2006/8/21

  2006年8月21日(月)

(一)アジアの時代が来るか。

        

(1)ニューヨークダウの史上最高値更新、日経ダウの2万円挑戦を予測して私はクラブ9を2週間休載した。
(2)驚くべし。世界の株式相場はその2週間に劇的に変化した。チャートの通りニューヨークダウは史上最高値更新まで342ドルに迫り、世界の株価はそろって力強い反騰に転じた。
(3)増勢一途のオイルマネーは、私の予想通り、日本株買いを再開した。弱気論者は世界各地で窮地に追い込まれている。
(4)中でも私は、チャートの通り香港が世界の主要市場のトップを切って史上最高値を更新した事実に注目したい。香港は今年、世界最大の資金調達を実現しており、もはやマイナー市場ではない。名実ともに躍進中国の資本調達をまかなう巨大市場に発展するだろう。
(5)中国経済が北京オリンピックをピークに調整期に入るという予測がないわけではないが、香港市場の新高値は中国の成長力持続を先見する重要な指標だと私は思う。
(6)中国、インドを筆頭に世界人口の3分の2が集中するアジアの高度成長が続けば、世界経済のスケールは急拡大する。
(7)その時、地政学上、日本は欧米よりも圧倒的な優位に立つから、日経ダウは雄大な大相場に発展するだろう。
(8)そうなれば、曲折があってもすべての商品相場の高騰傾向が続く。
(9)新日鉄の最高値更新は高級鋼材の需給逼迫を先見している。

(二)鉄鋼関連株。

(1)世界の鉄鋼会社は量から質への転換をめざし始めたように見える。
(2)短期的に鉄鋼需給が緩和しても、高級鋼材に特化した日本の高炉4社の収益力は揺るがない。中でも住金はシームレスパイプやスポンジチタンがドル箱となって、利益水準が高い。
(3)日本の高炉4社は世界最高の品質を誇っているが、設備投資を4倍に拡大する。
(4)世界の鉄鋼業界は急速に利益蓄積を進めたから、電炉業界も高品質を求めて設備更新に踏み切る可能性が高い。
(5)鉄鋼は世界最大の装置産業である。ひとたび高級化の設備投資が始まれば、石油業界の千代建や日揮のように、鉄鋼のプラントメーカーに大型需要が発生する可能性が高い。
(6)中外炉工業の受注動向に注目したい。

(三)野村證券。

(1)ゴールドマンサックスを筆頭に、世界で史上最高の利益を実現している金融機関はみな買収部門が主役である。
(2)野村證券は王子製紙の買収アドバイザーとなった。王子製紙の成否にかかわらず、来年から日本の株式市場は証取法の改正を受けて買収、合併が本格化する。
(3)そうなれば野村證券の出番となる。
(4)追随するのは大和証券。
(5)ネット証券は手数料引き下げ競争が激化し、サバイバルの様相を呈してきた。
(6)証券会社の人気はネット証券よりも野村、大和の2社に集中するだろう。

(四)業界のトップ企業。

(1)証券に限らず、業界のトップ企業、大型株に再評価が起こるだろう。
(2)巨大企業といえども、業績が悪ければ買収される。経営者が奮起すれば、買収によって活路を開く可能性も生まれる。大買収時代には、どちらに転んでも株価を刺激する。
(3)三菱重工、日通、日本航空、ダイエー等は下値が乏しく、材料次第で急騰する可能性がある。

(五)ダイエー。

(1)8月21日付日経ビジネスが「ダイエー浮上せず」を掲載している。過去5年間、マスコミはダイエーの悪口を競い合って書いている。それらの情報はみな金融庁と再生機構から、政治的目的を持ってリークされて来た。
(2)経済産業省は終始一貫して自主再建は可能と主張した。ダイエー自身による自主再建案や、ウオルマートや丸紅による買収案はことごとく退けられて、再生機構が卑劣きわまる政治謀略を用いて傘下に収めた。
(3)再生機構はダイエーを再生の目玉に利用した。事実1年半で100億円の利ザヤを抜いて、丸紅に全株式を売却した。
(4)同じ期間に業績が悪化したスーパーはダイエーだけではない。ヨーカ堂はセブンイレブンやそごうとの合併に活路を求めた。イオンは本業の落ち込みをヤオハンやマイカルなどをただ同然で取得することによって窮地を凌いだ。
(5)さて、ダイエーには現在ユニクロやウォルマートやイオンが買収に意欲を燃やしている。
(6)イオン、ヨーカ堂と共に日本の小売業を3分するダイエーの販売網は一朝一夕では構築できない。買収、提携の申し出が集中するのは当然である。
(7)ダイエーを売り推奨するレポートを出す一方で、大量の借り株を用いて売り崩したと推定される外資系証券もある。
(8)大規模な借り株による空売りが潜在しているダイエーと日本航空は需給面から見ても、買いに分があると私は思う。

(六)スパークスの業績と需給関係。

(1)スパークスは業績が急上昇している。
(2)しかし矢継ぎ早の株式分割で発行株式数が急増したために株価が反応しにくい。
(3)しかし東証第一部昇格の条件がすべてそろっている。その時期は不明だが、遠くないだろう。
(4)その時には投信や年金など、多くの機関投資家のポートフォリオに入るから、浮動株の多さが、一転して長所となる。
(5)株価を支えるのは業績と需給関係である、需給関係は業績以上に株価にインパクトを与える場合が多い。
(6)今後は業績と需給関係に加えて、買収、合併が第3の人気材料となる。