2005/11/28

  2005年11月28日(月)

(一)格言で読む12月相場。

(1)12月相場の特徴を現す格言から強気、中立、弱気の3つを紹介したい。
(2)「株を枕に越年」。強気。
(3)「餅つき相場」。中立。上にも下にも大きく突き抜けない。
(4)「夜明けの鉄火場」。弱気。麻雀や賭博で、勝ち組はさっさと引き上げるから、夜明けまでねばって頑張っているのは負け組ばかりで気勢が上がらない。大納会が近づくにつれて株式市場は「夜明けの鉄火場」に似てくる。

(二)今年の12月相場。

(1)過去3週間、私は銘柄の交代期にさしかかっていると予想した。同じ情報、同じアイデアで買い上がるのは3ヶ月が一つの周期で、さらに上昇するとしても一旦チャート上の節目を形成する必要がある。
(2)果たして11月にダウ平均は上昇したが、主力株が調整期に入り、ハイテク株、値がさ株に乗り換えてもうけた人は少なかっただろう。11月にもうからなかったからと、特に悲観するには当たらない。
(3)それならば、12月相場はどうか。銀行や鉄鋼が新たな上昇波動に入るには、新たな強気材料が必要となる。不動産関係では、姉歯事件の後遺症が気になる。年内に懸念材料を払拭して再上昇するとは考えにくい。
(4)かといってハイテクは銘柄選択が難解である。松下が勝てばソニーが負ける、トヨタが勝てばGMが負ける、サムスンが勝てばNECが負けるというゼロサム競争となっている。このうち負け組は空売りをテコとして反発しているが、持続性に疑問がある。勝ち組も情報の鮮度が乏しい。
(5)日本の機関投資家が大量に保有する時価総額の上位銘柄に人気が循環する気配があるが、個人投資家にとっては魅力が乏しい。
(6)もちろん相場が天井を形成するとは思わない。個別銘柄から新鮮な情報を発信する新鮮な銘柄が登場して、人気をつなぐ可能性がある。残念ながらクラブ9としては斬新なアイデアがない。
(7)そこで以下にクラブ9が奨めた個別銘柄をフォローしておきたい。

(三)金相場と住友金属鉱山。

(1)金は予想通り2週間の押し目を経て高値を更新し、500ドルに迫っている。
(2)チャート上の節目は25年前の880ドルを残すのみである。商品市場の人気が金に集中するというクラブ9の予想は現実味を帯びてきた。
(3)金、銅、ニッケルの鉱山大手が世界的な買収合戦を演じている。金と白金の主力生産地である南アで政府が黒人優位の政策を打ち出したために、白金が急騰した。次いで金も新たな生産拠点を求める動きが表面化し、買収合戦に発展した。石油で演じた世界的な陣取り合戦と様相が似てきた。
(4)住友金属鉱山は前3月期末現在で3兆円に達する鉱山の含み益を保有しているが、時価総額は株価が上昇したとはいえ依然7,000億円に満たない。
(5)今期に入ってからも含み益は増勢をたどっているから、敵対的買収の目標となる可能性が高い。
(6)資産インフレを買うという世界的傾向から、住友金属鉱山を指標株に掲げたクラブ9の方針は不変である。

(四)サイバード。

(1)先週末に9月中間決算で、経常利益が85%減益になると発表し、株価がストップ安を演じた。
(2)しかし通期予想では経常利益12.5億円の大幅増益を据え置いている。
(3)コメントでは、中間期で「保守的な観点から」買収や新規事業の立ち上げに関する評価損を計上したが、通期では経営基盤を強化し、特別利益の計上もあって予想利益を据え置いたと述べている。
(4)サイバードはかねてから来期に買収、提携、新規事業の立ち上げが寄与して「爆発的な成長期に入る」と述べている。産業界でもケータイを駆使したモバイル市場が最大の成長分野に発展するという予測は月を追って鮮明となった。
(5)それだけにソフトバンクの参入を含めて競争が熾烈となっているが、私はサイバードの意欲的な先行投資が実を結ぶと思う。

(五)ダイエーとMISAWAとNIF-SMBC。

(1)ダイエーが西神ニュータウンに保有するホテルをヒューザーに売却する契約を結んでいたという情報で株価が急落した。仮に契約不履行となってもダイエーは違約金を取得する立場にあり、損失が発生する可能性はない。
(2)MISAWAも住宅業界の不祥事に巻き込まれるという噂で株価が急落したが、かえってブランドに対する信頼感が増すだろう。
(3)NIF-SMBCもヒューザーの株式を保有しているという噂で、一時急落したが、5%にすぎないとわかって切り返した。
(4)3銘柄は共に根拠の乏しい悪材料で売り込まれたが、すぐに反騰に転じた。
(5)しかしこの程度の噂で一時的とはいえ株価が下落したのは、地合の悪化が背景にあるからである。多くの個人投資家はダウが上昇しても手持ち株で評価損が発生し、不安感が台頭しているのではないか。
(6)突っ込みは買いの好機であるが、個別に業績、チャート、信用残の推移をチェックして、冷静に対処する必要がある。

(六)富山化学。

(1)先週末に70億円の設備投資計画を発表した。
(2)同社は国内の販売を大正製薬に全面的に委託し、研究開発に特化している。新たな研究開発のための設備投資は有望な新薬の開発が順調に進展していることを示している。
(3)第1弾として大型抗生物質T-3811の製造認可が射程に入った。現在シェリング・ブラウ社がアメリカでフェーズ3を完了し、FDAに製造認可を申請中である。日本でも来年前半に厚生省に製造認可を申請する。
(4)同社はその他の新薬の開発状況をもホームページで具体的に開示している。質問に対する情報開示も明快である。
(5)1,000億円という小さな時価総額に対して新薬の市場規模が巨大である。先行投資のリスクに比べて投資効率がきわめて高いと思う。