2005/10/31

  2005年10月31日(月)
 富山化学の超大型抗生物質T-3811はフェイズ3を終了、
 製造認可申請へ。

(一)富山化学。

(1)四季報は大型新薬2件の進捗情報を次にように伝えている。T-817MA(アルツハイマー認知症)はアメリカでフェイズ1。T-3811(抗生物質)は9月に国内でフェイズ3終了、来年前半に製造認可申請へ。
(2)特にT-3811に関する富山化学自身の見解は次の通りである。
   ・これまでの抗生物質が効力を持たなくなった耐性菌に対しても有効である。
   ・セフェム系抗生剤、ペニシリン系抗生剤、マクライド系抗生剤など、多くの薬剤を対称薬として臨床試験をした結果、すべての薬剤に対して同等以上の優れた有効性、安全性が証明された。
   ・現在他社で開発されているどの抗生物質に比べても有効である。
(3)つまり、T-3811は第1世代、第2世代の抗生物質では抗菌性をもって効かなくなった菌、及びほぼすべての菌に対して有効であることが 臨床試験によって証明された。
(4)例えば現在多数の死者を出している院内感染にも有効である。
(5)ただし鳥インフルエンザには効かない。
(6)富山化学からT-3811のライセンス供与を受けたシェリング・ブラウ社はアメリカのFDAに今年10〜12月に製造認可を申請する。
(7)かくして年間売上高1,000億円以上と推定される超大型抗生物質T-3811は来秋発売が射程に入って来た。
(8)世界の製薬業界が開発競争を演じている新世代の抗生物質を時価総額わずか1000億円の富山化学が開発したのだから、株価へのインパクトは大きいだろう。
(9)富山化学はT-3811の他にもアルツハイマー認知症の進行を抑制し「改善」するT-817を初め、多数の大型新薬が続いており、製薬業界の勢力図を塗り替える可能性がある。

(二)相場観。

(1)前回に、私は先週の相場を次のように指摘した。調整は最終段階。欧米の株式市場に対して東京市場が相対的な優位を確立する可能性を確認したい。商品相場の中で金が石油に代わって主役に浮上する可能性を確認したい。
(2)現実はほぼ予想通りに推移していると思う。よって「インフレを買う」という私の基本的な相場観は不変である。
(3)金が500ドル大台を更新すれば、住友金属鉱山の大相場が鮮明となるだろう。

(三)バーナンキ次期FRB議長の「インフレ目標」論。

(1)バーナンキ氏はインフレ目標論者である。インフレ目標論の根底には、資本主義社会は緩やかなインフレを前提として成り立っているという認識がある。
(2)グリーンスパン議長はインフレ目標論者ではないが、デフレを未然に防ぎ、緩やかなインフレに誘導するという思想において、バーナンキ氏と同じである。
(3)グリーンスパン氏は日本が15年にわたる長期で深刻なデフレを招いた金融政策の欠陥を詳細に分析し、その失敗を反面教師として、早期利上げによって不動産バブルの膨張を未然に防ぎ、バブルが崩壊したときには即座に金融緩和政策を発動しうる金利水準に誘導しているのである。
(4)欧米の政治指導者の最大の目標は「国民の生命と財産を守る」という一点に絞られている。政府が資産大暴落を招く政策を採用することはあり得ない。
(5)しかし竹中大臣は深刻なデフレに更に苛酷なデフレ政策の追い打ちをかけた。竹中大臣は不動産や株式をリスク資産と断定し、過剰債務の企業、過剰融資の銀行を徹底的に追いつめて倒産させたのである。
(6)その結果、2003年に日経ダウは39,000円から7,600円に、不動産相場は20年前の水準まで大暴落した。こ の間に日本企業と日本人が失った財産は株式で500兆円、不動産で1,000兆円に達した。
(7)世界的な資産大インフレの中で、日本だけが資産大デフレに陥ったから、外国資本は竹中大臣がたたき売りさせた日本の上場株式の30%を買収し、倒産した企業、銀行、ゴルフ場、ホテルを片端から買い占めた。

(四)株式、不動産が上がり、国債が下がる。

(1)私はデフレが異常であって、インフレが正常だと思う。
(2)しかるに日本では竹中大臣に限らずエコノミストとマスコミはデフレ論一色となった。15年にわたる長期デフレで、弱気のデフレ 論者が日本列島を占拠してしまったからである。
(3)しかしその間に、長期貧困にあえいでいた中国、インドなどの人口超大国が台頭して世界の経済成長をリードする時代となった。モノの需給関係が大逆転し、中南米やアフリカの最貧国が浮上するチャンスを握った。
(4)日本もデフレからインフレへという時代の変化を読み取らなければ、ユダヤ資本の侵略に対抗することはできない。
(5)株式や不動産が買われる時には金利が上がり、国債が下がる。マネーは現金から実物資産に流れるから、半年以内に国債の暴落が始まるだろう。
(6)私は竹中大臣に痛めつけられた熊谷、長谷工、大京を初め、UFJ、りそな、ダイエー、ミサワ等の復活は必至だと主張して来た。現に竹中大臣がリスク資産と断定した不動産や株式を大量に保有する企業が買収の対象となっている。
(7)デフレ恐怖心と決別しなければ、現実が見えない。