(1)チャートはニューヨークダウの月足である。 (2)ニューヨークダウは2000年1月に史上最高値11,722ドルを記録したが、先週末は11,367ドルであったから、高値更新まであと355ドルに肉薄した。 (3)私は史上最高値更新の条件は十二分に成熟したと思う。 (4)第1に、アメリカ経済は2000年以降も年率3〜5%の安定成長を維持し、ダウ平均株価を構成する巨大企業30社も増益傾向を維持している。 (5)第2に、アメリカの不動産相場は90年代半ばから連続して史上最高値を更新している。住宅資産の上昇がアメリカ人の消費を旺盛にし、消費がアメリカの景気拡大を牽引している。 (6)第3に、シカゴやニューヨークの商品取引所で石油、非鉄金属、貴金属、穀物等が次々に史上最高値を更新している。アメリカは世界一の資源大国で商品相場高騰の恩恵を満喫している。 (7)かくして商品市場、不動産市場で続出している史上最高値と比べれば、ニューヨークダウの出遅れが鮮明である。
(1)ニューヨークダウが6年余にわたり高値圏で保ち合っている間に、世界経済のスケールは革命的に拡大した。 (2)第1に、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)が台頭した。4カ国の人口を合わせると30億人に近く、世界人口の半分を占めているから、人口超大国の爆発的な経済成長はすべての商品の需給関係を逼迫させた。 (3)第2に、BRICsの台頭は中南米、アフリカ、アジアの低開発国のナショナリズムを刺激し、石油、非鉄金属、貴金属等の資源を国有化し、経済成長のテコとする動きが表面化しつつある。景気拡大の波は地球規模に及んでいる。 (4)第3に、世界経済の急拡大を受けて商品相場、中でも石油が暴騰し、大膨張したオイルマネーが世界中の株式市場に流入し、株式市場で増幅したマネーが不動産市場や商品市場に向かい、相場高騰の連鎖を引き起こしている。 (5)不動産投信と商品投信が急成長して株式と並ぶ金融商品へ姿を変えた。今日では株式投信と不動産投信と商品投信が銀行の店頭で並んで売買されており、3つの市場が同時に連鎖して値上がりする時代となった。 (6)このような環境下でニューヨークダウが史上最高値を更新すれば、株式相場は未踏の成層圏を舞い上がる可能性がある。
(1)クラブ9は終始一貫して強気論を主張してきた。 (2)クラブ9は日本の株式相場を常に世界のマネーの流れの一貫として論じて来た。BRICSの台頭、商品相場の高騰、不動産相場の高騰を一望に収めて、世界の金融市場が革命的にスケールを拡大した状況に注目を促した。 (3)エコノミストは日本の消費者物価指数が0.2%上がったとか下がったとか、ゴミみたいな議論にしのぎを削っているが、投資家にとって消費者物価指数なんて何の参考にもならない。 (4)政府の金融政策を知りたければ、日銀総裁や財務大臣の発言を分析しなくても、国債の先物市場を見れば真剣勝負の投資家の相場観が激突し、躍動している。 (5)竹中大臣は金融担当大臣として株式や不動産をリスク資産と断定し、銀行や企業に即時売却を強制した。世界的な資産インフレの時代に資産デフレ政策を強行して日本の株式と不動産を外国資本にたたき売る愚行を演じたが、それでも日本経済が破綻を免れたのは世界的な資産インフレの大波に救われたからである。 (6)エコノミストは自らリスクを冒して相場を張らないから、世界の金融市場で進行している革命的な構造変化に無知で、いつまでも時代錯誤の弱気論を述べている。 (7)史上最高値の更新とは、すべての売り方が勝負に負け、すべての買い方が勝負に勝つことを意味する。その史上最高値の更新が世界中の株式、商品、不動産の市場で日常的に演じられている。すなわち、今や弱気論者はすべての戦線で敗退を重ねているのである。 (8)ニューヨークは世界の金融の中心であり、ニューヨークダウは世界の相場の指標である。ニューヨークダウが史上最高値を更新したときのインパクトの大きさは推して知るべしである。