2005/3/7

  2005年3月7日(月)
  資産インフレの時代。

(一)相場高騰の本質は需給関係。

(1)私は昨年10月に丸12年間連載した株式新聞の「クラブ9」を休載し、同時にすべての対外活動から引退した。現在はホームページ「クラブ9」だけに私見を掲載し、気心が知れた長年の読者との対話を楽しんでいる。
(2)しかし肩の力が抜けたせいか、かえってマネーの流れが鮮明に見えてきたように思う。現に、過去3ヶ月のホームページの大勢観は高い精度で的中しており、銘柄の的中率も高い。
(3)エコノミストや日経の編集委員の論説は皆共通して、理論構成に一貫性がなく、未来を見通す相場観というよりも、結果を解説する結果論に終始している。彼らは15年間にわたる厳しいデフレ局面に遭遇して、骨の髄まで弱気に汚染されてしまっているように見える。
(4)彼らに比べると、私は終始一貫、資金の需給関係とマネーの流れを最重要視してきたから、今回の歴史的な資産デフレの終焉(しゅうえん)を手に取るように予想することができた。7日付けでは相場がついに暴騰への臨界点に達したと指摘したが、それは長い考察の一点であって、偶然でも、思いつきでもない。すなわち私は現在の相場の局面を次のように理解している。
(5)私は2000年5月に『不動産が値上がりする!』(主婦と生活社)を出版し、「東京の六本木の一角で始まった不動産の反騰は、点から点へ、点から線へ、線から面へと波及する。資金は現在では外国人に限られているが、不動産投信が拡大、成長し、やがて奔流となって不動産市場に、そして株式市場に流入するだろう」と予見した。
(6)竹中大臣の異常で過酷なデフレ政策がなければ、日本の地価と株価は3年早く、底入れしていただろう。
(7)それから4年を経て、日本の株価と地価は15年間にわたるデフレ局面を脱し、中期的な上昇局面に突入した。銀座で坪単価1億円の売買が成立したように、株式市場でもすでに暴騰銘柄が輩出している。
(8)「地価が上昇したといっても東京の都心だけではないか」という論評が横行しているが、彼らには相場の本質が永久に理解できない。東京都心の土地の時価総額は、東京以外の日本全国の土地の時価総額を上回るほど巨大である。日本の不動産の時価総額は1,000兆円だから、東京都心の地価が10%上昇するだけで100兆円のキャッシュと担保力を創造する。同様に、株価が10%上がるたびに、30兆円のキャッシュと担保力を創造しているのである。
(9)その圧倒的なインパクトは70兆円の日本政府の財政規模を桁違いに上回る。政府発表の経済統計にかじりついて論評しているエコノミストに相場の未来が予見できるはずがない。ちなみに経済統計は過去のデータに過ぎないが、相場は過去の事実、周知の事実をすべて織り込んでおり、予想外の変化に対してのみ反応する。
(10)一方、買い方の主力である外国人投資家はオイルマネーの参戦で資金量が増勢一途である。この点は私が終始一貫して予想して来た通りである。
(11)資産デフレの時代から資産インフレの時代へ、株式相場、不動産相場は劇的に変化した。よって相場は雄大な上昇国面を迎えた、と私は思う。

(二)急騰した住友金属鉱山(別子)。

(1)今回の相場の指標銘柄として私が再三推奨した別子が、先週851円を超えてチャート上の節目を全部突破し、チャートの上では青天井となった。
(2)日経ダウは日本を代表する225銘柄の加重平均によって算出されているが、その平均株価収益率(PER)は20倍である。別子の1株利益60円を、平均PER20倍に買えば1,200円で、これが理論的な妥当株価である。
(3)さらに別子は主力の金、銅、ニッケルを自山鉱中心の鉱石を用いて精錬加工しているから、資源相場の上昇は利益増加に直結し、自山鉱は宝の山となる。
(4)また住友財閥の総本家としてグループ企業の株式を大量に保有し、その含み益も多い。
(5)菱刈金山の深部と周辺部には有望な金鉱脈が潜在していると見るのが関係者の常識で、今回発見の山田鉱床はその一端である。山田鉱床の品位や埋蔵量の発表次第で、人気を増幅する可能性がある。
(6)しかしすでに仕手人気が沸騰したから、短期的な値動きは私にはわかりません。

(三)騰勢強めるEトレード。

(1)1対3の株式分割による新株が出回り、本来ならば需給関係悪化で株価が崩れる局面であるが、逆行高した。
(2)予想通り、出来高20億株時代に突入して、人気がネット証券に集中したからであろう。
(3)ネット証券の中でもEトレードは引き受け業務に進出するなど、野村證券の金城湯池を浸食する勢いである。
(4)しかし40万円大台に躍進すれば、一部を利食いしてスパークスに乗り換えるのも一策である。

(四)底値圏のスパークス。

(1)スパークスは1対2の株式分割と、時価発行増資による需給関係の悪化を懸念して、反落している。
(2)しかし51万円台は、進行中の時価発行増資に伴う安定操作の買い支えがあり、岩盤と見られる。
(3)私は以前から、出来高増加を信じる投資家はEトレードを、株価上昇を信じる投資家はスパークスを、と勧めてきた。スパークスは成功報酬によって運用手数料を稼ぐ部分が大きいから、相場が上昇すればするほど、利益が増える。
(4)よって今が押し目買いの好機と思う。

(五)リプラス(8936,マザーズ)の分割(1対3)権利取り。

(1)3月3日付株式新聞16面で、三菱証券が2007年度の経常利益を60億円と予想したと小さく報じている。昨年2.5億円、今年10億円だから、驚異的な利益成長力である。
(2)リプラス自身が正規に発表した業績見通しではないが、もし事実となれば暴騰もあり得る。
(3)賃貸住宅の家賃の代理回収業という全く新しい業態で、潜在市場が巨大である。
(4)信用買いの残高が極端に少ないから、権利取り回避の売り玉はないに等しい。
(5)リスク覚悟の投資家にとってはチャンスではないか。