2005/7/11

  2005年7月11日(月)

(一)アメリカの景気と不動産相場。

(1)1990年に世界中で不動産相場が急落した。
(2)しかしアメリカでは即座に不動産投信が不動産を買い向かい、個人投資家に販売して、不動産不況を2年で克服した。
(3)不動産は動産に一変し、株式化されて無数の投資家の手に渡った。
(4)1995年以降現在まで10年間、アメリカの不動産相場は毎年史上最高値を更新している。
(5)その結果、アメリカ人は年々住宅ローンを拡大し、住宅価格の上昇をテコとする個人消費が景気拡大を牽引している。
(6)弱気論者の弱気の最大の根拠は住宅バブルの崩壊論である。
(7)現在までは、FRBが公定歩合を引き上げても長期金利は上昇していない。もし長期金利が上昇すれば住宅ローンが縮小均衡に転じ、消費が減少し、景気が悪化する。
(8)しかし弱気論者は5年前から住宅バブル崩壊論を主張しており、グリーンスパン議長はその懸念を否定している。

(二)日本の景気と不動産相場。

(1)日本は80年代に不動産が暴騰して奇跡的な経済成長を遂げた。しかし90年代に不動産が暴落して、深刻な金融不況に陥った。全国的に見れば、不動産相場はようやく底入れし、反騰に転じたところである。
(2)私は4年前に「不動産が値上がりする(主婦と生活社)」を出版し、4大銀行がそれぞれ1兆円の不動産投信を設定して、外資にたたき売りしている担保不動産を銀行自身が買い取り、不動産投信を組成して国民に売り出せば、日本の不況は即座に克服できると主張した。
(3)銀行自身は不動産投信を設定しなかったが、今や銀行窓販で最大の人気商品となった。上場、非上場の不動産投信は10兆円を突破し、資金量は急増しつつある。
(4)4年前に同書で私が述べた予測はことごとく実現し、東京都心の不動産は4倍以上に暴騰した。
(5)日本の不動産相場の反騰が住宅に及べば、輸出に依存している景気の主役は個人消費となり、景気拡大が本格化する。
(6)現在もなお、日本の不動産が欧米に比べて割安であることは世界の主要都市のホテル代金を比べれば歴然としている。そのため外国資本の流入は増勢一途である。
(7)人口が減少するから日本の住宅価格は上がらないという意見は間違っている。世界の先進国の人口は皆減少しているが、人口が増加する都市や地域で住宅価格が高騰しているのである。産業構造の変化につれて人口は移動し、核家族化が進み、より快適な環境を求めて転居する傾向が鮮明である。
(8)「価格は需要と供給の接点で決まる」という不滅の経済原則に従えば、東京の六本木で始まった商業用不動産の反騰は、住宅においても点から点へ、点から線へ、線から面へと拡大する。
(9)政府日銀が税制や金融政策を誤らなければ、住宅価格が底入れし、個人消費が景気拡大の主役に浮上する。逆に大都市の住宅価格が低迷するようでは、景気拡大も株価上昇も期待できない。

(三)相場感。

(1)世界の株式相場はロンドンのテロを乗り越えた。
(2)日本では空売りが空前の水準に達している。踏み上げ相場が期待できる。
(3)しかし主力大型株に力強さは見えない。
(4)上昇力に限界が見える。
(5)新興市場の小型株、仕手株に活路がある。
(6)強気60%。

(四)リスク。

(1)中国経済。
(2)政局不安。
(3)夏休み。

(五)ヘッジファンドの台頭。

(1)ヘッジファンドの投資対象は株式、債券、為替、石油、金など、すべての金融商品に及ぶ。
(2)先物市場を積極的に活用し、資金を10〜20倍に膨らませて運用する。
(3)何かを買えば何かを売って、ヘッジする。例えばGM、フォードの株を売って債券を買う、石油先物を買ってダウ先物を売るなど。
(4)日本ではスパークスがヘッジファンドに近いが、機能は限定的。
(5)欧米ではヘッジファンドが急速に資金量を拡大し、全ての相場の世界で主導権を握りつつある。
(6)石油はヘッジファンドの介入によって30ドルの上限を突破し、一気に60ドル台に暴騰した。先物市場では1兆円の資金を10〜20兆円に活用するから、常識を越える波動が発生する。
(7)ヘッジファンドにとって、ダウはヘッジのための市場となった。そのために日米ともダウは膠着状態に陥り、ダウ銘柄は魅力を失った。
(8)日本の投信の大半はダウ連動型で、本格的なヘッジファンドは皆無だから、ヘッジファンドの動向が見えにくい。
(9)しかしヘッジファンドはリスクに挑戦し、投機色を加速する。

(六)銘柄。

(1)投資効率から、注目銘柄は新興市場、小型株に偏らざるを得ない。
(2)しかし利益の大きさとリスクの大きさは比例する。
(3)銘柄に変化なし。