社長が逮捕されたとき、マスコミがこぞってライブドアは倒産必至だと報道したが、私は無借金で財務内容が優れたライブドアの倒産はありえないと主張した。現在でもライブドアは潤沢なキャッシュを持っており、自主再建、再上場が可能である。
(7)東証が投資家保護の名の下に上場廃止を決定したとき、私は即座に本末転倒の暴挙だと主張した。現在数万人の投資家が賠償責任を求めて堀江社長を告訴しているが、もし裁判で検察が敗訴して堀江社長が無罪となれば、投資家はやり場のない怒りを東証に向けるだろう。
(8)NIF SMBCの指標性に注目したい。新規上場株の不振で減額修正のリスクがないわけではないが、新興市場の株価はみそもくそも一緒くたに売られた。当社は大和証券と三井住友銀行が86%を保有しており、浮動株が最大でも14%しかないから、新興市場が一旦反騰に転じれば、本来の指標性を回復するだろう。
(9)スパークスは昨年業績が低迷したが、今年は好調である。東証第一部昇格は時間の問題で、決まれば上放れるだろう。
(10)復配したときや一部市場に昇格したときには多くの機関投資家がポートフォリオに採用するから、需給関係が一挙に好転し、株価が上がりやすい。

(三)商品市場に参入する野村證券。

(1)野村證券が商品市場に参入する。大和、日興も追随するという。世界の金融市場の変化から見れば、遅きに失した感がある。
(2)不動産投信がアメリカで普及して15年、日本でも5年になる。6年前に出版した「不動産が値上がりする」(主婦と生活社)で私が予想したとおり、今日では不動産投信が不動産相場を支配し、不動産は利回りで買う金融商品に変身した。
(3)今年に入ってNY市場で商品投信が急成長し、多くのヘッジファンドが商品を運用対象に組み入れた。
(4)欧米では保守的な年金でさえ商品投信を買うようになったから、日本でも商品投信を持たなければ投資家のニーズに対応できなくなった。商品市場へは大手銀行も進出するだろう。
(5)イギリスやアメリカの銀行・証券は商品取引に発してその他の金融業務に展開したから、不動産や商品の証券化で先行したのは当然かも知れない。
(6)ヘッジファンドを創始したジョージ・ソロスは当初から株式、債券、為替、金を一望に比較して、先物を活用し、売りと買いのヘッジ取引を同時に実行した。
(7)問題は日本の銀行・証券に商品を運用するノウハウと経験と人材が欠落しており、その弱点をどう補うかである。