2005/11/21

  2005年11月21日(月)
  世界のマネーの流れを巨視的に見る。

(一)金融市場と商品市場と株式市場。

(1)日本の株式相場は世界の為替相場や国債相場や金利先物相場と緊密に連動している。それらのすべてを総合した市場が金融市場である。
(2)日本の株式市場は90年代に凋落の一途をたどったが、同じ期間に世界の株式市場はアメリカを筆頭に巨大市場に発展した。
(3)同時に為替市場、国債市場が巨大化し、オプション取引のような先物取引が発達して、株式市場を含む金融市場が飛躍的に拡大した。
(4)しかし同じ90年代に商品市場は低迷し、金融市場と商品市場のスケールの格差は拡大一途をたどった。
(5)しかし20世紀に入って、人口超大国の中国とインドが2桁の高度成長期を迎えるに及んで、石油、鉄鋼、非鉄、穀物等の需給関係が次々に逼迫し、商品相場が全面的に急騰した。
(6)中でも石油相場が大暴騰し、中東・ロシア等の産油国、欧米の石油メジャー、投機筋などが巨大な利益を蓄積した。
(7)石油市場で大膨張したマネーは他の商品市場と金融市場にあふれ出て、世界中の株式相場と不動産相場に大きなインパクトを与えた。
(8)マネーには国境がない。今日では世界の金融市場と商品市場のマネーの流れを巨視的に把握しておかないと、日本の株式相場や不動産相場が読めない。

(二)世界の資産インフレに逆行した日本のデフレ政策。

(1)しかし日本では、竹中大臣が世界的な資産インフレに逆行して厳しいデフレ政策を強行した。すなわち株式や不動産をリスク資産と断定し、企業や銀行にリスク資産の売却を強制したのである。
(2)その結果不動産と株式が大暴落した。世界的な資産インフレの中で、日本だけが資産デフレ政策を強行したから、外国資本は大暴落した不動産と株式を一手に買い占めた。
(3)私は世界のマネーの流れに逆行した金融政策を徹底的に批判し、今こそ不動産と株式は宝の山だと力説した。
(4)2001年に私は「不動産が値上がりする」(主婦と生活社)を出版した。その後に進行した日本の株式相場と不動産相場の大反騰を、その過程に至るまで、手に取るように予測できたと思う。
(5)しかし日本のエコノミストは竹中大臣のデフレ政策を支持し、アメリカが支援してくれると喧伝した。しかし現実は正反対であった。アメリカ資本は暴落した日本の株式と不動産を待ってましたとばかりに買いまくった。純情可憐な日本のエコノミストは外国資本の手練手管(てれんてくだ)に翻弄(ほんろう)されたのである。おめでたいことに日本のエコノミストは今なお外国資本に蹂躙されたことに気がつかず、現在の株高は竹中改革の成果だと述べている。
(6)日本の機関投資家もまた竹中政治に汚染されて、千載一遇(1000年に1度しか巡り会えない)の大もうけのチャンスに弱気したばかりか、株式や不動産を底値でたたき売った。日本の株式の時価総額は3年間で250兆円も暴騰したが、暴利を得たのは外国資本ばかりで、日本の年金や生保や投信はろくに利益を上げていない。
(7)100兆円単位の日本の逸失利益は、世界の金融市場と商品市場のマネーの流れにあまりにも無知であったために発生したのである。

(三)金相場。

(1)商品相場の主役は、私の予想通り、石油から金に移りつつある。
(2)今回の世界的な資産インフレの最終目標は金であり、日本の指標株は住友金属鉱山だと私は主張してきた。
(3)黄金は有史以来世界人類共通の夢の資産だからである。
(4)経済的台頭が著しい中東産油国、インド、中国、ロシアが金を買い始めた。
(5)欧米の商品ファンドは年金を中心に資金量を拡大しており、投資対象が金に傾斜している。
(6)金市場は石油市場に比べればけた違いに小さいから、金相場は騰勢を強める可能性がある。
(7)日経は20日付けで、遅ればせながら金の先高観を特集している。

(四)相場と銘柄。

(1)商品市場で人気商品の主役が交代期を迎えたように、株式市場でも人気銘柄が交代期を迎えたのではないか。
(2)人気銘柄の変化は一部市場から新興市場まで、広範囲で進行するだろう。
(3)相場観と銘柄観は前回、前々回と同じである。