2006/8/22

  2006年8月22日(火)
  クラブ9緊急情報。

 富山化学。

(1)富山化学は先に同社が開発した「T-3811(ガレノキサシン)」の米欧における開発販売権をシェリング・プラウ社に供与した。シェ社はアメリカFDAに製造認可の申請を出し、2月に受理された。販売開始は年内の予定であった。
(2)販売開始時に、富山化学はシェ社からライセンス料の一部(推定20億円)を受け取る予定であった。
(3)しかし21日夕刻、富山化学はシェ社が製造認可申請を取り下げたと発表した。
(4)理由は次の通り。シェ社の提携先であるバイエル社がアメリカから撤退する時にアメリカの販売網をシェ社に引き継いだ。バイエル社は2011年まで特許期限が有効な自社開発の抗生物質を持っているために、ガレノキサシンとの競合を避けて認可を取り下げた。しかしヨーロッパではバイエル、シェ社とも独自の販売網を持っているから、ヨーロッパの製造認可申請は継続する。
(5)富山化学は日本の厚生省への申請をそのまま継続する。日欧の認可は2008年の予定である。
(6)シェ社はガレノキサシンについてサブライセンスの供与先を交渉中で、決定次第改めてFDAに認可を申請する。
(7)富山化学は同時にシェ社のライセンス料に代わる別の新薬のライセンスを導出することによって今期の利益予想を維持する。
(8)新しいライセンス導出の有力候補は鳥インフルエンザ特効薬T-705である。
(9)T-705は4月にユタ州立大学が米国の学会で動物実験の驚異的なデータを発表し、株価が1400円に暴騰したいきさつがある。
(10)富山化学はT-705の臨床試験を年内に日米同時に開始し、2008〜9年に発売する目標を立てている。
(11)三菱UFJ証券は富山化学の緊急レポートを出し、レーティングを最上位の1に据え置いた。独自に入手されたい。

 私見。

(1)前場に株価は大量の売り物を浴びてストップ安売り気配で引けた。
(2)ガレノキサシンのFDA認可取り下げは有効性とは何の関係もなく、シェ社の内部事情による。
(3)富山化学は初めてT-705の開発状況を開示した。鳥インフルエンザの特効薬はアメリカ主導の下、最短期間で販売にこぎ着けるだろう。
(4)目先波乱があっても株価は4月高値1,400円に挑戦すると思う。