2006/5/29

  2006年5月29日(月)

(一)森よりも木。

(1)先週に続いて、東京市場は買いの好機だと思う。
(2)世界景気の拡大成長が破綻する兆候は見えない。
(3)商品相場も底入れが近いのではないか。
(4)商品は先物取引が中心だから、10%上昇すれば売り方が踏み、10%下落すれば買い方が踏む。商品市場に流入するアウトサイダーの資金が急増したから、値動きが激しいが、相場の反転も早い。
(5)最近では株式市場でも先物取引の影響力が極端に大きくなった。コンピュータソフトが発達して、先物と現物とのさや取りを瞬時に行うシステムが開発されたから、先物市場の出来高と残高が空前のスケールに膨張した。
(6)世界的な株式相場の乱高下はこのようなコンピュータシステムの発達によって引き起こされているから、これからも予想外の波乱が起こるだろう。
(7)日経ダウもまた先物主導で乱高下を繰り返しているが、オイルマネーが株式市場に回帰するにつれて沈静化するだろう。
(8)このような環境下では日経ダウ採用の225銘柄を避けて、森よりも木を見た方が安全だろう。

(二)富山化学。

(1)富山化学に対する批判、疑問、質問が多いので、重ねて私見を述べておきたい。
(2)前回にご紹介した三菱UFJ証券・坂倉氏のレポートを見たいとの要望が多いが、私は坂倉氏との面識も三菱UFJとの取引もない。直接三菱UFJの本支店に問い合わせることを奨めたい。
(3)坂倉氏は長期間にわたって富山化学をフォローしている。私は彼以外のレポートも彼以上のレポートも知らない。特に昨年11月9日、今年2月14日付けのレポートが重要である。併せて一読を勧めたい。
(4)富山化学は3年前にガレノキサシン開発の情報で株価が高騰し、その後に暴落したために、早耳で群がった投資家は大きなダメージを受けた。富山化学に対する強い拒絶反応は当時の苦い経験に発しているのではないか。
(5)しかし今回はガレノキサシンが理想買いから現実買いに踏み込んだ。欧米での発売は年内の予定である。坂倉氏はガレノキサシンの年間売上高をピークで2,500億円以上と予想し、アルツハイマー型認知症治療薬T-817MA等、大型新薬の開発状況もレポートしている。
(6)富山化学自身もホームページで新薬の開発状況を具体的に開示しており、投資家の質問に答えている。私もまた開発の進捗状況を時系列で追跡し、その都度信頼感を深めている。
(7)1984年に小野薬品がプロスタグラディンの開発で15,350円の大相場を演じ、小野薬品自身も優良企業に変身した。今回の富山化学は質量両面で当時の小野薬品よりも材料のスケールが大きい。私は富山化学が大相場に発展する可能性が高いと思っているから、目先の株価に一喜一憂するよりも富山化学自身の情報開示を見守っている。
(8)株式新聞は26日付1面トップでガレノキサシンが鳥インフルエンザに効くと報じたが、間違いである。ガレノキサシンは他の抗生物質が効かなくなった大半の病原菌に対して有効であるという臨床結果を公表しているが、鳥インフルエンザには効かないとも表明している。
(9)ただし、鳥インフルエンザに対しては4月にアメリカのユタ州立大学が学会で富山化学のT-705の動物実験のデータを公表し、その驚異的な内容が世界の注目を集めた。
(10)鳥インフルエンザが猛威を振るうという観測は日増しに高まっている。昨年9月に国連は死亡者を全世界で500万〜1億5,000万人と予想したが、5月にブッシュ大統領はアメリカだけで9,000万人がかかり、190万人が死亡すると予想して、国を挙げての対策を発表した。
(11)先週、人から人への感染が報じられると世界各地で新薬開発に取り組むベンチャー企業の株価が急騰した。ヨーロッパでは鶏肉の売上高が急減し、日本では水産株が高騰した。
(12)動物実験の段階ながら、今日現在T-705は世界で唯一薬効が証明された物質である。臨床入りを含むその後の情報開示に注目したい。