2006/2/20

  2006年2月20日(月)
  再騰、高値更新へ、条件整う
  ライブドア事件と国際商品急落の後遺症克服が近い

(一)英雄から詐欺師に転落した堀江社長の虚像と実像。

(1)堀江社長は常々「株式市場にはクリーンな白とダーティーな黒がある。しかし徒手空拳の新興企業には白でも黒でもない灰色の領域にビジネスチャンスがある」と明言していた。
(2)私はグレーゾーンを狙うと公言するライブドアに危うさを感じたから、一度も奨めた事がなかった。
(3)しかし堀江社長逮捕で暴落が始まったとき、リスク覚悟の投資家にとってはチャンスがある、株価の最終的な着地点は100〜200円だろうと述べた。
(4)理由は次のごとくであった。1. 上場廃止は必至だろう。2. しかし無借金だから倒産しない。3. 1株当たり純資産が185円ある。4. ライブドアのネットビジネスと人材に魅力がある。5. 買収される可能性がある。
(5)これに対してマスコミは悲観論一色となった。すなわち 1. 上場廃止となれば倒産する。2. 不正会計がばれたから利益は消滅する。3. 堀江社長が粉飾決算を認めないのはけしからん。
(6)私はこの種の感情論に同調しない。1. ライブドアの人気要素と一旦計上した黒字は株価が暴落したからといって消滅するわけではない。2. 堀江社長自身は現在も有罪を認めていない。3. 上場廃止になっても買収の声がかかるだろう。4. 100円割れは割安。
(7)堀江社長は元々グレーゾーンにビジネスチャンスを求めていたから、検察の追求に対して白ではないが黒でもないと主張するのは当然で、終始一貫している。
(8)変わったのはマスコミの方である。投資組合による自社株売買を株価操作と決めつけているが、自社が関与する投資組合が大株主10名のうち4名を占めている上場企業もある。ホリエモン一人を犯罪者扱いにするのは公平ではない。
(9)昨日までライブドアとホリエモンを新しい時代の旗手と賞賛していた政治家やマスコミや投資家が、一夜明ければ手のひらを返して非難する状況は見苦しい。堀江社長の虚像に群がった人の目には、初めから実像が見えていなかったのだろう。

(二)新興3市場はなぜ暴落したか。

(1)ライブドアはマザーズ(東証の新興市場部門)の上場銘柄である。
(2)投資信託は上場していない株式を買えないから、ライブドアの上場廃止を必至と見て持ち株をすべて売却した。
(3)上場廃止となれば担保価値を失うから、ライブドア株を担保に用いていた投資家も売却した。
(4)問答無用の大量売りが短期間に集中したから、株価は実態価値以上に暴落した。
(5)さらに小型株投信はライブドア事件に伴う損失を処理し、投資家の解約に備えるために、ライブドア以外の小型株の売却を急いだ。
(6)そのために、東証マザース、大証ヘラクレス、ジャスダック3市場に機関投資家の売りが集中した。新興3市場暴落のあおりを受けて個人投資家も信用取引の建て玉の整理を迫られた。
(7)以上が新興3市場暴落の要因だと私は思う。

(三)東京市場はなぜ暴落したか。

(1)新興3市場が暴落し、東京市場が連鎖して急落したところへ、国際商品相場の急落が追い打ちをかけた。
(2)シカゴ商品とニューヨーク金が急落し、つれて住友金属鉱山も急落した。指標株の急落が非鉄、鉄、石油、石油化学、海運、不動産等の市況産業に波及し、東京市場暴落の第二の引き金になった。
(3)弱気の外国人と日本の機関投資家は好機到来と見て先物市場で売り崩しに出た。
(4)立ち会い時間の短縮と出来通知の遅れなど、取引所の構造欠陥を投機筋が利用した点も急落に拍車をかけた。

(四)株価反騰の条件が成熟。

(1)しかし株価反騰の条件も急速に成熟している。
(2)第1に、東京市場の暴落を尻目にニューヨーク市場とヨーロッパ市場が新たな上昇相場に突入した。
(3)第2に、世界の主要な株式市場は東京市場の暴落に逆行して高い。すなわち国際的な投資資金は健在で、日本の悲観論は例外である。
(4)第3に、日本経済の健全性を証明する経済的指標が相次いでいる。
(5)第4に、個人投資家の買い越しが続いており、株式投資信託への資金流入も好調である。
(6)第5に、私はシカゴ商品、ニューヨーク金の底入れ、反騰が近いと思う。
(7)第6に、先物市場で売り崩しに出た弱気筋は、売り玉の買い戻しを迫られるだろう。
(8)かくして株価反騰の条件は成熟している。反騰のスピードも又速いと私は思う。

(五)クラブ9の推奨3銘柄は不変。

(1)クラブ9は昨年末に今年の本命株として次の3銘柄を上げた。1. 国際商品と東京市場の指標株として住友金属鉱山。2. 新興市場の指標株としてNIF SMBC。3. 材料株として富山化学。
(2)3銘柄は指標性、材料、利益成長力で傑出しており、クラブ9の評価は不変である。以下に現状をフォローしたい。

(六)住友金属鉱山。

(1)住友金属鉱山の株価はニューヨーク金とシカゴ商品に連動しやすい。その金と商品が底入れしたと私は思う。
(2)アラスカで買収した金鉱山は発見、開発後10年以上を経過してついに本格稼働を開始した。
(3)業績への寄与率が高く、一段と金相場との連動性を高めるだろう。

(七)NIF SMBC。

(1)筆頭株主は大和証券45.2%。第2位株主は三井住友銀行37.7%で、2社で83%を占めている。
(2)三井住友銀行は全店をあげてベンチャー企業向けの投資に注力するために、昨年NIFの大株主となり、社名をNIFからNIF SMBCに変更した。
(3)三井住友が持ち込んだ180社は3年以内に上場の見込み。
(4)83%が安定株主で浮動株が極端に少ないから、反発に転じたとき株価上昇のスピードが早いだろう。

(八)富山化学。

(1)富山化学はライセンス供与先のシェリング・プラウが先週、FDAから抗生物質T-3811(ガレノキサシン)の製造認可申請を正式に受理されたと発表した。発売まであと8〜10ヶ月である。
(2)シェリング・プラウとアステラス製薬が富山化学に支払うパテント料は520億円の巨額に上る。シェ社はこのうち90億円を支払い済みで、残り430億円を来期までに支払うと見られる。
(3)大正製薬も2002年9月に200億円を出資して富山化学株式の20%を取得したが、実態はガレノキサシンに対する特許料の変形だろう。
(4)三菱UFJ証券は2月14日付レポートでガレノキサシンの年間市場規模をピークで2,500億円と試算している。まれに見る超大型新薬の登場である。
(5)富山化学自身も「業績一変」の自信を表明している。 
(6)富山化学の時価総額は1,400億円に過ぎない。収益力と株価に革命的な変化が起こるだろう。