2005/5/30

  2005年5月30日(月)

(一)中国の株価と政治と靖国問題。

(1)チャートは昨年2月から現在までの上海B株である。株価は過去1年半で半値に暴落した。

(2)暴落は中国の政権交代を契機として進行した。暴落は中国企業の危うさと、企業が政治の影響を受けやすい危うさを露呈した。中国の発展を支えているのは日本を筆頭とする外国企業であって、中国企業ではないことも露呈した。もし外国企業が中国投資を停止すれば、中国経済は確実に破綻する。
(3)中国の内陸部では反政府暴動が頻発している。中国政府は国民の不満をそらすために、対日批判をあおり、反日暴動すら演出した。しかし日本批判は諸刃の剣で、日本企業が中国から撤退すれば、中国経済は破綻する。
(4)中国政府はあわてて対日批判を停止した。外国資本が集中している上海では暴動の参加者を逮捕し、被害を受けた日本企業への補償に乗り出した。上海は現在も江沢民人脈の支配下にあり、新政権の対外政策とは明解に一線を画している。政権内部の路線対立も推定される。
(5)そんなときに小泉首相は靖国参拝を内政問題であって、中国政府の批判は内政干渉だと発言した。全くの正論である。古来、日本の神社の祭神は菅原道真の天満宮を始め、皆政争に敗れて悲憤の死を遂げた人物である。伊沢元彦氏は「逆説の日本史」でこれを詳細に論証しておられる。敗者への鎮魂は日本の神道の神髄であり、有史以来日本列島に土着した日本人のDNA(遺伝子)である。戦勝国による極東裁判で死刑の判決を受けたA級戦犯こそ靖国の祭神にふさわしい。
(6)ついでながら、朝日新聞は第2次世界大戦で大東亜戦争の正義を主張し、日本人を戦場に駆り立てた最大の犯罪者である。にもかかわらず敗戦後は平気で右翼から左翼に転向し、毛沢東や金日正を崇拝し、靖国批判や教科書批判の先頭に立った。これでは朝日新聞にあおられて出征し、靖国神社の英霊となった人たちは犬死にとなり、浮かばれない。朝日新聞は常にその時代の主役であろうとして、時代の変化から取り残されている。私はこの種の優等生の論理を信用しない。
(7)中国政府は小泉発言に猛反発し、滞日中の中国の副首相は会談をキャンセルして帰国した。しかし内政に干渉して日本企業の警戒心をあおれば、中国経済自身が破綻することは、前回の対日批判で経験済みである。
(8)早期の事態収拾を図りたいのは中国であって日本ではない。ここで小泉首相が断固として正論を貫けば中国は譲歩せざるを得ない。東シナ海の領有権でも好結果をもたらすだろう。
(9)公明党、創価学会は日蓮宗の熱烈な信徒だから、神道である靖国神社そのものを否定している。しかし一宗派の立場から日本の宗教を論じるのは僭越である。仏教は奈良時代に日本に伝わった外来思想である。キリスト教も安土桃山時代に渡来した。しかし京都の祇園祭や稲荷祭りは皆地域住民が地域の氏神をまつるお祭りである。私の母の田舎は皆美濃部姓で、美濃部神社を氏神としていた。日本人は誰でも生まれた土地の神様を氏神としているが、同時に他の宗教を何の違和感もなく受け入れている。山川草木の全てに神々が宿る、釈迦もキリストもマルクスも日蓮も皆八百万の神々の一人であるというおおらかな神道の心は、有史以来日本列島に土着した日本人が共有しているDNAである。中国政府や朝日新聞や創価学会が日本人の心を支配することはできない、と私は思う。

(二)相場観。

(1)今回の株価の世界的急落はアメリカのヘッジファンドの運用失敗による解約の急増が原因である。ヘッジファンドが危機を凌げば、好調な景気と業績が正当に評価されるだろう。
(2)現在では日経がヘッジファンドの危機をくわしく報道している。
(3)しかし、日経がヘッジファンドの危機を正確に把握する頃には、運用のスピードを重視するヘッジファンドはすでに対策を終えたと考えるべきだろう。
(4)私はアメリカ、ヨーロッパの株価はすでに上昇軌道を回復したと思う。
(5)日本でも今週は外国人が売り越しから買い越しに転じると思う。
(6)牽引役は日米ともハイテク株だろう。
(7)個人投資家は大型株よりも新興市場と材料株が中心となるだろう。
(8)ただし新興市場は大型株よりも激しい暴落を経験した。3分1戻りの壁を突破する牽引役は変わると考えておくべきだろう。

(三)銘柄。

(1)クラブ9は人気の変化を予想して銘柄を選らんだから、急落局面でも抵抗力は比較的強かったと思う。
(2)エムスリー(2413)が2万株の売り出しを控えて、株価が下落している。6月1〜3日の値決め終了後の反発力に注目したい。

(四)首都圏大地震のリスク。

(1)首都圏の大地震を予知する情報が、相次いでいる。
(2)確率は小さくても、発生した場合のショックは特大となる。運用資金には余裕が必要かもしれない。