2005/6/20

  2005年6月20日(月)
  マネーの新しい流れ。
  ーー金融市場から商品市場へーー

(一)ダウの上放れ鮮明に。

(1)先週の週末にようやく保合い上放れが鮮明になった。
(2)外国人買いも久々にボリュームが加わった。
(3)しかし現在の外国人買いの主力は年金等、指数連動型の資金が中心で、ダウを押し上げる力はあるが個別銘柄は迫力が乏しい。
(4)世界的に見れば欧米市場が先行し、欧米に遅れて日本が追随するというパターンを脱していない。
(5)私はニッケルに続いて銅と石油が史上最高値を更新し、金も年初来高値に肉薄した点を重視したい。
(6)中国リスクが表面化し、上海市場の株価が暴落した中での商品相場の再騰は、マネーの流れの変化を示す新しい指標だと思うからである。

(二)石油相場と金相場と住友金属鉱山。

(1)商品相場の高騰は中国、インドなど、人口超大国の成長期入りが引き金となった。しかし今回の再騰は需給関係が緩和した時点で起こった。
(2)金融市場の資金が巨大化し、投機化し、投機化した資金の一部が商品市場にあふれ出るというマネーの流れが本格化する前兆ではないだろうか。
(3)2ヶ月前にはヘッジファンドがGM、フォードの株式と社債の裁定取引に失敗して窮地に陥り、日本株や石油先物を手仕舞いしたと伝えられた。しかし商品相場の一角が早くも新高値を奪回した事実に、私は次の通りマネーの流れの新しい胎動を感じる。
(4)第1に、1990年以降の15年間に日本を除く世界の株価が暴騰した結果、株式の時価総額は大膨張を遂げた。
(5)第2に、コンピューターの発達で株式、為替、金利等の先物市場が発達し、運用対象市場と運用ノウハウが多彩となった。
(6)第3に、リスクに挑戦するヘッジファンドが年々資金量を急増させている。
(7)第4に、商品相場が長期にわたり低迷していた間に、金融市場が大膨張して、両者の相対的な資金量に巨大な格差が生まれた。
(8)第5に、その結果株式市場が成熟し、成長機会が乏しくなったのに対して、商品市場は市場規模が小さく、わずかな投機資金の介入にも敏感に反応する。
(9)例えば世界の流通市場で売買されている金の時価総額は100兆円に満たない。もし1兆円のヘッジファンドが金市場に介入すれば、彼らは1兆円を先物市場で10兆円に膨らませて運用するから、金相場に十分なインパクトを与える。同時に10%の値上がりで利益倍増を達成することができる。
(10)リスクの大きさと損益の大きさは正比例する。ヘッジファンドが急成長したのはリスクを恐れない資金が急増したからである。そのヘッジファンドがこんなに魅力的な市場を見逃すはずがない。彼らの資金の流入が加速すれば金相場は木の葉のように舞い上がるだろう。
(11)現に石油やニッケルや銅の相場は需給関係だけでは説明できない成層圏に突入した。
(12)全ての商品相場は最後には金に回帰する。黄金こそ有史以来人類が求めて止まなかった富の象徴である。私は住友金属鉱山から目を離さない。その株式は金と連動する資産となり、大相場に発展する可能性をはらんでいると思うからである。
(13)もし世界の株式市場で本格的な仕手株が出現するとすれば、産金株をおいてないだろう。
(14)しかし以上の強気予測はまだ極端な少数意見で、可能性は50%以下であるが、的中した場合の変化率は大きい。

(三)クラブ9銘柄の動向。

(1)銘柄の考え方は変わらない。
(2)濃淡はあるが現状はおおむね順調。 
(3)リプラスは調整完了か。
(4)全体的には先週に続いて70%の強気。

(四)売却時期について。

(1)クラブ9は強気の立場で、株価倍増の可能性を探るコラムである。その条件を満たす銘柄は少ないから、今後も銘柄は大きく変わらないだろう。
(2)短期的な波乱は読めない。
(3)銘柄選択の間違いも避けられない。
(4)空売りや利食いや見切り売りの時期を明示する能力は乏しい。それゆえどんなときでも「売り」のタイミングはご自分で判断されたい。

(五)サイバード。

(1)1対3の分割後の高値と上場来高値を更新した。
(2)貸借銘柄で、出来高もダントツである。
(3)相場の鮮度が高い。
(4)リクルートへの第三者割り当て増資をきっかけに人気化した。
(5)6月末の社長交代による提携内容の具体化に注目したい。

(六)リスク要因。

(1)中国。
(2)地震。
(3)夏休み接近。