2005/1/5

  2005年1月5日(水)
  2005年の株式相場。

(一)大底を形成した資産デフレ。

(1)1990年から2004年まで続いた資産デフレの時代が終わった。
(2)過去15年間にダウ平均株価は5分の1に大暴落し、不動産は20年以上昔の水準まで大暴落した。その大暴落が終わった。
(3)過去15年間に、戦後日本が生み出した成金、大金持ちの大半が没落した。
(4)弱気のエコノミスト、マスコミが言論界を支配した。
(5)日本経済は世界で唯一異常で過剰な資産デフレに落ち込んでいた。
(6)日本は人口が減少し、資産インフレの時代は二度と来ない、という弱気論が日本列島を支配した。
(7)弱気筋が皆株を売った。上場株式の22%を支配していた銀行は自己資本の範囲である7%まで持ち株を売却した。
(8)事業会社も銀行と持ち合っていた株式を売った。
(9)民間の年金は自主運用に失敗して、株式を売却して運用権を厚生省に返上した。
(10)大半の投信は運用成績がマイナスに終始し、2004年には投資家の投げ売りと損金処理が進んだ。
(11)儲けた個人も、節税のために株を売却した。
(12)銀行は取引先の担保不動産の強制売却を進めた。
(13)企業は時価会計に備えて、保有不動産の簿価を引き下げ、或いは遊休不動産の売却に踏み切った。
(14)弱気筋は皆株と土地を売った。

(二)復活する資産インフレ。

(1)弱気筋が大底をたたき、資産デフレのダメを押した。株価と地価はいくら売っても下がらなくなり、歴史的な安値に達した。
(2)外国人が徹底的に買い向かい、一部の個人が強気に転じた。
(3)商業用不動産は東京都心から大幅に反騰した。外国人と一部の新興資本が片端から売り玉を拾った。
(4)2005年以降は一転して、売り手不在となり、買い手ばかりとなる。
(5)地価が10%上昇すれば、時価総額は100兆円も増える。
(6)株価が10%上昇すれば、時価総額は30兆円増える。
(7)資産インフレによる景気刺激効果はいかなる経済政策よりも飛び抜けて大きい。
(8)90年以後に頭角を現したエコノミストはデフレ容認論者、或いはデフレ推進論者で、資産インフレの効果と威力を知らない。
(9)資産デフレから、資産インフレへ、時代は劇的に変化する。

(三)企業買収時代の到来と自社株買い。

(1)2004年の商法改正によって2006年からは企業買収が容易となり、しかも株式バーターによる買収が可能となる。
(2)大合併、大買収を経験した欧米企業は90年代に巨大な時価総額を形成した。
(3)日本の企業は外資による買収に備えて、株価を上げて時価総額を極大にしなければならない。
(4)トヨタ、松下を筆頭に、日本を代表する巨大企業でさえも、すでに自社株買いを活発に行っている。
(5)企業防衛のために合併、系列化、株式持ち合いが進み、新たな企業集団を形成する。(トヨタとミサワ、松下と松下電工、東洋紡と御幸毛織、三菱地所と藤和不動産、東京三菱とUFJ、等々。)
(6)オールドエコノミーの時価総額は新興企業と比べるとあまりにも過小。
(7)オールドエコノミーの株式時価総額を上回る不動産や株式の含み益が買収の格好の標的となる。
(8)含み資産の多いオールドエコノミーの人気が復活し、割高なインターネット関連株の選別と反落が起こる。

(四)オイルマネーの行方に注目。

(1)昨年11月以降の世界的な株価反騰はオイルマネーが主役であった。
(2)今年はさらに巨大なオイルマネーが参入する。単位は1,000億円〜1兆円で、一部は昨年すでに野村、大和を通して日本株を買ったと見られる。
(3)デフレを脱却した日本企業に外資の再評価が進む。
(4)外国人買いの背景については別項を参照されたい。
(5)売り手不在の中を株価は暴騰する可能性がある。

(五)アメリカの双子の赤字(その1、経常収支の赤字)。

(1)アメリカの経常収支の赤字がエコノミストの批判を集めているが、私は根拠なき悲観論だと思う。
(2)ドルは現実に世界貿易の唯一の決済通貨である。ユーロや円はドルに対抗しうるだけの実力と信頼性と流動性を持たない。
(3)世界経済が成長し、世界貿易が拡大成長するためには、ドルの国際的な流通量が増えなければ決済ができない。
(4)反対に、もしアメリカの経常収支が黒字を続け、その他の国が赤字を出し続ければ、世界経済は縮小し、必ず恐慌に陥る。
(5)世界経済が拡大成長を続けるためには、アメリカがドルを垂れ流すことが不可欠の条件となる。

(六)アメリカの双子の赤字(その2、財政赤字)。

(1)2000年にブッシュが大統領選挙に当選したとき、共和党の伝統的経済政策に従って、大幅減税を断行し、同時に巨額に軍事費を投入してアフガニスタン、イラクに侵攻した。そのために史上最大の財政赤字を計上した。
(2)レーガンが大統領に就任した時にも、大幅減税を断行する一方で、悪の帝国ソ連を倒すために軍備拡張政策を推進した。その結果、巨額の財政赤字を計上した。
(3)しかし、軍拡競争の挑発に乗ったソ連は財政が破綻して共産党政権が崩壊し、冷戦時代が終わった。その結果、アメリカは軍事予算を縮小する一方、減税によって企業業績が好転し、税収入が増えて、史上最大の財政黒字を構築した。
(4)私は今年中にブッシュ大統領はレーガン大統領と同様に財政赤字削減のめどをつけると思う。アフガニスタンに次いで、今年の2月にはイラクで民主的政権が発足し、中東が安定する。軍事予算が縮小に転じる一方で、すでに企業業績が好転し、税収入は急増している。
(5)イラクは本来大産油国である。生産量の復活で、豊富な石油収入をテコに、警察力、兵力を大幅に増強し、治安は急速に回復しつつある。イラク混迷説は弱気論者の幻想にすぎない。
(6)アメリカの双子の赤字批判は現実乖離(かいり)の空論で、今年の前半にドル売りはドル買いに転換する。

(七)産油国の巨大な貿易黒字の行方。

(1)アメリカの貿易赤字の対極にあるのは中国や日本よりも産油国の貿易黒字である。
(2)産油国は価格の暴騰と生産量の増加によって、世界の貿易黒字を独り占めした。
(3)しかし産油国の国内には投資するべき産業がないから、貿易黒字の大半は海外の株式や国債に投資される。
(4)1月以降に産油国から先進国に還流する巨大なマネーの流れが鮮明になるにつれて、強気論が支配的になる。

(八)イラクの再建が軌道に乗る。

(1)イラクは元々、世界第3位の産油国であった。隣国のクェートに侵略し、国連軍に阻止された時から石油生産が国連監視下におかれていたが、昨年は生産量が急回復した。
(2)巨大な財政黒字の分け前にあずかるために、すべての宗派と部族が1月末の総選挙に全力を挙げて対応している。
(3)2月に選挙による民主的政権が誕生すれば、増強した警察と軍隊が機能し、イラクの政情は安定する。
(4)アメリカはイラク駐留軍を縮小し、財再赤字削減にめどを付ける。
(5)日本の自衛隊も名誉ある帰国ができる。

(九)アメリカの一極支配が現実に。

(1)90年代に共産主義政権が崩壊した。
(2)2010年までにイスラム国家で民主的政権が次々に誕生し、イスラム原理主義者のテロが衰退する。
(3)アメリカ発の民主主義と情報化が世界政治のスタンダードとなる。
(4)情報化社会では政治的、宗教的な独裁政権は存在できなくなる。
(5)イラン、北朝鮮、キューバの独裁政権が崩壊するのは時間の問題。
(6)世界は平和と民主主義の時代を迎える。
(7)パックスロマーナ(1〜2世紀、ローマ帝国の一極支配による世界平和)、パックスブリタニカ(19世紀、大英帝国の一極支配による世界平和)に続き、21世紀はパックスアメリカーナ(アメリカ合衆国の一極支配による世界平和)の時代となる。

(十)銘柄。

(1)業種と銘柄
   a. ゼネコン、不動産、銀行。
   b. ダイエー、大京、藤和不動産。
   c. 東急不動産、三菱自動車。
(2)新興市場は買いの急所か。
   a. 需給関係の逆転が近い。
   b. Eトレード、ヤマノホールディングの分割権利取り。
   c. Tゾーン、日本調剤、ファイナンスオール、スパークス、アセットマネジャーズ。
(3)追加。含み資産株から、東京建物。大阪建物。日清紡。クラボウ。ニッケ。
(4)新興市場から、リプラス(マザーズ)。
<(1)(2)は、12/13付Q&Aより再録。>