2005/7/25

  2005年7月25日(月)
   政局に関する私見。

(一)景気の鍵握る住宅。

(1)11日付で、私はアメリカでは住宅価格の長期的な値上がりが消費を刺激し、景気を牽引していると述べた。
(2)そして日本でも、商業用不動産の値上がりが住宅に波及すれば個人消費が盛り上がり、景気回復が本格化すると指摘した。
(3)今、小泉解散が懸念されているが、私は誰が次期首相に選ばれても、暗いデフレ時代が終わり、明るいインフレ時代が始まると思う。
(4)80年代には不動産、株式、ゴルフ会員権、絵画等の資産が軒並みに暴騰し、日本人は大金持ちになり、日本経済は世界経済史の奇跡といわれる高度成長を遂げた。
(5)しかし90年代にバブルが崩壊するとバブルを悪とする思想がはびこり、中でも竹中大臣は強権をもって多数の銀行と企業を倒産に追い込み、不動産と株式のたたき売りを強制した。
(6)その結果、ダウ平均株価は4分の1以下に、不動産は70年代の水準まで大暴落した。日本人と日本企業は財産を失い、暴落した株式と不動産を外国資本が一手に買い占めて巨額の利益を一人占めにした。竹中大臣はユダヤ資本の手先を演じたのである。
(7)そもそも国家が企業や銀行の生死に介入するという思想は中国やロシアのような社会主義国の思想で、自由主義国、資本主義国の思想ではない。道路公団や郵政公社の民営化は、政策の正否を論じる以前に、その手法が強権、統制、恐怖の独裁政治そのものである。
(8)80年代のインフレ政策は巨大バブルを発生させたが、バブルによって民間活力が沸騰し、東京は世界最大の近代都市に一変し、日本は世界第2位の経済大国に躍進した。
(9)これに対して小泉、竹中政権の過酷なデフレ政策は企業と国民を極端に弱気にし、萎縮させた。

(二)政局と地価と株価。

(1)国民がひたすら貯蓄に走るのは、国民がデフレの深刻化を恐れて、国家の繁栄を信じないからである。
(2)国民がインフレ時代の到来を予感すれば、小泉首相が郵便局を民営化するまでもなく、郵貯の350兆円は消費や投資に向かい、産業界を潤し、景気を好転させる。
(3)それが資本主義国の自由で自然なマネーの流れである。
(4)日本人がデフレに対する恐怖心を払拭するためには、商業用不動産に次いで15年間も暴落を続けた住宅価格が底入れする必要がある。資本主義社会の市民は大根一本でも高いか安いかを考えて買う。まして高価な住宅は値上がり期待が持てなければ買わない。もし住宅が上がると予感すれば、日本人は安心して貯金を住宅や株式や消費に投じる。
(5)日本は人口が減るから住宅価格は二度と上がらないという弱気論は、バブル時代に地価が永遠に上ると錯覚した強気論の反動から生まれた。異常な弱気論は異常な強気論と同様に間違いである。
(6)資本主義社会ではデフレ時代とインフレ時代が交互に出現する。デフレ時代は弱気で貯金した者が勝ったが、インフレ時代には強気で住宅や株式に投資した者が勝つ。現在はデフレからインフレへの転換点だと私は思う。
(7)現に株式市場では過去3年間に不動産市場で誕生したニュービジネスから高度成長企業が排出した。不動産投信も2倍に急騰した。
(8)私は商業用不動産の高騰が住宅にも波及すると思う。しかし全国一律というわけにはいかない。日本の人口が減っても人口が増加する地域がある。快適な住居や生活環境を求める人は減らない。
(9)今、東京で消費が急速に盛り上がって来たという。さもありなん。「価格は需要と供給の接点で決まる」という経済原則に照らせば、商業用不動産と同様に、住宅もまた人口が増加した東京から底入れする。そして住宅が底入れした地域の人は財布のひもをゆるめる。
(10)地価と株価が上昇すれば、増税しなくても税収入は爆発的に伸びる。行政や税制が民間の活力を妨げなければ、15年ぶりに資産インフレの時代が復活するだろう。
(11)小泉政権のデフレ政策は企業と国民を貯蓄に走らせたが、池田勇人や田中角栄のインフレ政策は企業と国民を投資に向かわせた。政治と景気の間には明らかな相関関係がある。
(12)政局不安で株価が暴落するという意見があるが、誰が次期政権を担っても人心が明るくなり、景気は陽転する可能性の方が高い、と私は思う。

(三)株式相場。

(1)強気の材料。
   外国人買い。
   個人資金の増加。
   空売りの踏み上げ。
(2)弱気の材料。
   夏休み入り。
   首都圏の地震。
   政局による一時的な波乱。
(3)注目材料。輸出主導から消費主導へ、景気の主役に転換の兆しが見える。もしこれが本格化すれば大相場も可能であるが、住宅価格次第だろう。
(4)60%の強気。