2005/9/20

  2005年9月20日(火)
   もう一つの金大相場論。

(一)10月までに急騰局面も。

(1)過去1ヶ月間の東京市場の手口を見れば、外国人の一手買いに全ての日本勢が売り向かった。なぜだろう。
(2)機関投資家は9月中間期の運用実績をドレッシングするために、外国人買いを好機と見て利食い売りをぶつけた。
(3)しかし株価の上昇力が圧倒的で、買い戻すチャンスを逸した。9月最終の今週は最小限の株式を買い戻しておく必要があるだろう。
(4)空売りも過去最高水準に張り付いている。
(6)今週は不発に終わっても、10月には日本の弱気筋が踏み上げを迫られる局面が発生する可能性がある。
(7)一部市場がもみ合いとなれば、新興市場に人気が集まる可能性もある。

(二)なぜ弱気が多いか。

(1)私は一貫して日本勢は異常な弱気にとりつかれていると指摘してきた。改めてその理由を要約しておきたい。
(2)小泉内閣の構造改革政策はすべて縮小均衡のデフレ政策である。竹中大臣は株式や不動産をリスク資産と断定し、銀行に対してリスク資産に対する融資の回収を迫ったから、すべての企業と機関投資家が徹底的に株式と不動産を売った。全上場株式の22%を所有していた銀行は3分の1の7%まで売却し、銀行と株式を持ち合っていた企業も銀行株を売った。テナントビル、ゴルフ場、温泉旅館、スキー場など、不動産投資を伴うビジネスから倒産企業が続出した。
(3)今回の総選挙の争点となった郵政改革も、組織と人の縮小と整理を断行するためのデフレ政策である。
(4)竹中行政で縮み上がった銀行は不動産担保融資の回収を急ぎ、企業は借金を返済して自己資本経営に逃げ込んだ。日本人はデフレを恐れてモノをカネに変えたから、750兆円に上る預貯金が積み上がった。
(5)郵便局はおろか、銀行もまた集めた預金の貸出先がなく、余剰資金で巨額の国債を買った。年金も株を売って国債を買った。
(6)日本の金融機関はみなモノを売って国債に換えた。
(7)株式売り、国債買いが恐るべきリスクのワナを準備している。次項を参照されたい。

(三)株式の暴騰と国債の暴落は表裏一体。

(1)金融市場の資金量は一定だから株式を買えば国債を売り、国債を買えば株式を売る。理論上も経験上も株式と国債が同時に値上がりすることはない。株式が上がれば上がるほど国債暴落のリスクが膨らむ。
(2)日本の機関投資家は株式と不動産をたたき売ってしまったから、もはや国債暴落のリスクをヘッジする手段がない。これが大問題である。
(3)竹中大臣に屈服した金融機関は国債が暴落した時、初めて構造改革の欠陥に気がつく。金融不安が再燃し、小泉人気は小泉バッシングに変るだろう。
(4)世界の資産インフレに乗じて大もうけしたユダヤ資本は、暴落した日本の株式、不動産や倒産したゴルフ場、温泉旅館、スキー場などを一手に買い占めた。
(5)しかしユダヤ資本は決して国債を買わない。国債を買っているのは日本の機関投資家と日本人だけである。
(6)四季報を見れば一目瞭然、上場企業の筆頭株主はみな銀行、信託(年金)、生損保から外国人に代わった。
(7)ユダヤ資本と日本の機関投資家は投資内容がみごとに正反対である。勝敗の帰趨は明らかだろう。
(8)それでも日本のエコノミストは小泉内閣の金融政策を支持している。彼らはあまりにも金融の実践に無知で、日本の国益を損なう獅子身中の虫である。
(9)やんぬるかな(もはや救いようがない)。

(四)私のもう一つの「金」大相場論。

(1)商品投信が世界中で人気を集め、資金量を急増させているから、私は石油投機で成功した資金はさらに投機性の高い金市場に向かうと思う。
(2)今回は誰も指摘しないもうひとつの私の金大相場論を述べておきたい。相場は曲がり屋の目ではなく、当たり屋の目で見なければ見えない。現在の当たり屋は 1.にアラブのオイルマネー、2.にユダヤ資本、3.4.が中国とインドの新興成金である。彼らは早晩金を買うだろう。
(3)私は第一次オイルショックの直後に中近東へ日本の国債を売りに行った。当時、円は360円から80円へ一直線に暴騰し始めていたから、アラブ諸国は日本国債を大量に買った。オイルマネーの大局観はきわめて正確である。
(4)当時も今も、アラブ人は金本位制の世界に住んでいる。イスラム教は現在も戒律によって金利を取る「金貸し」を禁じているから、アラブ人は通貨ではなくズバリ金で貯金する。アラブの町には銀行がなくても必ずゴールドスーク(金市場)がある。金持ちの婦人たちは金のブレスレットを両腕一杯に巻き付けて、ゴールドスークのその日の相場で売買しながら、日常生活を営んでいる。
(5)ユダヤ人はユダヤ王国滅亡以来、3500年間も世界各地を流浪したから、財産は身につけて持ち運びできる金とダイヤモンドに限られていた。現在でも世界の高級宝飾品の加工と販売はユダヤ人が独占している。
(6)中国人とインド人は歴史的に金の財産価値を重視し、大衆向け金製品の世界的な加工基地、販売基地である。その中国は今や世界最大の貿易黒字国となり、大金持ちが輩出した。インドがこれに追随している。
(7)一方で石油を筆頭に、世界の主要な商品は第1次オイルショック当時の高値を抜いたが、金相場はまだ史上最高値より40%も低い水準にある。
(8)私はアラブ人とユダヤ人と中国人とインド人が「金」に投資するのは時間の問題だと思う。史上空前の大金持ちとなった彼らが金に目を向ければ、金市場が小さいだけに、金相場は木の葉のように舞い上がるだろう。
(9)それゆえ私は今回の上昇相場の指標株は住友金属鉱山だと述べてきた。果たして先週、金相場は今年と昨年の高値を抜いて460ドル台に急進した。1980年の史上最高値887ドルまで、もはや節目らしい節目はない。

(五)新興市場銘柄が浮上。

(1)調整を続けてきた新興市場が、上離れの様相を呈してきた。クラブ9のこれまでの推奨銘柄をフォローしておきたい。
(2)サイバード(4823)。ヤフーや楽天がパソコンで構築した物品販売と決済機能をケータイが肩代わりする傾向が鮮明となってきた。サイバードは次世代ケータイの最有力銘柄となる素質がある。
(3)T-ZONEHD(8073)。T-ZONEHDが急騰したが、その投資先企業に注目したい。20%を投資して連結決算の対象となった日本管財が急騰。新規上場した子会社マルマンも反騰に転じた。理研ビタミン、エステー化学、ビオフェルミン、ミヤコ、サトウ食品等も着々と投資を拡大している。T-ZONEHDの人気がこれらの投資先企業に飛び火する可能性がある。
(4)スパークス(8739)。利益の主要部分が成功報酬による運用手数料だから、東京市場の相場と収益力が連動する。強気の投資家にとって最適のヘッジ銘柄となる。
(5)豊商事(8747)。商品会社の中で独歩高を演じている。金相場の人気が岡藤や第一商品などの商品株全般に波及する可能性がある。