2005/4/4

  2005年4月4日(月)
  4月新年度の相場。

(一)ハイテクが主役に浮上か。

(1)ハイテクは悪材料出尽くし。株価もボトムを形成。ソニーがその典型である。
(2)松下のプラズマ、シャープの液晶による大画面テレビの量産工場が稼働。世界最高の技術を持つ両社の大増産で、下半期には電子部品等の需 要が急増する。
(3)半導体を含む電子部品の在庫調整が進む一方で、新規の設備投資が低調である。
(4)業績は1〜3月をボトムに回復する可能性が高い。
(5)キャノン、松下等、ハイテク製品の生産拠点の国内回帰が鮮明で、日本の技術的優位の証明である。
(6)ハイテク企業間でも優劣が進み、勝ち組が次第に鮮明となる。
(7)外国人買いの株数は減ったが金額は減らない。株価の高いハイテクに人気が及んでいる可能性がある。

(二)買収対策が本格化。

(1)企業防衛の手法は主として「自社株買い、株式持ち合い、積極的合併、増配」の4点である。
(2)新日鉄、住金、神戸製鋼が株式持ち合いを表明したが、持ち合い以外にも前記の4つの要因を全部含んでいる。新日鉄ですら、買収対策に取り組み始めた。
(3)高炉を新設するためには、高炉の建設費の他、公害投資、立地、港湾建設等、巨大投資が必要である。例えば住金は株価が200円に上昇したが、時価総額は1兆円に満たない。海外のライバル企業は高炉を建設するよりも、住金を買収した方がはるかに安上がりである。
(4)新日石とコスモの株式持ち合いの背景にも、日本全国に張り巡らせた直営石油スタンドや石油精製設備の含み益がある。
(5)合併は単に敵対的買収に備えるだけではなく、寡占化による市場支配力の強化が見込める。デメリットよりもメリットが圧倒的に多い。
(6)ここ数年間に日本の株式市場では、50%以上を占めていた安定株主が消滅し、外国人の持ち株が激増した。
(7)フジテレビの敵対的買収は、すべての上場企業の経営者にとって、明日は我が身の深刻な問題である。
(8)今日では株主、投資家は買収を歓迎しており、もはや買収された企業の経営者に同情が集まらない。
(9)商法改正によって、日本企業の買収が容易になった。株式交換による外資の買収認可は1年延期されたとはいえ、猶予期間は2年に満たない。企業防衛は待ったなしである。
(10)世界の巨大企業は豊富な現金を抱えている。欧米の買収ファンドの資金量も1兆円単位に激増した。
(11)欧米の大買収、大合併が一段落し、目標が日本企業に向かっている。株主構成を見れば、ソニーはすでにアメリカ企業である。

(三)市況産業株、含み資産株。

(1)連想ゲームの第2ラウンドはピークを打った。しかし個別銘柄への集中的人気は衰えない。
(2)市況関連株については、商品市況の動向に注目したい。私は商品市場への投機資金の流入は、大局的に見ればまだ始まったばかりだと思う。 過去20年間に世界の金融市場の資金量は大膨張を遂げたが、それゆえ商品相場の出遅れが鮮明である。
(3)高度成長まっただ中の人口超大国、中国とインドは意外に資源を保たない。
(4)含み資産関連株については、これまでは買収の噂で買われたが、現実買いが出てくるだろう。
(5)買収される企業の情報はインサイダーにしかわからない。それゆえ情報が表面化したときには、買収する企業よりも買収される企業の方が投 資効率が高い。

(四)ペイオフ時代に人気を集める高利回り株。

(1)配当利回りを重視する投信が売れている。
(2)東燃ゼネラルは36円、昭和シェル石油は30円の高率配当を継続しており、株価が高騰を続けている。ちなみに1株当たり利益は東燃ゼネ ラル67円、昭和シェル77円に対して、新日石は75円であるが、配当は10円に過ぎない。収益力が同じでも利回りに大差があり、その差が株価の差となっている。
(3)アメリカでは利益の50%は株主のモノという常識がある。東燃ゼネラルと昭和シェルの大株主は外国資本だから、高率配当は常識である。
(4)これに対して日本ではまだ利益の20%程度しか配当しない会社が多い。
(5)しかし前3月期に上場企業の半分以上が増配に踏み切った。すなわち買収に備えて株価を高くするための大幅増配はこれから本格化する。
(6)現に買収を仕掛けられたフジテレビは前3月期に配当を5倍に増やした。
(7)増配による利回り上昇は、ペイオフ解禁後の預貯金の有力な受け皿となる。増配期待人気は長期的なテーマに発展するだろう。