2005/6/13

  2005年6月13日(月)
  上昇局面入りと中国リスク。

(一)難解な日本の相場環境。

(1)先週末に日本の相場はようやく上放れた。
(2)しかし年初来高値を大幅に更新したヨーロッパや、アメリカ、韓国、台湾に比べれば、日本の出遅れが鮮明である。
(3)一方で中国の上海市場は世界で唯一厳しい暴落に直面した。
(4)東京市場の外国人買いの低調は中国リスクのあおりを受けたと私は思う。
(5)個別に見ても、相場の核となるテーマ、相場を牽引する銘柄が見つからない。
(6)難解な局面で通常ならば活躍する小型株、仕手株も迫力が乏しい。
(7)結論としては70%の強気でのぞみたい。
(8)私は度々中国リスクを指摘して来たが、私以外に中国リスクを重視する論評がないので、次に改めて付言しておきたい。

(二)進退窮まった胡錦濤。

(1)中国の上海株式(A株B株)は、世界で唯一暴落し、現在も底値圏を低迷している。昨年4月以降、1777ポイントを高値にじり貧をたどっていたが、今年4月の胡錦濤政権のジャパンバッシングを契機に一直線に暴落し、一時は1000ポイントを割り込んだ。現在は政府がてこ入れして1000ポイントを防戦している。
(2)独歩安の理由は明快で、外国資本が上海市場から逃避したからである。
(3)マネーを動かすのに物流機構はいらない。リスクを察知すれば、マネーは即座に逃避する。
(4)しかし上海市場の資本逃避を放置すれば、必ず外国企業の逃避を誘発する。そうなれば外国の資本、技術、設備によって支えられている中国経済は一挙に破綻する。
(5)それゆえ胡錦濤政権は日本批判の早期収拾を図ると思われるが、世界の金融界、産業界の不信感を一掃するのは困難だろう。
(6)今もし小泉首相が靖国参拝を強行しても、胡錦濤政権には打つ手がない。日本を批判すれば外国企業が逃避し、批判しなければ国内で反政府暴動が再燃する。背後には江沢民前政権の巻き返しもある。
(7)共産党一党独裁と自由主義、民主主義、資本主義は絶対に両立しない。中国が民主化を断行しなければ、いつの日か中国の政治と経済は必ず破綻を招く。
(8)株価は政治経済の実態を映す鏡である。上海株式は、窮地に立っているのが中国であって日本ではないことを明快に証明している。日本の政治家、評論家、マスコミはこの重要なデータを直視する必要がある。
(9)しかし上海市場もここまで突っ込めば、短期的には悪材料が折り込み済みとなる。上海が戻れば世界の商品市況が回復し、日本の中国関連銘柄も復活するだろう。ただしそれが本格反騰につながるかどうかは不明である。

(三)サイバード(4823)。

(1)リクルートが第3者割り当て増資によって発行株式数の10%を42億円で取得すると発表した。
(2)リクルートの取得株価は1株18万円だから、株価がこれを下回る可能性は乏しい。
(3)ヤフーや楽天がパソコンを拠点に急成長したが、コンテンツ配信の主役がパソコンからモバイルに移行する気配が濃厚である。
(4)経常利益1,300億円のリクルートはコンテンツで日本一である。モバイルでトップのサイバードとリクルートの提携効果はきわめて大きい。

(四)ミサワ(1722)。

(1)チャートで見た株価は底値を脱出した。
(2)ミサワの注目理由は過去数回のコメントを参照されたい。

(五)住友金属鉱山。

(1)繰り返すが、住友金属鉱山は金、ニッケル、銅を鉱山の開発から精錬まで一貫して手がける日本唯一の資源株である。
(2)特に主力のニッケル相場は商品市況の全面的反落に逆行して独歩高を演じており、LMEの在庫払底、ステンレス需要の世界的な拡大から反落の可能性が乏しい。(ステンレス株にも注目。)
(3)6月11日付日経は、06年3月期の利益を早くも20%上ぶれへ、増額修正した。
(4)銅も高値圏を維持しており、金も高値更新を伺う位置にある。
(5)今後の商品市況、中でも人気要素の高い金相場に注目したい。