2005/10/11

  2011年10月11日(火)
   デフレ恐怖症で株式を売りつける竹中チルドレン。

(一)インフレを買う相場。

(1)クラブ9が一貫して主張しているように、今回はインフレを買う相場である。すなわちニューエコノミーのハイテク株を売ってオールドエコノミーの市況産業株を買うトレンドが主流である。
(2)現に、不動産、鉄鋼、非鉄、石油、化学、海運、繊維、機械、プラント、造船、銀行、生損保などのオールドエコノミーが全面高となった。
(3)中でも住金、三菱自動車、中外鉱業など、倒産の噂で暴落していた低位株から暴騰銘柄が続出した。
(4)爆発高をリードした外国人買いの主役は中東のオイルマネーである。住金は鉄鋼株の中でも石油掘削に不可欠のシームレスパイプを独占的に生産しているから、オイルマネーの人気を集めた。
(5)私は3年前に高炉4社の価格効果と数量効果を分析して3年以内に史上最高益を更新すると主張し、中でも倒産説で額面割れに陥っていた住金を千載一遇の投資の好機だと執拗に推奨した。
(6)オールドエコノミーの株価が大復活した一方で、デフレ時代に主役を演じてきたニューエコノミーのハイテク株は、ゼロサムの厳しい競争にさらされている。
(7)ゼロサムの世界では松下が勝てばソニーが負ける、シャープが勝てば三洋が負ける、キャノンが勝てばオリンパスやミノルタが負ける。国際的にも韓国のサムスンが勝てば日本のNEC、富士通が負ける、日本のトヨタやホンダが勝てばアメリカのGMやフォードやクライスラーが負ける。電気、パソコン、半導体、自動車などのニューエコノミーは世界の市場が成熟期を迎えたから、誰かが勝てば必ず誰かが負けるという生き残りを賭けた死闘を演じている。
(8)これに対してオールドエコノミーは13億人の中国、10億人のインドなど、人口超大国の台頭によってすべての原材料市況の需給関係が大逆転し、価格革命が進行している。つい3年前に竹中大臣がリスク資産と断定して即時売却を命じた土地と建物と設備が、今では宝の山に一変した。私が「不動産が値上がりする」(2001年、主婦と生活社)で予想した通りの状況が現実となった。
(9)もちろん中国とインドの高度成長が永久に続くわけではない。商品市況は長期的にも短期的にも波乱を避けることはできない。それでも日本の高度成長時代が十年単位で継続したように、新興国の高度成長は十年単位で続くだろう。

(二)デフレ理論に洗脳された竹中チルドレン。

(1)小泉首相、竹中大臣のデフレ政策によって2年前に日経ダウは39,000円から7,600円へ、日本の不動産は20年昔の水準へ大暴落した。
(2)私は終始一貫、日本の資産とオールドエコノミーを破壊した竹中政治を批判し続けているが、今や竹中大臣のデフレ政策に洗脳された竹中チルドレンが年金、生損保、株式投信、銀行などの資金運用を支配して外国人買いに売り向かい、株式の保有比率を急低下させている。
(3)日経「株式市場・地殻変動を追う、上中下(10月8,9,10日)」は機関投資家が一斉に外国人買いに売り向かった事実と背景を具体的に記述している。
(4)竹中チルドレンが支配している機関投資家はデフレ恐怖症の呪縛から脱出できずに株式を売り続けているのである。
(5)資金運用で最も重要なポイントは「誰が」運用するかである。日本の年金は株価暴騰のチャンスに株式を売り続けて、10兆円単位で得べかりし利益を失った。運用責任者の更迭は最優先の課題である。
(6)ところが国会は与野党共に肝心の運用責任を棚に上げて、赤字をどう補填するかという議論に明け暮れている。
(7)そればかりではない。株価と地価が本格的に回復すれば必ず国債が暴落するという自明の大原則に背いて、日本の金融機関はみな株式と不動産を売って国債を買っている。株式と国債の天底を両方とも間違った竹中チルドレンを更迭しなければ、1年後には多数の金融機関が破綻するだろう。
(8)小泉・竹中チルドレンはデフレ時代に台頭したから、インフレ時代の資金運用を知らない。デフレからインフレに大転換する千載一遇の好機に逆行して、奇怪にも資産のデフレシフトを進めているのである。
(9)やんぬるかな。

(三)大買収時代が必ず来る。

(1)四季報は大株主上位10人を記載している。バブル時代は銀行、信託、生損保の金融機関と取引先企業が50%以上の安定株主を形成していたが、今では外国人株主が上位を占拠している。
(2)全上場株式の22%を支配していた銀行は行政指導によって7%以下に後退し、銀行と企業、生損保と企業、企業と企業の株式持ち合いが崩壊したから、安定株主は壊滅した。
(3)これに対して主要な企業の外国人株主は30〜50%に達している。50%超もざらにある。
(4)株主構成を見れば一目瞭然、外資による日本企業の大買収時代が必ず始まる。村上ファンドはその先行指標である。
(5)買収には寡占化を狙ったM&A、買い戻しを狙ったグリーンメール、企業解体を狙ったハゲタカファンドなどがある。
(6)私は前回のクラブ9で、村上ファンドが阪神電鉄の27%を取得した翌日に、すでに3分の1を取得したのではないか、阪神電鉄側の買い戻しを狙ったグリーンメールである、電鉄株全体に株価革命が波及する、と予想した。

(四)阪急HD(9042)に注目。

(1)村上ファンドは先に西武鉄道に1株1,000円という高株価を提示して、買収を打診した。ゴールドマンサックスも西武鉄道に推定1株 1,500円を提示した。
(2)村上ファンドの阪神電鉄買い占めは西武鉄道に買収を申し入れた発想の延長線上にあり、十分予想できた。
(3)村上氏の阪神電鉄買い占めによって電鉄株の巨大な資産が投資目標となりうることが明らかとなったから、他の電鉄株に買収が広がるのは必至だろう。
(4)中でも阪神の時価総額3,000億円に対して、けた違いの資産規模を持つ阪急HDは時価総額が5,000億円に過ぎない。
(5)阪急の創業社長小林一三は、先に沿線の不動産を買収してから新線を建設し、不動産と鉄道を一体的に運用して一代で阪急財閥を構築した。宝塚線の開発に当たっては宝塚劇場や遊園地を建設し、その映画・興行部門は東宝や東京宝塚劇場に発展した。
(6)現在も阪急が茨木丘陵を買い占めて造成した「彩都」は、モノレールの開通によって大阪市内から至近距離の高級住宅地に化けるだろう。
(7)昨年には優良資産を大量保有する阪急不動産を合併した。
(8)電鉄業界は強盗慶太やピストル堤や小林一三の創業時代からサラリーマン社長の時代となり、バブル崩壊後は不動産大暴落の直撃を受けて自信を喪失していた。しかしバブル復活が鮮明となった現在、優れた発想を持ったオーナー社長が登場すれば、経営は再度活力を取り戻すだろう。
(9)買い占めによる経営改革と株価高騰を株主は必ず支持するだろう。経営者は即座にデフレ恐怖心を断ち切って、買い占め対策を急ぐ必要がある。

(五)オイルマネーと金相場と住友金属鉱山(別子、5713)。

(1)金相場の高値追いが続いている。
(2)現在の金買いの主役はオイルマネー、インドである。
(3)金の史上最高値887ドルは第一次オイルショックの1980年に記録した。アラブのオイルマネーが買いの主役であった。
(4)当時の石油相場は5ドル未満であったから、60ドルを超えた現在の産油国は想像を超える巨大なオイルマネーを蓄積している。
(5)アラブの産油国は石油資源が枯渇する日に備えて「未来の世代のための基金」を設けて、利益を世界の株式に投資している。
(6)アラブでは現在も金を通貨とする金本位制が生きているから、投資目標が金に向かい、中でも質量とも世界一の菱刈鉱山を持つ別子に向かうのは必然だと私は思う。
(7)中国は日本を抜いて世界1の外貨を蓄積した。中国は日本よりも政治の主体性が強いから、外貨をドルから金に換える可能性がきわめて高い。
(8)ちなみに私は第一次オイルショックの直後に中近東へ日本国債を売りに行った。円が360円から80円へ暴騰し始めていたから、日本国債は飛ぶように売れた。当時オイルマネーは日本国債と金に投資した。今、日本の財務省がドルばかりを貯めて金を買わないのは国益軽視である。
(9)私は相場の指標株が次第に別子に絞り込まれると思う。

(六)相場観。

(1)波乱があってもインフレを買う相場の基調は不変だろう。
(2)短期的には、出来高が減少すれば人気が新興市場の小型株に向かうだろう。

(七)T-ZONEHD(8073)。

(1)Tゾーンが上場来高値を大幅に更新した。
(2)子会社上場、資金量の急拡大など、材料が豊富である。
(3)しかし村上ファンドの投資先が皆人気化しており、ここからはTゾーンの投資先企業に注目したい。
(4)ただし現在までは小型優良企業に対する純投資で、村上ファンドのようなグリーンメールでも、ハゲタカファンドでもない。
(5)それでも持ち株比率が20%を超えた投資先は連結決算の対称会社となる。ポートフォリオに組み入れた銘柄は一貫して買い増しを続けており、T-ZONEHDの収益拡大を加速する。
(6)子会社を除く主要な投資銘柄と直近の保有株数は次の通りである。

銘 柄
株数(千株)
保有比率(%)
 理研ビタミン(4526)
5,136 
21.7
 エステー化学(4951)
3,301 
10.8
 ミヤコ(3424)
751 
16.3
 日本管財(9728)
4,232 
20.5
 佐藤食品(2814) 
1,629 
24.1