(1)アメリカのブッシュ大統領は今週にも各官庁を横断した大規模な鳥インフ ルエンザ対策を決定する予定である。9,000万人が鳥インフルエンザにかかり、190万人が死亡するというシミュレーションが前提となっている。
(2)ロッシュ社のタミフルの有効性に疑問があり、富山化学が開発した鳥インフルエンザ治療薬「T-705」に熱い期待が寄せられている。ユタ州立大学の研究チームによる研究発表の内容を次に再録しておきたい。
(3)第1に、T-705はインフルエンザA型(H5N1)ウイルスに対して、強く選択的な活性を示した。
(4)第2に、インフルエンザウイルスを感染させたマウスに、T-705の300、100、及び33mg/kg/dayを感染1時間後から1日4回5日間投与した場合、死亡がほぼ100%防止され、酸素飽和度の回復、肺病変の改善、肺内ウイルス量の減少が認められた。
(5)第3に、投与開始を感染後60時間まで遅らせた場合でも、有意な治療効果が認められた。
(6)第4に、感染21日目に生存したマウスに対し100倍濃度のウイルスを再度感染させたところ、T-705を投与したマウスは全例生存した。
(7)その実験データに注目したアメリカのFDAと日本の厚生労働省が富山化学に早期開発を要望したという噂がある。噂は確認できないが、ブッシュ大統領の鳥インフルエンザ対策が再評価のきっかけとなるかもしれない。
(8)富山化学は抗生物質ガレノキサシンの今秋発売に次いで、鳥インフルエンザ治療薬T-705を発見し、今年の後半にはアルツハイマー治療薬T-817MAが臨床試験のフェーズ II に入る。
(9)ピークの売上高が2,500億円に達すると予想されるガレノキサシンだけでも富山化学の収益構造は一変する。まして年商2,000億円級の大型新薬3件の上市に成功すれば、製薬史上空前の大事件となる。
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