2005/8/29

  2005年8月29日(月)
   インフレが創造する巨大なマネー。 

(一)相場観。

(1)アメリカの住宅価格は反落するリスクがある。しかしソフトランディングに成功する可能性もある。
(2)石油相場が反落するリスクがある。しかしさらに上昇し、投機資金が金市場などに飛び火する可能性もある。
(3)日本の年金、銀行、生損保は昨年までに売るべき株を売り尽くした。
(4)売り手不在の東京市場で、外国人の大量買いが継続し、需給関係は好転一途をたどっている。
(5)日本の機関投資家は売りすぎて、持たざるリスクに直面している。
(6)銀行に次いで郵便局が10月から株式投信の窓口販売を始める。郵便局は民営化しなくても強力な販売力を構築することができる。
(7)世界中で資産インフレが進行しているときに、小泉内閣が時代錯誤の構造改革を継続し、日本を資産デフレに陥れた。
(8)資産インフレの利益を追求する外国人投資家にとって、日本はラストリゾート(最後の楽園)である。外国人買いは簡単には収まらないだろう。
(9)15年間にわたる長くて厳しい資産デフレにさらされて、日本列島は根拠の乏しい弱気論に汚染されている。

(二)業種と銘柄。

(1)日本の銀行株の時価総額は、欧米に比べてあまりにも過小である。このままではユダヤ資本の買収の目標となる。
(2)市況関連株は大天井を形成したと見るよりも、2段上げに入ったと見たほうが自然ではないか。
(3)新興市場も調整完了が近い。
(4)目先調整があっても、循環買いに分がある。

(三)デフレぼけした弱気論。

(1)エコノミストは景気が好転しなければ株価は上がらないと主張しているが、本末転倒で、株価が上がらなければ景気は好転しない。
(2)小泉内閣も本末を転倒している。資産デフレに悩む日本に構造改革という名のデフレ政策を処方して、デフレを増殖している。
(3)それでも株価が急騰したのは世界中で進行している資産インフレの大波が日本に押し寄せてきたからである。
(4)それゆえ小泉内閣は今こそ資産デフレから資産インフレへ、経済政策を大転換するチャンスであるが、血相を変えて構造改革を主張している。エコノミストやマスコミも小泉首相の構造改革を支持している。
(5)15年もデフレ社会が続くと、デフレぼけした人の目には世界中で進行している資産インフレの追い風が見えないらしい。
(6)事実を見れば小泉内閣の構造改革はユダヤ資本を大もうけさせて、日本の国益を損なっている。
(7)以下に、日本列島で進行している異常で奇怪な現象を指摘したい。

(四)資産デフレと資産インフレ。

(1)日本の不動産の時価総額は過去15年間に2,000兆円から1,000兆円へ、1,000兆円も大暴落した。
(2)東京株式市場の時価総額はピークの700兆円から400兆円へ、300兆円も暴落した。
(3)現在では上場企業数が激増したから、もし東証ダウが過去最高の39000円を回復すれば、時価総額は1,300兆円へ、900兆円も激増する。
(4)トヨタが売上高を増やしても利益は10%しか増えないが、石油相場が2倍に上がると、産油国の利益は2倍に増える。値上がり分が全部利益になる所に資産インフレの圧倒的な威力がある。
(5)日本経済が構造改革によって経済成長率を1%上昇させたとしても、GDP(日本経済全部の売上高)は10兆円も増えない。日本がデフレで失った1,300兆円の資産に比べれば、小泉内閣が構造改革によって生み出す利益はゴミみたいに小さい。
(6)日本を不況に陥れた原因は資産デフレであって、景気の悪化ではない。資産デフレを資産インフレに戻さなければ日本の不況は終わらない。
(7)血相を変えて構造改革を主張する小泉首相は、私にはドンキホーテに見える。

(五)資産インフレこそ資本主義社会の正常な姿。

(1)世界的な資産インフレのきっかけとなったのは中国やインドなど、人口超大国の急激な経済成長である。
(2)短期的な困難や波乱があっても、もはや新興国の成長は止まらない。
(3)私は石油や不動産が永久に値上がりすると主張するつもりはない。石油や不動産が反落して、世界の投機資金が急減する局面もあるだろう。
(4)しかし現実をクールにみれば、石油の高騰が生み出した投機資金は、金や銅やラスベガスの住宅や東ヨーロッパの避暑地に飛び火し、ついに東京株式市場に波及した。
(5)世界の投機資金にとって、資産デフレの日本はラストリゾート(最後の楽園)である。
(6)国内でも、デフレを恐れて銀行や郵便局に逃避していた750兆円の預貯金が、インフレの陽気に誘い出されて株式、不動産、絵画、ゴルフ会員権等の実物資産に向かうだろう。
(7)資産インフレこそ資本主義社

(六)破壊があって創造がない小泉改革。

(1)世界中で資産インフレが進行しているときに、小泉・竹中コンビは血相を変えて構造改革を強行した。構造改革の実態は全てデフレ政策である。
(2)竹中大臣はハードランディング(強制着地)政策を強行し、銀行と企業が保有する不動産と株式を徹底的にたたき売らせた。その結果、株式、不動産、美術品、ゴルフ会員権等、全ての日本の資産が暴落した。
(3)竹中大臣が金融庁の顧問にスカウトした木村剛は借金の多い大企業30社を名指しでつぶせと主張した。今、木村剛が諸悪の根元と主張した構造不況の企業の株価が一斉に反騰に転じる一方で、木村剛が設立した銀行が倒産の危機に瀕している。日本経済はこの程度の男に翻弄されたのである。
(4)厚生労働省は民間が代行運用していた年金資金を現金で回収し、売却した株式を買い戻した形跡がない。世界最大の年金基金を運用する日本政府自身が、過去2年間に一方的に大量売りを浴びせて東京市場の底値をたたき割った。竹中大臣が株式や不動産を有害無益なリスク資産と決めつけたからである。
(5)郵政を民営化すれば必ず人員整理が起こる。人員整理は経済を縮小させる。
(6)小泉首相の構造改革は破壊ばかりがあって、創造がない。縮小均衡があって拡大均衡がない。

(七)国益を損なう構造改革。

(1)資産デフレによって日本企業と日本人は1,300兆円の財産を失ったが、暴落した株式や不動産をユダヤ資本が一手に買い占めて大もうけした。
(2)日米のエコノミストは一致して小泉内閣の構造改革政策を支持したが、実践における対応で日米は正反対である。
(3)日本の年金、銀行、生損保等の機関投資家はエコノミストの弱気論にあおられて一斉に株式や不動産をたたき売った。国民はデフレを恐れて750兆円を銀行と郵便局に逃避させた。
(4)しかしユダヤ資本はエコノミストの弱気論とは正反対に、暴落した不動産や株式を買いまくり、巨大な利益を独り占めにした。
(5)今回も小泉首相が解散総選挙に打って出るや、その日からユダヤ資本は連日巨額の資金を日本株に投資している。
(6)アメリカのエコノミストとユダヤ資本は本音と建て前を分担して見事に使い分けている。手練手管に長けたユダヤ資本にとって、純情可憐な竹中大臣を懐柔することは赤子の手をひねるよりもやさしい。
(7)事実を見れば竹中大臣は日本の国益を損ない、ユダヤ資本にもうけさせている。
(8)投資家はユダヤ資本とユダヤ資本の背後にあるマネーの流れに目を向ける必要がある。

(八)大逆転した需給関係。

(1)昨年まで、外国人買いに売り向かった日本勢は、第1に信託銀行(年金)、第2に銀行、第3に生損保と決まっていた。
(2)しかし今夏には状況が一変した。売り方の大手から機関投資家が消えて、個人が筆頭になった。
(3)機関投資家が売るべき株式を全部たたき売ってしまったからである。
(4)銀行株や鉄鋼株を利食いした個人投資家は、早晩新規投資に打って出るだろう。
(5)銀行が株式投信の販売を強化している。
(6)10月からは郵便局が株式投信の販売に参戦する。野村、大和、ゴールドマンが郵便局向けの新しい株式投信の組成を急いでいる。民営化を迫られた郵便局は株式投信の大量販売に活路を見いだすだろう。
(7)かくして昨年まで買い手不在に苦しんだ東京市場は一転して売り手不在で、買い手が増える。私が繰り返し予測した需給大逆転が現実となった。
(8)弱気論者は需給関係の大逆転という重要な現実を見落としている。

(九)ミスリードした金融庁。

(1)りそな銀行の社長に抜擢された細谷氏は、金融庁に迎合して兄弟会社の野村證券や松下グループの株式等を不要不急の資産として売却した。りそな銀行は貴重な経営資産を片端から売り払い、長年の取引先の信頼を失った。
(2)これに対して京都銀行は「ナガーイおつきあい」を経営目標に掲げて地場企業の株式を長期にわたり大量に保有し、巨大な含み益を構築した。りそな銀行と対照的に取引先の信頼も厚い。
(3)野村證券は兄弟の大和銀行を傘下におさめる好機を逸し、今頃になって銀行業務への進出を表明している。等距離外交にこだわって、金融機関の再編成という時代の変化に乗り遅れたように見える。
(4)株式を持ちすぎたリスクを金融庁に責められた生損保は、今度は売りすぎて持たざるリスクに責められるだろう。
(5)かくして金融庁の行政指導に従順な金融機関は経営の選択肢を誤った。
(6)竹中大臣の金融政策でもうけたのはユダヤ資本だけである。