2005/9/12

  2005年9月12日(月)
    資産インフレ相場が鮮明に。

(一)住友金属鉱山(別子)は資産インフレの指標。

(1)先週末の引け後に別子が今期の予想経常利益を490億円から610億円に増額修正した。
(2)同時に9月中間期の経常利益予想を170億円から320億円へ、2倍近い大幅な増額修正を行った。
(3)別子は情報開示に消極的で、決算予想を控えめに出す傾向が強いが、商品市況は銅、ニッケルが上期に高騰し、金は先週、年初来高値を更新した。商品市況が現状を維持すれば、通期決算も大幅増額修正が必至となる。
(4)しかし別子の神髄は期間利益よりも保有鉱山の含み益にある。期間利益は100億円単位で増えるが、含み益は1兆円単位で増える。前々期末から前期末までの1年間に別子の含み益は2兆円から3兆円へ、1兆円も激増した。今期も大幅な増加が期待できる。
(5)これに対して別子の時価総額は5,000億円に過ぎない。
(6)急増した外国人投資家は日本の景気や業績や小泉人気を買っているのではない。世界的な資産インフレが日本に波及すると見て、デフレに取り残された日本を買っているのである。
(7)別子は日本唯一の資源株で、インフレの順風をまともに受ける一群の鉱山を保有している。
(8)それゆえ別子は今回の上昇相場の本命であり、指標株だと私は思う。

(二)自虐的弱気論に汚染された日本。

(1)世界的インフレの発信源は中国で、インドが中国に続いている。
(2)13億人の巨大人口を擁する中国は石油を筆頭に鉄鋼、非鉄、化学、穀物等、全ての商品を暴騰させた。
(3)石油と商品相場の暴騰は生産国に巨大なインフレ利益をもたらした。商品市場からあふれ出た利益は世界中の不動産や株式に向かい、商品相場と連鎖して高騰している。
(4)石油メジャーの利益はトヨタの利益をはるかに上回る。トヨタは技術革新によって利益を生み出しているが、石油メジャーは労せずしてインフレの利益を謳歌している。
(5)アメリカ人は住宅の長期大幅上昇の利益を享受しているから消費が景気を押し上げているが、日本人は住宅が値下がりしているから消費が伸びず景気も低迷している。
(6)資産インフレは良いか悪いかではなく、現実に景気に決定的なインパクトを与えているのである。
(7)日本のエコノミストは景気ばかりを分析して、世界の石油、商品、不動産、株式等の市場で進行している資産インフレの現実を見ないから、「井の中の蛙」となってしまっている。
(8)日本は構造改革政策でデフレが深刻化し、世界的な資産インフレの繁栄から取り残された。そのために投資家の間でも自虐的弱気論が蔓延し、直近の1ヶ月間も、外国人の一手買いに全ての日本勢が売り向かっている。
(9)欧米の資産インフレに乗じて大もうけしたユダヤ資本にとって、デフレ日本はラストリゾート(最後の楽園)である。過去3年間に遡っても、ユダヤ資本は暴落した日本の株式、不動産、ゴルフ場、温泉旅館、スキー場などを片端から買い占めて、現在に至っている。
(10)構造改革の呪縛から解放されない日本の投資家は、千載一遇の好機を逸しているように見える。

(三)9%の高度成長政策を堅持する中国新政権。

(1)中国政府は新しい5カ年計画で9%の高度成長路線を維持するだろう。
(2)新政権に変わっても、地方の不満を吸収するために高度成長路線を捨てるわけにはいかない。走り続ける以外に選択肢はないのである。
(3)ちなみに日本でも、池田内閣の所得倍増政策を起点に高度成長時代が始まったが、田中角栄の日本列島改造まで一気呵成で、高度成長政策が 止まることはなかった。都市の繁栄を地方に及ぼすために日本全国に高速道路と新幹線を張り巡らすという田中角栄の構想は、現在の中国と同じである。中国もまた中央から地方へという景気拡大路線を突っ走っている。
(4)経済が拡大均衡を維持すれば株価と地価が上昇する。資産インフレが進行する過程では、国内はもちろん世界中から資金が集まる。
(5)中国やインドの高度成長は、弱気論者の弱気の根拠を奪うだろう。