2005/8/1

  2005年8月1日(月)
     商品市場は成長期へ。

(一)商品取引関連株が台頭。

(1)豊商事、岡藤HDが静かに高値を更新。その他の商品関連株も一斉に動意付いている。
(2)これまで、クラブ9で再三取り上げて、不発に終わっていたが、今回は雄大な上昇局面の始まりを予感させる。理由は次の通りである。
(3)中国、インド等、人口超大国が一斉に高度成長期を迎えて、一次産品の需給関係が構造的に変化した。
(4)日本の株式市場でも、過去2年間に石油、鉄鋼、化学、非鉄、海運、機株械、総合商社など、これまで構造不況に直面していた素材関連産業から暴騰銘柄が排出し、ハイテク株を押しのけて。今や株式市場の主役を演じている。
(5)これを単に景気循環の一つの局面と見るのは間違いだろう。歴史的に見て、先進国は後進国を植民地化し、植民地時代が終わっても、後進国を収奪して経済成長を遂げた。
(6)しかし人口超大国が台頭して、商品の需給関係を構造的に改善すれば、経済的な利益は先進国から後進国に移転する。
(7)中でも、欧米先進国が成熟期に入り、アジアの後進国が新たな成長期を迎える傾向が鮮明となった。

(二)マネーの流れの構造的な変化。

(1)先見性に富んだ欧米のヘッジファンドは資金を株式から商品に転換し始めた。
(2)過去15年間に日本を除く先進国の株式の時価総額は数倍に大膨張したが、その間も商品市場は長期低迷を続けていた。それゆえ、金融市場の資金量に比べれば商品市場の資金量はきわめて小さい。
(3)そんな時にアウトサイダーであるヘッジファンドの一部が石油市場に参入すると、石油相場はあっという間に30ドル台の高値を突破して60ドル台に暴騰した。
(4)石油相場に次いで金相場が500ドルを突破すれば、商品相場全体が新たな価格水準を模索する時代に入る。
(5)石油市場で起こった変化が他の商品に波及しつつある状況は、ロンドンやシカゴの商品指数が鮮明に証明している。
(6)マネーが商品市場へ流入する傾向は、一進一退を繰り返しながら、長期的なトレンドに発展するのではないか。

(三)商品市場の構造変化。

(1)ヘッジファンドとの関係が深いゴールドマン・サックスを初め、外資系証券大手が次々に東京工業品取引所の会員権を取得している。
(2)ネット証券は相次いで商品のネット取引を開始した。証券会社よりも対応が早い。
(3)今、銀行の窓口販売で、不動産投信が人気を集めているが、次に相場の若い商品投信が人気を集めるだろう。ちなみに不動産投信が巨大市場を形成することを私は2001年に拙著「不動産が値上がりする」(主婦と生活社)で明快、詳細、具体的に予想し、銀行の早期対応を促した。銀行の窓口で株式投信、不動産投信に次いで大口商品に発展するのは商品投信だろう。
(4)商品投信が人気を集めれば、証券、銀行、総合商社等のアウトサイダーは商品投信を組成するために商品市場に参入するから、買収、合併を含む業界再編成が起こるだろう。
(5)市況関連株がハイテク関連株を圧倒したように、商品の人気が株式の人気を圧倒する可能性がある。
(6)一方、監督官庁は商品会社の過当勧誘、過当取引に対する取り締まりと罰則を猛然と強化した。グローバリーが4ヶ月以上に及ぶ受託業務停止処分を受けるなど、悪徳商法が厳しくとがめられている。
(7)商品取引所は、石油、ガソリン、米等、上場銘柄を急増させている。
(8)欧米の証券、銀行はみな商品取引をルーツとして発展した。日本でも大阪の堂島は江戸時代に世界で初めて米の先物取引を創始した歴史持っている。日本の商品市場が国際化、近代化するにつれて、商品会社の社会的な評価が上がる。
(9)今や日本の商品市場を取り巻く環境は急変した。商品関連株は株式市場で次第に存在感を高めるだろう。

(四)サイバード(4823)。

(1)サイバードは先週、サイバー・コミュニケーションズ、オプトと共にモバイルコミュニケーションズを設立したと発表した。
(2)6月には、リクルートと資本提携し、エアボーン(カナダ)を買収した。腰を据えた矢継ぎ早の展開である。
(3)携帯電話の広告、販売、決済等はパソコンに代わり得る有望な成長市場である。
(4)その成長市場で、加藤社長は内外で急速に布石を固めており、利益10倍の中期目標の構想が次第に姿を現して来た。
(5)サイバードの信用取引は貸借共に厚みを加えて、人気は増勢傾向にある。
(6)会社計画を信用するかどうかをめぐって、株価は波乱含みである。